潮干狩 （４月３０日 月曜日）

　　　　　　春の朝海ひろびろと波光る

　　　　　　春の富士沖に航跡の波白く
         
            春の富士海ひろびろと光る波

　　　　　　富士望む浜陽炎のゆらゆらと

　　　　　　浅蜊堀東京湾の三番瀬

　　　　　　幼子の大きな熊手潮干狩
　　　
　　　　　　熊手持つ孫たちの影汐干潟

　　　　　　潮干狩干潟に数多な砂の山

　　　　　　幼子の長靴に水潮干狩

　　　　　　潮干狩幼は浜の砂遊び

　　　　　　春霞東京湾を巨船ゆく

　　　　　　砂浜は黒山の人潮干狩　

　　　　　　三番瀬春の光に包まれて

　　　　　　昼の浜潮溜まりの水温む

　　　　　　潮干狩幼の手足に浜の砂

　　　　　　潮干狩終えておにぎり頬張る子

　　　　　　砂浜に寝転び一気に春の空

　　　　　　春光の浜に眩しきに白き貝

　　　　　　青空を突き上ぐ浜辺の松の芯

　　　　　　春の海風受け孫と漕ぐ銀輪

　　　　　　丘上る空より広がる春の海

　　　　　　丘上り春の空より光る海

　　　　　　潮干狩土産の網のずっしりと

春嵐 （４月２９日 日曜日）

　　　　　　風は雲雲は雨呼び春の雷
　
　　　　　　一陣の風吹き起こり春の雷

　　　　　　黒き雲たちまち広がり春の雷

　　　　　　黒雲湧きからす飛び去る春の雷

　　　　　　春の雷赤子の泣き声高くして
　
　　　　　　春の雷近づきシャッター閉める音

　　　　　　天声か春の雷鳴地に響き
　
　　　　　　黒雲に閃光走る春の雷

　　　　　　春嵐ビルの街のごうごうと

　　　　　　春嵐街の灯明るき午後三時

　　　　　　春荒れや空に飛び交う鳥もなし

　　　　　　雷鳴と土砂降りの雨春嵐
　
　　　　　　あちこちに光と音あり春の雷

　　　　　　雷光を背に土砂降りの春の街

　　　　　　春嵐去りてまた午後四時の街

　　　　　　嵐去り朧月夜や赤子寝る

白躑躅 （４月２８日 土曜日）

　　　　　　白つつじ告別式へと向かう道

　　　　　　春の日の告別式の厳かに

　　　　　　白躑躅亡骸花に覆われて

　　　　　　白躑躅喪主あいさつし御出棺

　　　　　　車へと春日に白木の棺持つ

　　　　　　葉桜の斎場着きし霊柩車

　　　　　　白躑躅火夫鄭重に渡す壷

　　　　　　初七日の読経や庭の白躑躅

　　　　　　線香を手向けて別れ白つつじ

春の暮 （４月２７日 金曜日）

　　　　　　喪服には日差し眩しき春日かな

　　　　　　尊顔を拝して合掌暮れの春

　　　　　　通夜僧の読経流れる春の暮

　　　　　　春灯曼荼羅を背に位牌濃き

　　　　　　焼香の紫煙の揺らぐ朧の夜

　　　　　　通夜僧の題目響く朧夜や

　　　　　　春灯通夜振る舞いの酒の席

　　　　　　戒名の文字の話や朧月
 
　　　　　　朧夜や身内話の通夜帰り

春落葉 （４月２６日 木曜日）

　　　　　　引率や列両側に花みずき

　　　　　　春落葉庭いっばいに箒の目

　　　　　　春雨や濡れて赴く酒の宴

　　　　　　新旧の歓送迎会残り花

　　　　　　新人へ一献勧める残り花

　　　　　　次の幹事決めてお開き春の宴

　　　　　　姉よりの真夜の訃報や春の闇

藤の花 （４月２５日 水曜日）

　　　　　　塀越して隣の家へ藤の花　

　　　　　　狭庭に溢れるむらさき藤の花

　　　　　　藤の花水面の色のやわらかに

花水木 （４月２４日 火曜日）

　　　　　　春の野に一際高く白き絮

　　　　　　正門に校歌に詠まれし花水木

　　　　　　花みずき闇の通りのともし火に　

八重桜 （４月２３日 月曜日）

　　　　　　音もなく桜蘂降る並木道

　　　　　　桜樹の並木に濃き桃八重桜

　　　　　　桜樹のなかに一枝残る花

枸杞 （４月２２日 日曜日）

　　　　　　街外れ芽を摘む老いと枸杞談義　

            春の野に足投げ出して仰ぐ空

　　　　　　春風にハンドベルの音鳴り渡り

            　

芝桜 （４月２１日 土曜日）

　　　　　　合奏の音和す入学祝う会
　
　　　　　　紙花のアーチのなか行く入学子
　
　　　　　　入学や在校生の大拍手

　　　　　　呼名され大きな返事一年生

　　　　　　学年の出し物を見る入学子
　
　　　　　　演奏と歌や入学祝う会

　　　　　　振りつけて歌う入学祝う会

　　　　　　入学子百名歌声響かせて
　
　　　　　　入学子在校生と校歌かな

　　　　　　児童会進める入学祝う会

　　　　　　武具飾る料亭始まる酒宴かな

　　　　　　庭石のまわりぐるりと芝桜

　　　　　　新教師迎え始まる歓迎会

　　　　　　転入の教師あいさつ春の宴

　　　　　　酌み交わす酒や春の歓迎会

　　　　　　話の輪ひろがる春の歓迎会

　　　　　　歓迎会さくら色なる新教師

　　　　　　一本の手締めで終わる春の宴

小手毬 （４月２０日 金曜日）

　　　　　　小手毬の咲く道通う黄の帽子

　　　　　　けんかしてすぐ仲直り一年生

　　　　　　水溜り赤茶に染めし桜蕊

　　　　　　とんとんと車の屋根に桜蘂　

 

山吹 （４月１９日 木曜日）

　　　　　　山吹を揺らす黄の傘黄の帽子

　　　　　　吹き溜まる蘂の火消す如春の雨

　　　　　　長雨や春耕の畑黒々と

桜蘂 （４月１８日 水曜日）

　　　　　　並木道歩道敷き詰むる桜蘂

　　　　　　繁りゆく桜木のなか桜蘂

　　　　　　救急車濡れし屋根に桜蕊

　　　　　　子の白き傘にぽつんと桜蕊

　　　　　　駐車場屋根に地上に桜蘂　

　　　　　　雨雫つくランドセルに桜蕊

　　　　　　桜蘂掃きて重たき雨湿り

　　　　　　雨雫つられて桜蘂降れり

　　　　　　庭園の緑の苔に桜蕊

桜餅 （４月１７日 火曜日）

　　　　　　傘さして葉桜の道一年生

　　　　　　赤飯や春外孫の宮参り　

　　　　　　宮参り終えて頂く桜餅

草若し （４月１６日 月曜日）

　　　　　　春風を入れてドライブ子や孫と

　　　　　　長堤の蒲公英群れて黄の帯に

　　　　　　川近し燕飛び交う流山

　　　　　　青々と田の畦四角や草若し

　　　　　　春風にエクスプレスや遠筑波

　　　　　　新駅の「おおたかの森」燕来る

　　　　　　春の野や抱かれし赤子すやすやと