KID's room

小児科医からの情報発信ブログ

今年もお世話になりました

2012-12-31 18:49:16 | 診察

 これほど1年が短かった年は初めてです。今日が大晦日とはとても思えません。

 今年の大きな変化は電子カルテになったことです。診察が終わってから患者さんがお帰りになるまでの時間が短くなりました。私的にもう一つ電子カルテのおかげでよかったのは、レントゲン写真の判読(所見を読み取って診断すること)がとてもしやすくなったことです。昨年からマイコプラズマ感染が流行していることもあり、とても助かりました。

 マイコプラズマと言えば、昨年夏からマイコプラズマ感染症ときちんと検査で診断できた症例が100例を超えました。高熱に続いて特徴的な咳が出てくればむしろ診断も治療もしやすいのですが、中にはまったく咳の出ない肺炎や逆に咳だけで熱の出ない肺炎の人、レントゲンに異常のない喘息症状が長く続く人もいて診断に難渋しました。それもこれもマイコプラズマに今まで効いていた薬が効かないので、できるだけ正確に診断して効く薬を選択しなければならなかったためです。おかげでいろいろ勉強になりました。

 来年で卒後30年になりますが、ありきたりな疾患でも常に新しい発見があるのがこの仕事のおもしろさでしょう。  

おまけ:
今日娘と映画「レ・ミゼラブル」を観てきました。半年以上かけて原作を読んだのが高校生の時、劇団四季のミュージカルを娘と観たのがちょうど10年前。今日のもミュージカル映画でしたが、この短い時間でしっかり中身が伝わるのも歌のおかげでしょうね。今年の締めくくりの涙となりました。

 みなさん良いお年をお迎えください。来年もよろしくお願いいたします。


 

 


ノロ・雑感

2012-12-21 11:19:45 | 感染症
ニュースではノロ!ノロ!と騒いでいますが、別に新種のウイルスではありません。私の学生時代には小型球形ウイルスとか言われていましたが、詳しく研究されて名前がついただけです。昔から冬に流行っています。名前が付くとさぞ恐ろしい病気かと考えるのは困ったものです。

何回かゲーゲー吐いてあとはだんだんよくなります。死ぬ人はほとんどいません。死亡した!とニュースに出るのは死ぬのが珍しいからです。亡くなるのはたいていお年寄りです。体が老化しているのだから仕方がないと思います。

科学は進歩していますが、ヒトの体が進化しているわけではありません。むしろ退化していると思います。
風邪をふくめてほとんどのウイルス性疾患は特効薬がありませんからすぐには治りません。時間をかけて自分の体の免疫力で治すほかありません。予防予防と言っていますが、極めて伝染力が高いのでムリだと思います。私も子どものころからたぶん何回も罹っています。たくさんの患者さんと接しても症状が軽いのは、免疫ができているためです。インフルエンザもそうです。医者になってから罹った覚えがありません。
一番の予防法は皮肉なようですが何回も罹って免疫力をつけていくことかもしれませんね。(ワクチンのない感染症は逃げても無駄。戦って勝つ勝つたびに強くなる!ゲームでライフポイントが高くなるようなもんです。)しかしこんな私でも年を取ったら免疫力が低下してごく普通の細菌かウイルスにやられて死ぬのでしょう。