脳卒中をやっつけろ!

脳卒中に関する専門医の本音トーク
 最新情報をやさしく解説します 

木村さん

2009年09月28日 | 人物紹介
私が論文等の手術の絵を描いてもらっているメディアートの木村さんです。
木村さんは岐阜市内で別の会社で働いておられるのですが、そこで積極的に障害者の人を雇用しておられます。
今回、全国の障害者雇用支援ポスターに応募され、見事厚生労働大臣賞を受賞されました!
ポスターの素晴らしさだけでなく、普段からの取り組みが素晴らしいと思います。
ますます忙しくなるのでしょうが、メディカルアートの方もお願いしますね!
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Acute Stroke セミナー

2009年09月27日 | 学会/研究会
昨日はAcute Stroke セミナーを岐阜市で開催しました。
この会は当科の岩間教授と先日紹介した田辺三菱製薬の山口さんと相談して企画したものです。
Acute Strokeというのは「脳卒中急性期」を意味します。
「脳梗塞急性期にフォーカスを当てて、全国のトップクラスの先生を招いてその最先端を勉強する」というのが会の主旨です。
今回は聖マリアンナ医科大学東横病院の植田敏浩先生と、広南病院脳血管内科の古井英介先生のお二人をお招きしました。
このお二人は私がこれまで学会や講演会でご一緒させて頂いたことがあり、そのご講演が素晴らしいので是非一度お招きしたかった先生方です。
またお二人は数年前に横浜医療センターで一緒に仕事されていたということですが、現在はそれぞれが有名ドクターとして活躍しておられるのです。
植田先生には血管内治療としての立場から、古井先生には血管内治療も手がける内科医の視点からお話しいただきました。

お二人のご講演の後は、高山赤十字病院 林 克彦先生、村上記念病院 石澤錠二先生、土岐市立総合病院の北島英臣先生、当科の榎本由貴子先生にお願いしてパネルディスカッションを行いました。
会場はほぼ満席で非常に有意義な討論が行われました。
また岩間教授には「岐阜県全体の医療体制」という大きな視点からの座長コメントを頂き、非常に良くまとまった会になりました。皆さん、ありがとうございました。

今回のご講演とパネルディスカッションを通してある程度分かったことがあります。
それは血管内治療医、内科医、ともに多くの症例を経験して行くと、脳の太く重要な血管である内頸動脈や脳底動脈はtPA静注療法を行っても再開通する確率が低そうであることです。
つまりこれらの場所がつまった患者さんはtPAの点滴だけでは治療成績が悪いため、カテーテル治療による救済が必要であるという印象でした。

今年の日本脳神経血管内治療学会の「tPAの今」という企画で私たちは全国アンケート調査をしていますが、その結果が今回の印象と一致していれば、前向き調査できっちりと確認する必要がありそうです。

植田先生と古井先生には貴重なご経験をお話しいただき、本当に参考になりました。心より御礼申し上げたいと思います。
こういった会や全国学会を通して、日本の脳梗塞急性期治療が少しでも発展すれば、こんなにうれしいことはありません。
本会を主催していただいた田辺三菱製薬の方々に御礼申し上げます。

登録調査開始がいよいよ近づいてきましたので、そろそろ本腰を入れなくてはいけません。
当科のメンバーと詰めの作業をはじめます。
みなさん、応援をお願いします!
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高橋さん

2009年09月25日 | 人物紹介
大塚製薬の高橋 絵美さんを紹介します。
高橋さんは大塚製薬でプレタールという脳梗塞予防薬を担当されています。
彼女のプレゼンや資料提供、研究会支援などは、うちの科では極めて評判が良く、いつも頼りにしています。

彼女はその明るいキャラクターでだれからも好かれる方ですが、さらにはとても頑張り屋で、アカデミックなことにとても強い人です。
いつも質問をするとすぐに詳しい資料を届けてもらえますし、しかもそれが彼女の目で編集されている。だからすごく分かりやすいのです。相当の時間をかけた資料をあっさりともってくる人です。

現在わたしたちは、「Strokeハンドブック」という冊子を作成中です。
これは脳卒中を専門とする先生たちが、ベッドサイドや救急外来で使える分類やクリニカルエビデンスをまとめたものです。
高橋さんとすべての分類について原典を参照し、何回もミーティングを繰り返して作成した力作です!思い返すと、大変な労力でした。
これができたのはひとえに高橋さんのおかげです。本当は共著者に入ってほしいぐらいなのです。

しかし彼女もこの10月から岡崎に転勤になるということで、とても残念です。
「Strokeハンドブック」においては自分の右腕を失うような感じですが、これからも必要とあらば岐阜まで来てもらえるとのことで、ちょっと安心しました。
長い間ご苦労様でした。そして、これからもよろしくお願いします。
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血管の狭窄5

2009年09月24日 | 脳梗塞
前回の説明を補足します。
血管のなかの一番内側の部分を「内腔(ないくう)」と呼びます。
ここには血液が流れているわけです。
血液には赤血球や白血球、血小板等いろいろな成分が含まれていて、血管の壁に接触しながら流れています。

血管の内側には膜が張っています。
その細胞はスグレもので、血液がさらさらと流れる補助をしています。
血管が細くなってもこの膜はたいてい残っていて、脳梗塞にならないように守っているのです。

しかしその薄膜がやぶれると、前回説明したように血管の中の油のような成分が血液と接触して血栓ができるのです(上図)。
これを医学的には「プラークの破綻」といいます。
動脈硬化のかたまりである「プラーク」の内腔側にあるcapが破れることを指します。
一方、安定プラークでは、少々膜が破れてもその下には普通の繊維があるだけですから血栓はできにくいのです。

「不安定プラークの方が脳梗塞を起こしやすい」ということは、逆に「脳梗塞を起こした人に不安定プラークが多い」ことが予想されます。
当科の山田先生の検討では、実際に脳梗塞を起こした人に不安定プラークが多いことが分かっています。
予想どおりですね!

以上、安定プラークと不安定プラークについて説明しました。
みなさん、分かりましたか?


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血管の狭窄4

2009年09月23日 | 脳梗塞
血管が細い場合、脳梗塞を起こしやすいのはどんな状態かを考えました。
血流の低下以外に重要な因子は何か?
答えは、「血管の壁の中身」です。
同じように血管が細くても、分厚くなった血管の壁がしっかりとした線維でできているのか、油のようなドロドロしたものがたまっているのかで脳梗塞の起こしやすさが違うのです。

上の図を見てください。
血管の壁を輪切りにしてみると上のような均一な繊維で血管の壁ができている場合と、下のように柔かいものがたまっている場合があります。
このままであればこの2つに違いはないのですが、ひとたび血液の流れる部分の薄い壁が傷つくと状況は一変します。
油のようなものがたまっている場合には、これが血液に接することですぐに血栓ができて脳梗塞が起きるのです。
ですから我々は上のような血管の壁を「安定プラーク」、下を「不安定プラーク」と呼んで区別しています。

狭窄度だけではなく、血管の壁を診断することが重要なのがお分かりいただけたでしょうか?
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血管の狭窄3

2009年09月21日 | 脳梗塞
「中等度狭窄」と「高度狭窄」ではどちらが脳梗塞を起こしやすいでしょうか?
という質問についてですが、直感に従えば「高度狭窄」です。
そしてこの答えはほとんどの場合に正解です。
しかし狭窄度以外にもう一つ重要な要素があります。
細さだけではないのです。
これについて少し説明します。

そのためにはまず、「血管が細くなるとなぜ良くないのか?」ということについて考える必要があります。
血管が細ければ細いほど何が悪いのでしょうか?
たとえば誰かがホースを踏んづけると、水は止まってしまうか、少ししか流れませんよね。
これと同じ状態が血管におこります。つまり血管の中を流れる血液が減ってしまうのです。
脳の血液が極度に足りなくなると脳梗塞が起きます。
ですから「細ければ細いほど悪い」という考えは、この「血流」という観点からは正解です。

ではもう一つの要素は何でしょうか?
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近畿地方会

2009年09月20日 | 学会/研究会
昨日は大阪の千里で開かれた近畿地方会のランチョンセミナーで講演をさせて頂きました。
テーマは脳動脈瘤でした。
自分がトレーニングをうけた大阪の、しかも千里で、脳神経外科学会での講演をできるとは当時夢にも思っていませんでした。
このような機会を頂いた滋賀医科大学の野崎教授(写真)に心より御礼申し上げたいと思います。

今回は脳動脈瘤に対して開頭手術と血管内治療を使い分ける、あるいは組み合わせることによりいかに良い治療成績を出すかということに関して、私が行っている工夫についてお話ししました。
ランチのお弁当が良かったのか?会場は150人を超える脳神経外科医でいっぱいでとても緊張しました。
また弁当の量が多かったのか?退席者もいなかったそうで、ほっとしました。

随行してもらった大塚製薬の皆さん、ありがとうございました!
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山口さん

2009年09月18日 | 人物紹介
田辺三菱製薬の山口 晃さんを紹介します。
山口さんは岐阜大学の担当で、私が帰国してからこれまでずっとお世話になってきました。
自分の講演等で随行して頂く事も多かったのですが、毎回その心配りの細やかさには驚かされました。
でもいつも控えめで謙虚な方です。

一緒に出かけた山梨のセミナーでは私の怠慢で出発便に乗り遅れ、二人で駅を走ったこともあります。
しかし山口さんのおかげでなんとか間に合いました。
一言も文句を言われず、「良かったですねー」と満面の笑みで喜んで頂けました。

普段の対応においても、山口さんの仕事ぶりはその迅速さと丁寧さにおいて群を抜いています。
これまでずっと頼りにしてきましたが、この9月末で姫路に転勤になるとのこと。
本当に残念です。
しかし、山口さんはずっとここにいる方ではない、とも思います。
ますますのご活躍をお祈りするとともに、山口さんのような心配りができるよう自分も努力して行きたいと思います。
これまで色々とありがとうございました。

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2009年09月16日 | 閑話休題
昨日は病院で夕方に講習があったのですが、窓の外を見ると素晴らしい虹!
こんなに綺麗な虹は久しぶりに見ました。
携帯で窓越しに取ったのですが、どうでしょうか?

実際はもっと綺麗だったんですけどねー!
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血管の狭窄2

2009年09月15日 | 脳梗塞
治療の詳細に入る前に血管が細いということについてもう少し説明します。
どういう場合に細いというのでしょうか?
血管は心臓から出て、離れて行くに従ってだんだん細くなります。末梢(まっしょう)ほど細いということです。
ですから心臓側の部分と比較する方法では「狭窄がある」とは言えません。
上の図で下から上に血液が流れるとすると、末梢である上の矢印に比べて心臓側の下の矢印の方が小さい場合にはじめて「狭窄がある」と言うことができます。
上の図の中等度狭窄では、上矢印を100%とすると、下矢印は40%の長さです。
ですから100% - 40% = 60%の狭窄度という計算になります。

それでは上の図の「中等度狭窄」と「高度狭窄」ではどちらが脳梗塞を起こしやすいでしょうか?
直感的には「高度狭窄」ですよね。なんでも病状が悪い方が問題を起こしやすい。
わたしもずっとそう思っていました。
細ければ悪い、と。
しかしそうばかりではないことが明らかになってきています。
次回に詳しくお話ししますね。
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