地名アラカルト

各地の難読地名や珍しい地名についての由来やエピソードなどについて調べてみたいと思います。

東北のアイヌ語由来とみられる駅名(青森県・岩手県) (1)

2014年08月14日 21時55分02秒 | Weblog
 北海道の駅名は,ほとんどがアイヌ語地名に由来すると言っても過言ではないが,東北地方にもアイヌ語地名に由来するとみられる駅名も下記の通り少なくない。主として西鶴定嘉著『東北六県アイヌ語地名辞典』(国書刊行会)に依拠。詳細は同書を参照されたい。

撫牛子 ないじょうし JR奥羽本線。青森県弘前市大字撫牛子一丁目。
アイヌ語「ナイチャウシnay-cha-us」(スイバ,ギシギシ等が,川岸に,群生しているところ)の音訳。

大沢内 おおざわない 津軽鉄道線。青森県北津軽郡中泊町。
アイヌ語が起源との説もある。

乙供 おっとも 青い森鉄道青い森鉄道線。青森県上北郡東北町上笹橋。
アイヌ語「ota-tomo」が音韻転訛した短縮形で,オタ(砂地),トモ(はずれ)で砂地のはずれの義。

野辺地 のへじ JR大湊線(起点)・青い森鉄道の青い森鉄道線。青森県上北郡野辺地町上(かき)小(こ)中野。
アイヌ語「nup-pet,野の川」の転訛説もある。

階上 はしかみ JR八戸線。青森県三戸郡階上町(ちょう)道仏(どうぶつ)。
アイヌ語(pa’skamuy,パシカムイ)の転訛説。

吹越 ふっこし JR大湊(おおみなと)線。青森県上北郡横浜町吹越。
吹越鳥帽子山から起こった地名。この山は休火山で,噴火口が埋まって窪地をなすところが多い。フッコシはアイヌ語「pu-ko-si」の訛り。puy-kot-us-iが音韻転訛した短縮形である。puy(穴)kot(あと)us-i(多い所)の意。

艫作 へなし JR五能線。青森県西津軽郡深浦町舮作。
アイヌ語「pena-us-i」が音韻転訛した短縮形のペナシ「pena’si」。ペナ(硫黄物を含んだ水),ウシ(多い所)。深浦の奥には猿の湯があるという。

三厩 みんまや JR 津軽線。青森県東津軽郡外ヶ浜町三厩東町。
アイヌ語「メムマヤ(mem-ma-ya)」の音訳。「沼のような澗のある海岸」の義。

石鳥谷 いしどりや JR東北本線。岩手県花巻市石鳥谷町好(こう)地(ち)。
アイヌ語「イシトルヤ ishi-toroya」の音訳。iは第三人称主格,名詞shitoについた例で,「それの大湖(shi-t)のところ(or)の岸(ya)」の意。北上川の本流に,東から岳川,西からは葛丸川が流入しているところに古代大湖があったみている。

いわて沼宮内 いわてぬまくない JR東日本・IGRいわて銀河鉄道。岩手県岩手郡岩手町江刈内。沼宮内はアイヌ語のヌマクナイ「nu-mak-nai,ヌ(湧き出る),マック(背後),ナイ(川)」の音訳で,「町の背後から湧き出ている川)」の意。

上米内 かみよない JR山田線。岩手県盛岡市上米内。
米内はアイヌ語のイオナイ(i-o-nay-i)で「そこに熊が出る沢」,「蛇の多い沢」の意。アイヌ人が最も恐れていたのは熊や蛇であったという。

吉里吉里 きりきり JR山田線。岩手県上閉伊郡大槌町吉里吉里二丁目。
アイヌ語のキリキリ説。「歩くとキリキリと音をたてる砂浜」の意という。知里真志保(1909~61)は「歩けばキリキと音を立てる砂浜」,金田一京助(1882~1971)は「砂浜を歩くときの擬音語」といずれも聴覚がとらえたオノマトペ(擬音語)の説をとっている。

厨川 くりやがわ IGRいわて銀河鉄道線。岩手県盛岡市厨川一丁目。
アイヌ語の「クリヤ(ku’riya)」はクツ・リ・ヤ(kut-ri-ya)の短縮形。クツ(断崖-北上・雫石両川合流点付近の断崖),リ(高い),ヤ(河岸)で,「断崖の高い河岸」の意。

小鳥谷 こずや IGRいわて銀河鉄道線。岩手県二戸郡一戸町小鳥谷。
アイヌ語「コッヤ(kot-ya,谷底の河岸)」の転訛。

宿戸 しゅくのへ JR八戸線。岩手県九戸郡洋野町種市(たねいち)。
アイヌ語「シュプンヌペツ,shupun-nu-pet」の転訛。「ウグイ(shupun)が湧く(nu)ようにたくさん生まれる川(pet)」の意。

摂待 せったい 三陸鉄道北リアス線。岩手県宮古市田老字摂待。
アイヌ語「セッタイset-tay」セッ(鳥の巣),タイ(森)で「鳥の巣のある森」の意。

千厩 せんまや (JR東日本)大船渡線。岩手県一関市千厩町千厩
センマヤse’mayaは「セプ・マ・ヤsep-ma-yaが音韻変化した短縮形。セプ(広い)マ(川につながる沼)ヤ(岸―湖岸)の義。

磯鶏 そけい (JR東日本)山田線。岩手県宮古市磯鶏石崎。
イソケイ(iso-ke-i)のイが脱落地名。イソiso(草木の生えていない裸石),ケイke-i(所,バチェラー氏)「裸岩のある所」。

唐丹 とうに 三陸鉄道南リアス線。岩手県釜石市唐丹町。
アイヌ語「kara-ni」の転訛。kara(発火器)ni(木)の意で,こすると火が出る木がある所の意か。

似内 にたない JR釜石線。岩手県花巻市上似内。
アイヌ語「ニタッナイ,ニタナイ」(nitat-nai,nita-nai,湿地・川)の転訛。nitatは“低地で水気の多いジクジクした場所”,naiは“川や沢”の意。また,nit-a-nayで,nitはnetと同じで漂木を,aは座っている(溜まっている)の意で,「漂木の溜まっている川」との説もある。
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