鈴木すみよしブログ

身近な県政にするために。

荒廃林の現状から見えてくるもの

2016年10月12日 | 議会活動

平成28年10月12日(水)

 

 10月の後半に予定している、「子ども向け森林環境教育」の一環として、「制水工づくり」体験の準備のために、久しぶりに富士山麓に向かいました。

 

 制水工とは間伐材を活用した「森の小さなダム」をいいます。間伐材とは、優良な木を育てるために「間引き」された木のことで、間伐材を有効利用してダムを造り、森の中が雨水などで浸食されることを防ぎます。おおよそ、5年間くらいは持ちますが、朽ち果てると自然に戻っていく環境に優しい構造物です。

(整備された沿道の木々)

 

 管理の行き届かない山林はやせ細り、根が十分張ることができません。日射も弱まり、地肌は草も生えず、むき出しとなります。

 集中豪雨の時は、雨水を地中に導くことができず鉄砲水となって地表を流れ、地盤の弱いところを削っていきます。やがて沢ができ、時には崖崩れも発生し、土砂とともに里に向かって流れ出し、これが大きな災害につながることになります。制水工はこのような土砂流失を防ぐために大きな役割を担っています。

 

(間伐材を活用した制水工。6年前の設置時の写真)


(現在の様子。制水工は朽ち果てたが、土砂や流木の流出を防いだ) 


 写真で見るように止められた流木の量からかなりの水の勢いがうかがえます。制水工づくりは森と私たち下流域に住む市民の安全・安心を確保するために、大変重要なものです。しかし、森が元気ならば不要なことも事実です。

 

 富士山麓はヒノキやスギの経済林が多い地域です。戦後、地域経済を支える期待を込めて、政策的にも推進されて植林が行われました。しかし、その後は材価の低迷が続き、海外からの易い輸入材も拍車をかけ、林業が衰退していきました。

 しかし、木材需要がなかったわけでなく、ある時期に国産材が十分確保できなかったことが原因の一つともいわれています。

 

 林業は長い時間をかけてその成果が現れます。例えば、ヒノキやスギが成長して伐期といわれる木材としての価値が現れるまでには、植林後、60年から70年かかります。その間は、成長を待ち続けるしかありません。

 一斉に広範囲の植林が行われると、70年もの間、その地域から収入を得ることができません。

 理想なのは、毎年伐採できることで、そのためには、例えば70箇所の植林地を用意し、毎年、その年分だけを植林すれば、70年後から毎年収入を得ることができます。

 

 森林は、水源涵養や土砂流出防止、地球温暖化抑制などの機能を持ち、その重要性が改めて認識され、公共財産として維持するための取り組みが行われています。

 個人の所有する荒廃林を林業家や組合などの専門家集団などに委託し、健全な森林に戻す試みです。それを継続的に行うためには、当初は税金の投入があっても、やがて自立した経済効果を生み、森林の保全が行わなければなりません。

 

 久しぶりに訪れた富士山麓は、道路沿いなど目に見えるところは間伐などが進んでいますが、奥地は手つかずの所が多く存在します。高効率の林業機械などの導入で、少しずつ改善されているようにも思えますが、何せ、広い地域ですから長い時間がかかることも想像できます。

 

 富士山が世界遺産に登録されたことも、観光客が訪れることへの配慮が後押ししていることもあるでしょう。

 

 森林に多くの目が集まり始めた今、未来を拓く子どもたちにも、森林の大切さと負の遺産をしっかり理解させ、それが改善できることを教えていくことが重要になると考えています。

 

 私は、森林間教育の原点を、今から20年ほど前に地域の林業家や、自然観察に取り組むリーダー、河川整備に市民自ら取り組む住民の方々から刺激を受けて始めました。

 今、私の役目は、次の世代にこれまでの経験を伝えることだと考えています。

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