バルカン半島に嫁いだ女の日記

「幸せ」という字には「辛い」という字が隠れている。
 バルカン半島より喜怒哀楽の心模様を伝えたい。

57. 澱

2009年10月12日 | 日記詩(詩のようなもの)
7月2日2009年

57. 澱

 ドアが開いて入ってきた者が、ある男に迫る病を告げる。
 様々なことの辻褄が簡単に合うが、それはもう5年も前から聞いている事実。

 発病が告げられても、その男に対する同情は深くは起こらない。

 世の中の不幸という不幸を背負いながらようやく歩く者達のことを思えば、、、

 たった一人住まいの不治の病を承知で、病と共に
 ようやく生きている老人を思えば。。。
 この者が一体何をしたというのか。
 夫に家族にと、献身意外に。何をしたというのか。
 その見返りが、孤独と不治の病と死への恐れとは。
 話す相手も誰もいない老人の深い孤独を思えば、
 病を告げられたその男に対する思いは、
 彼の日常の些細な出来事と共に、
 沸き起こる優しさが相殺されてしまう。

 醜いことをすれば、自分に返り、自己の利のみ考える者には友もなく、
 優しい言葉や励ますということを知らない皮肉屋に迫るもの。
 
 湧き上がりつつある同情を
 さえぎるものがはっきりとある。

 湧き上がりつつある心配の念ともろもろの心を
 押さえようとするものがある。

 はっきりとある。

 それは、溜まりに溜まった心の中の澱。

 溜まった澱は長い年月の間に固くなり
 優しさや同情の液体を今ほんの少し注いでも
 もはや溶かすことがかなわない。

 心の中に積もった薄いどす黒い澱は
 自分の中のものだけでは
 取り除くことができない。

 この男に、

 たった一度、

 たった一つ、

 真摯な言葉が出てくれば、

 この澱は

 嘘のように消えてなくなるものを。

 それもかなわないであろう。

 この男がそうしてきたように、

 同じことが誰かによって自然に返されていく。
 


 自然には見えない掟が確かにある。
ジャンル:
ウェブログ
コメント (0) |  トラックバック (0) |  この記事についてブログを書く
Messenger この記事をはてなブックマークに追加 mixiチェック シェア
« 目を引いた諺2 | トップ | 出会いのストリーム »

コメント

コメントはありません。

コメントを投稿


コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。
※文字化け等の原因になりますので、顔文字の利用はお控えください。
下記数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。この数字を読み取っていただくことで自動化されたプログラムによる投稿でないことを確認させていただいております。
数字4桁

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
  • 30日以上前の記事に対するトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • 送信元の記事内容が半角英数のみのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • このブログへのリンクがない記事からのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • ※ブログ管理者のみ、編集画面で設定の変更が可能です。

あわせて読む

「日記詩(詩のようなもの)」カテゴリの最新記事