今日の三句

参道をせばめて屋台秋祭り
先師句碑掃き清めあり秋の社
白菊の香りほのかに仏の間

今日の三句

秋めくやふと確める着メール
新涼をきざむ庭師の鋏の音
風鈴市千の音色と風の色

今日の三句

炎天下歯だけの白き球児かな
緑陰の僅かな陰を求めけり
ためらわず影来し黒蝶炎天へ

今日の三句

松籟を聞きつ輩の夏まつり
納涼船なんと優しい伊勢訛り
赤えいの皮剥ぐ浦の匂いかな

今日の三句

奔放な児の造形や夏休み
昨日とは違う日和のはたた神
満々と濁水あり夏の湖

今日の三句

炎天下列島は今正午なり
少年の憂い含んで朝顔咲き
朝顔の花から零る雫かな

今日の三句

池浄め蓮の一花の咲き初めし
鱧切りのリズム伝わり夕茜
花火果て喝采の闇深まりて

今日の三句

噴水池緋鯉揺らめき水光る
唐突に沈黙が来て蝉時雨
ひと色の夏溢れけり伊勢の海

今日の三句

ひと駅は歩いてみょう梅雨明けて
翡翠の飛翔一瞬光飛ぶ
舟載せて上る大河や川下り

今日の三句

風見鶏今朝は南向き梅雨晴間
柳包丁使いこなして夏料理
短夜の無呼吸案ず寝息かな