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「黒田日銀」にも求められる貧困軽減の理念④

2013-03-19 00:01:27 | 日本

(前回からの続き)

 「アベノミクス」のもとでの黒田日銀の大胆な金融緩和策への期待や世界的な「リスクオン」の潮流に乗って金融マーケットが活気づいています。

 もっとも沸き立っているのが株式市場でしょう。アメリカではダウ平均株価が史上最高値を更新したほか、わが国でも日経平均株価がリーマン・ショック直前の高値を上回るレベルになってきました。株価の上昇はプラスの資産効果をもたらし、これがさらなる投資や消費を促すなどの好影響を景気に与えることでしょう。その意味で、株式等の資産価値を高める「インフレ2%目標」には経済を活性化させる効果がそれなりに期待できそうです。

 しかしこれが広く国民全体に及ぶかどうかは微妙でしょう。以下に記すように、わが国では家計のポートフォリオに占める株式のウェートがそれほど高いとはいえないし、インフレによるマイナスの影響を差し引かなくてはならないからです。

 日銀の資金循環統計によると、2011年度末時点の家計の金融資産の構成割合は、現金預金が約55%、ついで保険・年金準備金が約28%で、株式・投資信託は約10%にすぎません。今後、株式市場の活況に惹かれて日本の家計のマネーが預貯金から株式等リスク資産へシフトしていくかもしれませんが、このように、現時点での個人や家計の金融資産における株式の割合は低く、したがって株価上昇の恩恵があらゆる階層に行き渡るかどうかは不透明と考えています。

 一方で黒田日銀の金融政策は、実質的なマイナス金利によって家計金融資産の根幹をなす預貯金の実質価値を毀損させます。ということは「インフレターゲット政策」は、量的緩和で価値が膨張する資産(株式等)を持っている人と持っていない人(預貯金以外の金融資産が乏しい人々)の差、つまり資産格差を拡大する方向に作用してしまうのではないでしょうか。

 さらに家計の資産に関して見逃せないのは、わが国でも貧富の差が広がっていることの証なのか、金融資産ゼロの世帯が増えていること。金融広報中央委員会が発表した「家計の金融行動に関する世論調査」(2011年)によれば、預貯金や株などを保有していない家計が全体の3割近く(28.6%)に達し、1963年の同調査開始以降でもっとも高い数字を記録したとのことです。そんな金融資産ゼロ世帯の人々にとっては「アベノミクス」や黒田日銀の「インフレ2%」は災厄以外の何物でもないでしょう・・・。

(続く)

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