鈴木すみよしブログ

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鹿児島県茶業の現状調査

2017年04月18日 | 議会活動

平成29年4月18日(火)

 

 新茶の時季を迎え、静岡県同様、国内でもトップクラスの茶の生産地の状況視察のため、鹿児島県を訪れています。県議会茶業振興議員連盟の先進地視察として、今日と明日の2日間、鹿児島県と熊本県を対象に実施しています。

 

 鹿児島県茶市場は、鹿児島県茶業会議所が運営し、茶の生産団体である鹿児島県茶生産協会と茶商団体である鹿児島県茶商業協同組合、JAの鹿児島県経済農業協同組合連合会に鹿児島県が加わり、開設しています。

 茶業会議所の事業内容は、鹿児島県産茶の流通拡大に関する事業や、茶の卸売市場の開設、茶業振興に関する事業などを行っています。

 今回は、新茶の取引が始まった現場を視察し、茶業の低迷する静岡県の対策に活かすべき目的で視察させていただきました。

(鹿児島県茶市場が入る、かごしま茶流通センター)


(説明いただいた担当者の皆さん)


(茶の生産者は、自分の茶の評価をタブレット端末で見ることができる)


(以下2枚の写真は、鹿児島茶の現状)



 

 今年の鹿児島県産茶の一番茶(新茶)の取引概況は、茶の生育は新芽が動き出す2月下旬以降の気温が低く、新芽の生育状況は前年より7~10日ほど遅く、過去20年間でも最も遅い状況です。天候が回復した今日以降は茶摘みも始まり、取引が増える見込みということでした。

 新茶の初取引会は昨年より4日遅い4月11日でした。新茶初取引の荒茶については、品質重視の摘採により収量は少なめ(本年24kg、昨年1,542kg)でしたが、芽合い良く、香気、渋味ともに新茶らしい製品であり、引き合いは強かったということでした。価格は3,000円台から8,000円台で、柔らかみのある製品の中心は6,000円台ですが、入荷量が少ないなかでの評価でもあり、今後の推移を見守るしかないということでした。いずれにしても、入荷量が少ないことが心配という説明がありました。

(市場に並べられた茶のサンプル)


(出品された茶)

 

 鹿児島県の全国から見た茶業の位置づけは、全国生産量の40%が静岡県で、2位が鹿児島県28.6(平成27年度)となり、両県合わせて全国の茶の生産の70%近くを占めています。現在、茶価の低迷を受け、茶(荒茶)の生産量や摘採面積は下降気味ですが、鹿児島県は平成21年以降はなんとか横ばいで推移しています。茶の生産時期は、鹿児島県は一番茶が4月初旬から始まり、秋冬番茶を除けば、8月下旬の4番茶まで、全国で一番早くて一番長く続くことから、経営的には他地域よりは有利と言えます。

 しかし、国内消費量を維持するのは困難で、輸出にも力を入れていかねばなりません。輸出には、輸入国の農薬の制限などがあり、農薬を使わない有機栽培や無農薬栽培を行う茶農家も増えています。静岡県でも同じことが言え、その対応を始めたことも聞いています。輸出量は静岡県の方が多く、鹿児島産の茶の直接輸出は少なく、静岡県を経由しているとの説明がありました。

 茶市場では、有機栽培された茶は「特別取引」として扱われているようで、注目が集まっています。

 

 課題では、茶市場の運営は年間の半分しか稼働していない。茶価は8万トンを超えていた時には、需要と供給のバランスから値が低いといわれていたが、8万トンを切った現在でも茶価は上がらない。鹿児島県の茶業は、大規模経営で低コストというように見られているが、関連する機械などの設備更新の時期が近づき、大きな経済負担が予定されることや、新たな技術革新も求められ、取引先からはさらに価格の低下が求められているなど、厳しい状況になりつつある。新たな消費先を求めて、コンビニエントストアなどでの取り扱いを求めても、人件費などのコストアップがあり理解は進まない。茶商の数は減少傾向にあり、茶農家からの購入環境が狭まることから、農家にとっても不利となる。お茶はブレンドされて消費者に届けられることが多く、農家の努力が報われないなど、現状の厳しさを物語っています。

 

 将来は、茶農家の支援策については、鹿児島県と静岡県の二大生産地が、地域を越えて共同で対応すべき時代がやってくるのではないか。東京などでは、茶の生産地を明記し、消費者が茶を選ぶことで人気を得ている販売も見受けられる。ブレンドでは消費者に売る側の意向を押しつけていることになるので、消費者が自ら選ぶ茶のあり方も検討すべきなどの意見が出されました。

 これまで、茶の取引方法が両県では大きく異なることが、茶価に大きな影響を与えることへの懸念としてきましたが、ここに来て、それ以上の茶業のあり方に共通した課題が浮き彫りとなり、連携した取り組みで生き残りをかけることにも、目を向けなければならないことを学びました。

 

 下堂薗茶舗は、「日本のお茶文化をより多くの人に楽しんでもらいたい」という思いから、日本茶の新しいスタイルの提案と、お茶と相性の良い食事やスイーツを提供する会社で、若手の経営者からその取り組み状況を聞きました。

 最初に近況報告に触れ、今年のお茶の仕入れでは、鹿児島県茶市場で聞いたように、寒かったことでの茶の生育が影響し、仕入れに苦労されているとのことでした。

(説明いただいた会社役員)


(会社の取り組みがこの掲示で分かる)


(ドイツで製造された抹茶のチョコレート)


(茶の加工施設内にある茶室)


(無菌室内の茶の製造設備)

 

 自前の茶加工場を持ち、その施設は外部と遮断した衛生管理が行き届いており、20年前にドイツに販売拠点を作った当初の、日本茶を受け入れてもらうための安心と安全確保のための「オーガニック」による茶づくりに関係しています。加工も大切ですが、自前の茶農園による有機栽培や無農薬で育てられた茶であることはいうまでもありません。ただ、国際認証をとったからといって、その名の下に海外が信用して受け入れてくれるのではなく、輸出の前には独自の検査を第三者機関などに依頼するような徹底ぶりが、相手の信頼を得ていることが取引を増すことにつながっています。

 先代までが築きあげたこのような茶の生産方式をもとに、現在の三代目が新たな付加価値を付けて茶の販売を手がけています。

 彼は、先代から「生産現場に立つのではなく、自分から飯の種を探せ」という教えに基づき、新商品の開発や人材育成に力を入れてきました。新商品では、「お茶を飲みたくなるスイーツの開発」に力を注いでいます。

 外国人は、日本人のような香りに敏感ではないといいます。そのために、外国人が受け入れやすいフレイバーティも好まれているようです。また、アルコールを飲まない人に人気の、ワインボトルに茶を摘めた飲料は、比較的高価ですが注目されていると聞きました。現在、ドイツではオーガニックで育てた抹茶が人気で、増産が続いているものの、追いつけないとのことでした。日本ではオーガニックが今ひとつですが、外国人には大変人気のようで、東京のレストランでは外国人による消費が伸びているようです。九州ではJRの特別観光周遊列車や、宮﨑県にある高級ホテルなどでも人気があるようです。そのほか、茶ビールなどにも挑戦しています。

 

 経営の柱には人材育成があります。優秀な人材を雇用することが大切で、就職前のインターンシップでは45日間職場に入り、本当にやる気のある学生を見極めて雇用しています。地元の大学卒業生やUIターン者が積極的にこの企業を選んでくれるような、独自のプログラムを用意しているとのことでした。

 

 昨年の鹿児島県における茶生産現場の視察では、有機農法がキーワードでしたが、国内外を問わずこれからの茶づくりでは、有機農法や無農薬栽培による新たな市場開拓が欠かせません。また、静岡県が発祥の「やぶきた」品種は、有機農法には向かないということで、新たな品種の導入が盛んに行われています。私の地元でも、有機農法はようやく本格的に取り組む茶園が増えつつありますが、これは茶葉を売るための必要最低限の条件で、さらに付加価値の高い茶の活用が今後の茶業の発展に欠かせないことが分かります。茶業発展の新たなキーワードは、「若い人が取り組む付加価値の高い茶の活用」も考えていかねばなりません。茶業界の厳しい逆境を乗り越えるバイタリティと新しい発想こそが、今求められていることだと感じました。

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