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花よりもなほ [監督:是枝裕和]

2006-06-23 06:57:56 | 映評 2006~2008
桜がいさぎいいのはさ、来年もまた咲くって知ってるからだよ・・・

かっこよく死ぬことよりかっこ悪くても生きることの素晴らしさを謳う本作
みすぼらしい掃き溜め長屋の負け組み人生まっしぐらの住人たち
そこであだ討ちの機会を狙う信州の若侍と、赤穂の浪士。
あだ討ちとはいっても所詮は人殺し。それを実行した奴より、実行しなかった奴を称えるあたりが楽しい。弱くて臆病で、確固とした思想もないいわば一般人が、したたかでも何でもとにかく生きて、ささやかでも幸せつかむ生き方を選ぶまでの過程が描かれる。
武士はかくあらねばならぬ・・・いつの間にか決められていた社会のルールにしたがっていた男が自分なりの生き方のルールを決める、いわばアイデンティティ獲得の物語。
「ひきょうでもせこくてもとにかく生きようよ」って思想と、「あだ討ちなんて所詮人殺しじゃん、かっこいいもんじゃねーよ」って思想に、共感するところ大。
死ぬなんてかっこいいもんじゃない、醜悪なだけさ・・・って思想も。
われら庶民の共感をうまく誘うようにできている物語だが、岡田准一くんがハンサムすぎて、いい女と難なくいい仲になったりするところが、庶民の嫉妬を買うような気もする。アイドルのうそくさい苦労話聞かされてるような・・・
も少しブオトコか、ブオトコを演じられる役者を使ってほしかった。スターとしての華はたしかにあるけれど
加瀬亮と岡田准一の役を入れ替える・・・のは中途半端だから、岡田→加瀬→香川照之の三角トレードすると、作品テーマに即したキャスティングになったのでは・・・
もちろんそれじゃ売れませんけど

加瀬と香川に加え、古田新太、田畑智子、木村佑一、寺島進ら競演陣が素晴らしく彼らの小芝居見てるだけでも楽しい。岡田くんも演技はどんどん上手くなってゆくのを感じる。お気に入りの宮沢りえはどうだろ・・・?可憐さを重視した演出と、反武士道の象徴的役回りとがかみ合っていない気が。りえちゃんとのバランスを考えても香川主役の「花なほ」を推したいなあ・・・

主役が信州松本から来た侍ということで、松本人(塩尻人だけど)としては興味をもってみれました。
ただ話し的には大した意味はない設定というか、保守的な田舎から出てきた人が都会で新しい考え植えつけられる・・・というごくごくステロタイプな展開に利用するに一番都合のいい"田舎"だったってことか・・・
都会派監督の是枝裕和。ミクロな視点で都会の内部を描くのに長けてるが、田舎の見方に目新しさはないのかな・・・

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