短夜や癒し音楽に眠り待つ
二人して共に老いたり冷素麺
雲の峰飛行機雲がすれすれに
会釈人名前度忘れ炎昼に
青田風頬にほどよき車椅子
信号を曲がれば夾竹桃の赤と白
二人して共に老いたり冷素麺
雲の峰飛行機雲がすれすれに
会釈人名前度忘れ炎昼に
青田風頬にほどよき車椅子
信号を曲がれば夾竹桃の赤と白
朝に飲む薬六錠寒の水
寒椿玄関出ればそっと触れ
暖かな雨に濡れてる石灯籠
工事場の点滅ランプ冬の雨
冬日差し縁側こえて調度まで
冬の湖凪て白船ゆったりと
節分の夜更けの居間に鬼の面
黄水仙挿せば花々そむきあい
二人して葛湯あわあわ春が来ぬ
春立つ日パステル色の今朝の空
高橋正子先生の言葉
花冠創刊号の代表句を三句あげれば、次の句となりますので、声に出して是非味わって下さい。
空一面あけぼの色の鰯雲 佐夜子
あけぼの色に染まる鰯雲。高い空に広がる鰯雲に心が空を飛ぶような気持ちが湧きます。今日も好日。
水のいろ火のいろ街に秋燈 ますみ
街に灯る秋の燈を見ていますと、水のいろをした燈、火のいろをした燈があります。それが、大発見のように新鮮です。青い燈、赤い燈が入り混じる街の燈を見つめれば、どこかさびしさも湧いてきます。
秋冷やポケットに拳しまいけり 和 美
「しまいけり」は単なる事を述べただけのようですが、よく感じれば、事を超越した心もちがあって面白い句です。秋冷の拳が詩になっています。 花冠のあたらしい俳句があたらしい俳句雑誌「花冠」の座によって、生まれてくることを願っています。