まこの時間

毎日の生活の中の小さな癒しと、笑いを求めて。

弓道の母

2016-03-13 | 弓道

高校を卒業してからずっと女子のお世話をしてくださったM先生と話したくなって電話したら今度は会いたくなって弓友を誘って訪ねた。

施設はきれいでホテルのような部屋に車いすの先生が出迎えてくれた。たいそう喜び、また、亡くなった夫や家族の話に涙を溜めてくださり、先生は相変わらずお優しい。耳が少し遠くなったくらいでとてもしっかりしておられ話に花が咲き「実は・・」と、いうような昔話も飛び出た。

「先生、自由が寂しいって思うんや。」と、夫がいないことの寂しさをいうと、「あらあ、ばば臭いこと言うて。」と、86歳の先生に言われて爆笑してしまった。あまりに楽しく話が盛り上がったので、先生の身体の不調などないような気がしてしまった。しかし、年齢相応の悩みがおありのはずなのに。

いとまごいを告げると「廊下で見送るから、車からここを見上げてよ。」と、言われた。駐車場から見えないところなので、ぐるっと回って4階を見上げると、車椅子の先生が窓越しに両手をふっておられた。わたしは、窓を全開にして大きく外に手を出して振りながら、なんだか涙が出てきた。

先生にはお世話になったなあとつくづく思った。直接的ではなく、いろんな場面で先生が弓道を続けておられたことで、わたしたちが前を向いて歩いて行けた気がする。先生がいつも「家族を大切に。」「無理しまさんな。」と、おっしゃられたことが今も思い出される。