トミーのブログ

園芸研究家(園芸家) 富山昌克(トミー)が日々に感じたことや書き留めておきたいこと。

大型カトレア熟考論

2017年02月12日 22時51分49秒 | 『花・野菜・果樹』に対する想い


物心がついた頃から、大型カトレアの株が温室のなかにいっぱいあった。

幼かった私にしてみれば、いっしょに生活している同居人のような存在だった。

いつ見ても、分厚い葉をバルブ(茎)に1枚つけて直立していた。

それは本当に無愛想な同居植物だった。

眠っているときはうんともすんとも言わない。

ところがある花芽分化条件に遭遇すると、

葉の付け根で生長点が花芽に変化して、

その花芽を守る葉が伸長生長してくるのだ。

ラン業界ではその葉の付け根から出てきた新しい小さな葉を『シース』と呼ぶのだが、

そのシースが見えてくると開花する前兆だから父は一喜一憂していた。

シースがでてきた株はナメクジなどの被害に遭わないように、栽培棚の上に吊るされる。

シースの基部がふくらんできたら、

それは蕾の原型だから父はたいそう喜んでいた。

シースのなかがいつまで経っても空のままのときもよくあって、

空シースの株はもとの栽培棚に戻される。

落胆している父がいた。

あとでその株にそっと声をかけていた。

「なんで咲かないの?おとうちゃんが悲しんでるで」

そこには返事をしない無愛想な分厚い葉を直立させたカトレアがいた。


年中、父と従業員さんがカトレアの植え替えをしていた。

「なんで植え替えしないといけないの?」

「オムツを替えているんやっ」

「ふ〜ん」

自分でトイレにいけないなんて、えらい不自由やな。

なんで花の女王って呼ばれているのか?不思議で不思議でたまらなかった。

自宅には花が咲いたカトレアがいつも飾られていた。


カトレアの花は嫌いじゃないけど、株の姿は好きでもなかった。


カトレアを買ったお客様が『カトレアをもう一度咲かせることができない』っていう声を聞いた。

それは本当によく聞くクレームだった。

父はよく言っていた。


『温室がないと、カトレアは咲かせづらいもの。

それを解って購入しないと。』


父はカトレアを販売するときはいつもお客様の温室について訊いていた。

お客様のところに室内に設置するワーディアンケースしかないときは、

父はいつか温室を持つことになったら購入してくださいね!

と断っていたことも記憶している。



この半世紀、ラン展などでちゃんと解説せず、

大型カトレア株を販売してきたツケが

いまになってカトレア不人気と人気低迷を招いてきたんだと思う。

もっとお客様の栽培環境を確認してから販売すべきだと思う。


安易に栽培容易とは言いたくなかった。

大阪NHKで、「秋咲きカトレア」、

NHKで、カトレアの近縁属である「レリア」を番組で解説したことがある。

特にレリアのときはお礼の言葉を頂いた。

レリアは低温に強く、冬の間、休眠しているから越冬が容易で、

窓辺でも開花させられることがあったからだ。

ちょっと嬉しかった。

「トミーはチャラくて明るいけど、話していることは本当のことやね」って。


嬉しかった。なにか大切なことを伝えられてよかったなって。


冬が寒いって叫んでいるカトレア。

春から秋まで半日陰(50%遮光した光環境下)にしてくれって要求してくるカトレア。

そんな声をしっかり聴ければいいのだが、…。


あっ大型カトレアでも秋咲き品種がオススメですよ!

いま販売されているカトレアは残念ながら、

一番栽培が難しい冬咲き品種や春咲き品種ばかりなので、

失敗しても購入してくださった方々の栽培力量ではないと思う。

秋にラン展が開催されたら、栽培容易な秋咲き品種が出回ると思う。
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