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菜食主義の弊害と口嚙み酒

2016-12-24 13:09:44 | Weblog
世間の一部ではクリスマスおよびこれが三連休であることを「嘆く」輩もいるが、今になって落ち着いて考えれば、そのように嘆くこと自体が自身のコンプレックスを表出しているだけに過ぎない。

というわけで本日も当ブログは当ブログ風に行く。

まず、菜食主義の弊害についてである。

晩年のヒトラーは事実上錯乱状態であったことは良く知られているが、これには実は理由がある。
とある理由からヒトラーは菜食主義に転じたが、それにより様々な身体的弊害が出始めた。
これを主治医が劇薬を使って対処してたため、その劇薬が手の震えや錯乱などの症状を引き起こしていたのである。
「なんだ、菜食主義というより劇薬対処が問題ではないか」
という意見もあろうが、大元を辿ればそのような劇薬に手を出したのは菜食主義故であり、ユダヤ人絶滅と同様のことを大戦末期においてドイツ人に課そうとしたヒトラーの行為(ネロ指令等)の動機の一部には、菜食主義も含まれていると考えるのが妥当である。


次に、最近何度も取り上げているが、映画「君の名は。」において口嚙み酒が出てきた。ヒロインの妹が「現役女子高生の口嚙み酒」として売ればいいと冗談を言っていがた、これについて「博士の異常な愛情」風に評してみたい。

ストレンジラブ
「大統領、しばしお待ちを
 酒類製造における試験研究を行った身として、2000年代ですが、私は確かに類似の構想を冗談として言いました
 しかし、その冗談の先を検討した結果、これは商品化不可能であると判断致しました。
 その理由は、この日記の後半部分で明らかになるでしょう」

マフリー
「しかし、その製造自体は可能なのかね?」

ストレンジラブ
「大統領、テクノロジー的には、最も未開な人類社会さえ可能なレベルです。
 造ろうという意思さえあれば、造れる」

マフリー
「が、実際ありうるだろうか。一度口にしたものを吐き出すといったことが?」

ストレンジラブ
「大統領、有りうるどころか、そうでなければ意味がない。この手の酒造ではそれこそがまさに必須条件
 酵母に資化可能な炭素源を与えて初めてエタノール発酵となる。口嚙み酒は、炭素源であるでんぷんを唾液の中のアミラーゼで分解かつ空気中の酵母を使って発酵させる。
 単純にして明快、だからこそ、非常に造りやすい」

マフリー
「しかし炭素源といっても、どうやって?」

ストレンジラブ
「現在醸造に使用されている酵母の大部分は、でんぷんを資化できない・・・」

(中略)

ストレンジラブ
「しかし、神社の伝統文化としているからこそ、酒税法を免れているのだ。販売しては意味がない。何故糸守町の税務署は動かなかった!!」

税務署
「月曜の監査で調べる予定だった。土日は休みでね」


こんな感じで、以下に、酒類研究者として得た知見を基に、商品不可能の理由を述べていきたい。

1.衛生面
人の口に入るものである限り、これは免れない。
人の口腔の汚さは尋常ではなく、粘膜を介した感染症の危険もある。それを加味してなお安全が担保出来る体制でなければ、まず造られない。

2.量産性
採算を取るためには、一定量以上を製造しなければならない。口嚙み酒のキモはヒトの唾液のアミラーゼを使ったでんぷんの分解であるから、アミラーゼの能力・変性・失活を考えると、大量の新鮮な唾液が必要となり、唾液供給者の大きな負担ともなり、量産の大きなネックとなる。
なお、秘伝のタレのように継ぎ足して使った場合さらに2つの問題が出現してくる。
第一に、人間の唾液のアミラーゼ以外のアミラーゼ等(例えば液化酵素や麹菌だったり)を都度補う必要があるが、それなら現在の手法の方が手っ取り早い。
第二にバッチ式(毎回醸造する)のではなく、連続発行式にしてしまえば、上記衛生面を含めた雑菌汚染の問題・リスクが非常に大きくなる。例え衛生面をクリアできたとしても、乳酸菌などによる品質面での汚染が懸念される。

3.品質
「美味しんぼ」の作者は激怒するかもしれないが、現在の技術を用いて造った清酒は、古今最高の出来栄えである。
江戸時代の伝統的技法で造られた酒よりも、現在の酒の方がはるかに品質において洗練されているのだ。
口嚙み酒は、麹を入れる以前の古代の酒で、その神事との関連性もあって「酔えれば何でもいい」というレベルのものであり、その品質の改善には大きな余地がある。
逆に言えば、現在の酒に太刀打ちできない酷い品質である、というわけだ。
特に麹を入れないことは並行発酵などによって出来る複雑な香味を無視することであるから、その低品質を補って余りある求心力が口嚙み酒商品には必要である。

4.流行り
口嚙み酒のニーズをより厳密に分析すれば、流行のアイドルの口嚙み酒というところに帰着すると予想される。例えばもうすでに時期を逸しているかもしれないが、「橋本環奈の口嚙み酒」といった具合である。しかし芸能界の流行り廃れは非常に速い。多数の技術・法的困難を乗り越えていざ発売というときに、既にそのアイドルの流行が終わっていれば何の意味もない。酒造協会は芸能界との関係性を密に保って、新たな展望を迎えるかもしれないが、そこまでして一時的な流行に乗って「コアなファン」程度しか飲まないものを売るコストメリットがあるのかは、大いに疑問である。

なお、上記(特に衛生・量産・品質)問題の解決策として、流行のアイドルの体の一部を採取して“その人の”アミラーゼとマルターゼ遺伝子についてcDNAを調製し、これをコウジカビのゲノムに挿入させ、発現・分泌・機能維持を確認したのち、このコウジカビを用いた清酒を作る、という方法で「○○さん由来の清酒」を造る手法が挙げられる。
但しこの場合、セルフクローニング以前の異種発現、それもヒトの遺伝子であるので、「遺伝子組換え食品」以上に紛糾する事案であろう。特に醸造という事実上「解放系」であれば、組換え菌の外部漏出は防ぎようがない。
これを推し進めるには橋本環奈を例にとれば、「カルタヘナより環奈さん」を合言葉に、相当なロビー活動が必要であり、結局この手法も製造以前にリスク要因が多すぎて商品化は不可能であろう。

最後に、ネタバレになるが、映画「君の名は。」のヒーロー役はヒロインが3年前に作った口嚙み酒を飲んでいたが、あのような環境下でも、火入れすらしていないものを3年も放置していれば、「老ね」以前の酷い品質になっているだろう。ヒーロー役がそのあと「夢を見た」のは、足を滑らせて頭を打った以外にも、これによる影響も考えられる。
また、3年間のあの環境の放置は酢酸菌がエタノールから酢酸を生成するのにも好適な環境であり、既に口嚙み酒は酢になっていたかもしれない点も指摘したい。
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