鈴木すみよしブログ

身近な県政にするために。

マレーシア サラワク州ミリ合板工場視察

2016年02月03日 | 議会活動

平成28年2月3日(水)

 

 今日から金曜日まで、マレーシアとシンガポールを視察します。移動日までの前後2日を含め、5日間の視察となります。

 

 マレーシア サラワク州ミリは、ボルネオ島の北側、ブルネイとの国境に近い町で、首都クアラルンプールから飛行機で2時間以上もかかります。

 ここを本拠地とする1983年に設立されたシンヤン社(Shin Yang),は、林業、海運、造船、土木建設、ホテルやマンション・商業施設などを手がけるグローバル企業です。

 

 視察の目的は、シンヤン社が経営する合板企業である、シンヤンプライウッド社(シンヤン合板会社)を支える日本人アドバイザーから、マレーシアによる林業と合板製造の現状と課題について学ぶために訪問したものです。

 日本人アドバイザーが静岡市出身であること、浜松の企業関係者がシンヤンプライウッド社と4年間ほど交流があったことから実現したものです。

(シンヤンプライウッド社玄関にて)


(会社関係者から会社概要を聞く)

 

 シンヤンプライウッド社はボルネオ島内に5箇所の事業所を有し、従業員は約3,000人で、マレーシア内に所在しながらも、従業員のほとんどは隣国インドネシア人です。しかし、そのほとんどは2~3年で退社し、定着させることが困難だということです。マレーシア人もそれ以上に定着率が悪く、日本人アドバイザーは現地の方に「ものづくりの本質」を理解させ、まずは仕事への定着率を上げ、仕事の質を高め、品質のよう製品を効率的に製造するための、「人材教育」に取り組んでいます。

 会社の至る所には、日本国内企業では普通に見られる「5S運動」のスローガンや「改善提案」など、ものづくり立国日本の得意技が生きています。ここには中国や韓国、台湾からのアドバーザーもいたようですが、「人を育てる」アドバイスは日本人にしかできませんでした。日本人アドバイザーは他の国方よりも遅く就任したものの、企業経営者や従業員から信頼を得て、現在は日本人がアドバイザーの中ではリーダーシップをとっているとのことでした。私どもの視察には韓国の方も同行していただきましたが、日本流人材育成に注目をしています。

(合板工場入り口。内部は企業秘密のため撮影禁止)


(日本でお馴染みの「5S運動」のスローガンがかかっている)

 

 シンヤンプライウッド社は、設立してから30年ほどしか経っていないにもかかわらず、マレーシア屈指の合板会社に成長しました。

 しかし、そこまで成長するには様々な苦労があったといいます。

 ボルネオ島に限らず、世界中の熱帯雨林などでは無秩序な森林伐採が行われ、地球環境の悪化が進行しました。1990年には管理機関がこの状況に警告を発し、1999年にはサラワク州が植林免許制を導入しました。林業に関わる関係者は、この免許を取得することが義務づけられたのです。

 ボルネオ島の35万haという広大な山林を国から借り受け、植樹後5~6年で成木として伐採できる、「パルカタ」という豆科の樹や「アカシア」などを、多い時で年間2,400万本植樹しているとのことです。これは一日あたり一人が1,000本の植樹を行っていることになるそうです。

 植林する幼木は、社内の育種場で種から育て、それをある程度成長してから植林するとのことでした。この育種場と植林を担当している専門家も日本人で、大学で専門を学び東北地方の製材企業に就職すると同時にマレーシアに派遣され、そのままここに定着したそうです。

 土地は肥沃でないため、種から幼木に育てるまでの間、肥料などを与えて土の管理も必要とのことでした。樹種は先に触れたパルカタ以外にも、様々な樹種を活用できないか、合板以外への活用を含めて研究しているそうです。

(植林担当の日本人から説明を聞く)


(会社の敷地内にある育種場)


(パルカタという植物の苗)


(パルカタは5~6年で伐採ができる)

 

 同行議員から「植林に関する補助金の有無」について質したところ、国は一切の補助金は無いが、金融機関等からの融資について助言を与える位で、莫大な数の植林を行うことから、それに見合う出費も莫大で、しかも木が成長して伐採し製品となるまでは投資資金の回収ができないことが大きな負担となっています。

 そこでマレーシアでは、貸付地の20%までを緑化を前提とした他の収益事業を認めており、代表的なものは「アブラヤシ」を植え、そこからオイル(パームオイル)を抽出して利益を得るなどが行われています。

 しかし、数年前には健康ブームや環境に優しいといううたい文句で、パームオイルに注目が集まりましたが、環境NGOから「森林を伐採してそこに植えられた椰子から獲れるオイルは環境に優しくない」と誹謗中傷され、大変苦慮したと聞きます。

 無秩序な木の伐採は環境破壊ですが、しっかり管理された森林施行計画に基づく伐採は、木の成長過程を効率的に使うことで二酸化炭素の吸収量を増やし、広い意味では地球環境に優しいと言えます。

 また林業が長い期間を要する投資回収となるなど、経済的な支えをどう確保するかなどを考えると、「伐採=環境破壊」を短絡的に捉えるべきではないと思いますが、その懸念が現実的に起き、シンヤンプライウッド社では各方面に出向き、説明し理解を求めたという苦労話を聞くことができました。

(日本のJAS規格に準拠)


(記念植樹)


(記念植樹を終え、全員で記念撮影) 

 

 環境といえば、合板製造の段階で発生した木くずをバイオマスエネルギー源として、ボイラーや発電などに有効利用しています。焼却炉は200t焼却能力が4基あるということですから、いかに規模が大きいか想像がつきます。

 

 今回の視察では、環境に配慮した林業のあり方や海外での日本人の活躍とその評価を目の当たりにすることができました。

 静岡県でも森林認証などの取得により、公に認められた持続可能な林業を目指しています。川上(植林)から川下(木材の有効活用)がしっかりとつながっていかなければなりません。ボルネオと規模は異なっても、遠く離れた地に今後の参考となる取り組みを見た気がします。また、県が目指す国際交流のうち、シニアが実現する国際貢献も日本ならではの現場を見ることができました。

 今後の県政への取り組みに生かしていきたいと思います。

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