隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

1728.いなくなった私へ

2017年04月07日 | 本格
いなくなった私へ
読了日 2017/04/07
著 者 辻堂ゆめ
出版社 宝島社
形 態 単行本
ページ数 393
発行日 2015/02/24
ISBN 978-4-8002-3729-3

 

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昨日の5日は、社会福祉法人・薄光会の保護者・家族の会天羽支部の新旧役員の引継ぎがあって、太陽(ひ)のしずく(こちらも薄光会が運営する生活介護事業所である)へ行ってきた。天羽支部というのは、薄光会が運営する事業所の一つ、ケアホームCOCO(6棟のケアホーム)に入所している知的障害者の保護者、および太陽(ひ)のしずくを通所利用している在宅介護の障害者の保護者の組織を指す名称で、会員は現在40名ほどになっている。
薄光会は、他にも富津市をはじめ鴨川市、南房総市に事業所を展開している。その事業所ごとに利用者の保護者・家族の会が結成されて、利用者を通じて職員とのコミュニケーションを図るなど、利用者すなわち障害者の安寧な日常生活のための補助的な役割を果たしている。
元々薄光会という法人は、障害を持つわが子の将来を案じた、親たちが立ち上げたもので、昭和50年代というまだまだ、障害者に対する社会の認識は低く、受け入れる施設も今のようにはなかった時代のことだ。
その中心的な任務を理事長として担っていたのが、鈴木栄氏だったが、平成15年の夏に病のためこの世を去った。それについては何度もここに書いてきたが、いつもこの記事を始めて読む方のために、同じ説明を繰り返している。

天羽支部会の役員は支部長のS氏のみ留任で、副支部長、会計、会計監査の3名が交代した。
天羽支部には在宅介護の障害者の比較的若い保護者がいて、役員のなり手がいるということで、助かっている。今回会計と会計監査を担ってくれるのが、まさにその在宅介護障害者のお母さんたちで、今年度の天羽支部の活動を積極的にけん引してくれることを、大いに期待できる。
他の支部とは異なる新たな活動を目指そう、そうした考え方の支部長の下、今年度も新たな役員を迎えて、利用者(障害者)ファーストを旗印に、頑張っていこうと思う。

 

 

読んでみたいと僕が思う動機は実に様々だ。本書の場合、一つは宝島社の「このみすてりーがすごい!」大賞優秀賞を受賞したことだが、偶然ネットで彼女の画像を見たことにある。画像には東大卒ということや「このミス大賞」優秀賞受賞についてなど、添えられていたことからぜひ読んでみたいと思った。
「このミス大賞」には優秀賞のみならず、受賞に至らなかった作品も隠し玉ということで、宝島社から文庫として刊行された作品が幾つもあり、中にはシリーズ作品となって多くの読者を勝ち得ているものもあるから、見逃すことが出来ないのだ。
若くて優秀な頭脳を持った(東大の総長賞をもらうくらいだから)女性作家の作品はどんなものだろうと、興味を持つのは当然のことだろう。著者・辻ゆめ嬢の画像がどうして目に入ったのかは、覚えていないがどこからか僕の頭に入ってきたことは間違いなく、面白そうな新作ミステリーを探すのに、それほど多くのことをしているわけではないから、多分Amazonからのメールマガジンなどから関連付けられたのだろう。直ぐに市原市立図書館のサイトを見て、貸出可となっているので、借りに行ってきた。

 

 

イトルからいろいろとその内容を想像するのも、読む前の楽しみの一つで、古典の名作ウィリアム・アイリッシュ氏の「幻の女」を思い浮かべたが、残念ながら全く異なる内容だった。
一口で言ってしまえば、ファンタジーというカテゴリーに入る作品だが、ミステリーとしては本格ミステリーで、その内容を説明するのは難しい。主人公は若い女性シンガーソングライター・上条梨乃という。
ある朝、彼女は路地裏のごみ置き場で目覚めた。なぜこんなところにいるのだろう?そう思ったが、昨夜からの記憶があやふやなのだ。誰にでも好かれるようなカリスマ性も持つ彼女は、事務所でもナンバー1の稼ぎ手であった。だが、そんな彼女の顔を見ても誰一人として、彼女を上条梨乃として認識しないのだ。
そして決定的に彼女を驚かせたのは。街の電光板に流れる「上条梨乃の自殺」というニュースだった。そんな中交差点ですれ違いざま、「上条梨乃さんですね」と呼びかけたのが、佐伯優斗という青年だった。
こんな波乱含みの幕開きで始まるストーリーは、もどかしい思いを抱かせながらも、サスペンスを漂わせて進む。

 

 

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