星の四葉の黒騎士団

主にヲタク的ダメ日常や心の病気とかユルユルと。
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メタルサーガSS

2010年09月29日 22時48分33秒 | 二次創作小説
第14話・そして、この大地の果てで(前編)

不意に、うっすらとまぶたが開く。
自分の身体が、誰かにゆさゆさと揺り動かされているのに気がつく。
薄く開けた目に、窓からの朝の陽ざしがわずかに入り込んでくる。
胸に、朝の空気が清浄感と共に流れ込んでくる。

ほおを、ぴた、ぴた、と軽くはたかれているのを感じる。

まだ眠気に重い身体をわずかに動かしてその方向を見ると、オルファリルが視界に入って来た。

「あーさーでーすー!おーきーなーさーいー!」
エプロン姿のオルファリルが、眠っていた私を起こそうとゆっさゆっさと揺り起していた。
オルファリルの顔を見て、その言葉が音声ではなく、唇を読んで脳内に再生された言葉を認識すると眠気が覚めてゆく。

「あふ・・・おはよう・・・オルファリル・・・」
半分あくびしながら、しまりのない声でオルファリルにそう呼びかける。

「おはよー!ほら、ヒメコ起きてー!女子寮長起きてー!」
にっこり笑顔でそう言いながら、更に私の身体を強く揺り動かすオルファリル。

「うん、おはよう・・・おやすみなさい」
そう言って、オルファリルに布団の中でくるりと背を向けてまるまって、更に布団のなかにもぐりこむ。

すると、がばっと掛け布団をはぎとられて。
耳を、ぎうーーーっと強くつねられつつひっぱられる。

「い、痛い痛い痛い!ごめんなさい、起きる、起きます、だから耳離してぇ!」
あまりの痛さに思わず大きな声出して懇願してしまう。
むしろ、自分の出した大きな声で眠気が完全に覚めてしまった。

「女子寮長が二度寝するな!しかも生活班長が起こしてる目の前でっ!」
いつもの猫耳型補聴器をつけると、オルファリルが腰に両拳をあてつつ厳しくつっこんできた。
ふー、と息を深く吐いて上半身を起こしてあぐらをかいて、布団の上に座り込む。

私が起きたのを確認したオルファリルは、やにわに銅鑼を持ちだす。

ジャーン!ジャーン!ジャーン!

連続でオルファリルが力の限りに叩く銅鑼の音色が、女子共同部屋に響き渡る。
部屋のあちこちで、幾つもの布団がそれでもさもさと動き始める。

「ふあぁぁぁ・・・もう朝ぁ・・・?」
「あーもう、毎朝うるさいですわねえ!起きればよろしいのでしょう、起きれば!」
「あうー、耳ふさいでも聞こえてくるよう・・・まだ寝たいよう・・・」
そんな声と共に、もぞもぞとみんなが寝ぼけな眼をこすりながらおっくうそうに起きてくる。

「朝ですー!起きなさい女子どもー!二度寝は許しませんー!」
それを見てもなお、オルファリルの銅鑼の音は未だ容赦なく響く。

だが、それでも動じない一角があった。
ぴたり、と銅鑼を叩くのをやめて、オルファリルはそこへずしんずしんとまるで地響きが本当に聞こえてくるかのような歩みで歩いていく。
オルファリルが歩みを止めた先では、ミサトさんが幸せそうな寝顔で眠り続けていた。
ふとんはだらしなくめくれ、タンクトップにパンツ一丁でみっともなくへそがめくれて見えている。
はっきり言うと、寝相が悪い。
がーっ、ごーっ、と怪獣のようないびきをかいて、先ほどのオルファリルの銅鑼の音なぞ最初から無かったかのように眠り続けている。

この人、仕事の時はかっこいいんだけど私生活は壊滅的にズボラなんだよねえ。

そう思いながら、いつものように成り行きをじっと見守る。

オルファリルが、ミサトさんの顔のそばに半分正座でかがみこむ。
そして、おもいっきり耳に近付けた状態で、銅鑼を構えて、すうーーーっと息を深く吸い込む。
周りのみんなが、そろって両耳を両手でふさぎはじめる。

ジャアァァァァァ―――――ンッ!

ミサトさんの耳のそばで、銅鑼が情け容赦なくそれはもう力いっぱいに叩かれる。
それは、古代の日本神話にて伝えられる遠鳴鳥の大音響かもしれない、とそんな事を根拠もなく思った。
ミサトさんの手足が、びくぅっ!とぴーんと伸びる。

ジャーン!ジャーン!ジャーン!ジャーン!ジャーン!
情け容赦なく、それはもう本気で殺す勢いで銅鑼が連続で力の限りに叩かれる。
ミサトさんの手が、ぷるぷると震えながら、オルファリルの脚に伸びて触れると、それは止まった。

「ミサトさーん、作戦部長さーん、朝ですよー?」
銅鑼を叩くのをやめたオルファリルが、にっこり笑顔で、口から泡を吹いているミサトさんにそう言う。

「お・・・おはよう・・・」
「はいっ、おはようございますっ!二度寝しないでくださいね!」

そんな朝の爽やかなやりとりの後、部屋の扉へ去っていくオルファリルと、無言で泡を吹いているミサトさん。

「いつも思うけど、容赦ないよね」
「仕方ないよー、私たち、朝全然起きないんだもん。まともに早起きできるの、オルファリルとシェリーさんだけなんだもん」
「起きれれば・・・朝普通に自力で起きれれば、あの銅鑼の音に悩まされなくなるのになあ・・・」
そんなぼやきと共に、みんな布団を片付けたり服を着替え始めたりして一日の準備をはじめる。

「次は、男子だよね?」
「ホッパーは、もうガレージで戦車をチェックしてるだろうけど、他の男子は起きれないからねえ」
「ていうか、聞いた?中にはオルファリルに容赦なくしてもらうのが楽しみで、なかなかわざと起きない男子もいるんだって」
「・・・じゃあ、他の男子はそいつのために更に銅鑼の音に悩まされるの?」
そんな毎朝のたわいない会話を聞きながら、私も布団を片付けて、服を着替え終えて廊下に出る。

隣りの男子共同部屋の開かれた扉から、こちらと同じように情け容赦ない銅鑼の音が響いているのが耳に飛び込んできた。

とりあえず、洗面所で顔洗って歯を磨いて、髪とか整えて、それから食堂いこう。


こうして、ギンヌンガガップの一日ははじまるのであった。


「ごちそうさまでした」
はしを置いて、空になった食膳を前にして両手を合わせる。

「はい、お粗末さまでしたー。食べがらはこっちのトレ―に各自で片付けてね」
オルファリルが、にこにこ笑顔でトレ―というか配膳棚をころころと転がして席のそばにやってくる。
自分の食べた食器類を、すでにいくつも他の人の食べがらが幾つも積み重ねられるのに入れていく。

「そこ、当たり前かのように朝から缶ビールを開けようとしないでください」
ぴしぃっ、とオルファリルに指差されたミサトさんが、食後の缶ビールを開けようとしたまま冷や汗かいて固まってしまう。

「はい、没収」
ぱっ、とシェリーさんがミサトさんの手から缶ビールを取り上げてオルファリルの運んできたトレ―にミサトさんの食器類と一緒に乗せる。

からから、と無情に去っていくオルファリルのトレ―を、ミサトさんは半泣きで見送っていた。

「さて、今日はハンターオフィスに出向く用事があるんでしたよね」
ミサトさんにそう話しかけると、あら、と思い出したようにこちらを向く。

「そうそう。今日は、私の紹介で戦力の補充が来るのよ。二人も。戦車乗りとソルジャーね。
 ・・・まあ、ホッパー君のお眼鏡にかなうまでが大変でしょうけどね」
さっきまでの情けなさは何処へやら、いつもの凛々しいミサトさんに戻る。

「二人とも、腕は確かで信頼できる男たちよ。素直に信頼してもらえると嬉しいんだけどね」
シェリーさんが、そう言いながら席で腕組みして仏頂面のホッパーを見ながら少し意地悪そうに言う。

「・・・待て、男と言ったか?女子への危険性は無いのか」
一見していちゃもんに聞こえるかもしれないが、ホッパーの言う事は至極もっともだ。
今時、子供の、それも年端もいかない女子の「敵」となりうる危険な大人の男性も決して少なくないのだから。

「ないない、言ったでしょ?信頼できる男たちだって。
 それに今回は今までの経験を省みて、あなたたちのような年代の相手に慣れてて得意な人材を選んだのよ」
しかし、ミサトさんがそれを打ち消すようにホッパーのほうへ身を乗り出して、手をひらひらさせながら少し強く言う。

「・・・どちらにしろ、まずは実際に会ってからだ」
ため息ついて渋々とそう言うホッパーのもとに、落ち着け、という意味だろうかオルファリルがグラスに冷たい水を注いでよこしてきた。

それから昼過ぎ、午前中の簡単な仕事と昼食をすませてハンターオフィスに主要メンバーで向かった。

女子寮長にしてソルジャー部隊隊長の私、男子寮長にして戦車隊部隊長のホッパー、戦闘指揮官にして作戦部長のミサトさん。
そして、生活班長にしてトレーダー部隊長のオルファリルの4人となった。

「・・・わたしも来るの?いや、興味アリアリだけど、来てもいいの?」
ミサトさんからオルファリルに同行するようにお願いされた時、オルファリルは目を見開いてたいそう驚いていた。

「会ったこともない大人の男性が二人も一度に来るから、みんなの生活を把握してる生活班長にも会って確かめてもらいたいのよ」
ミサトさんは、そうオルファリルににっこり微笑んでいた。

ハンターオフィスは、相変わらず人でごったがえしていた。
カンパニーに依頼をしたいがために来ている一般の人々。
街から街へ流れてきて、雇ってくれるカンパニーの求人募集のチラシを見ているハンターやソルジャー、そういう類の人々。
賞金首のWANTEDチラシとにらめっこしている、何処かのカンパニーのエンブレムをしょった服装に身を包んでる、なんだか凄みのある人々。
緊張したおももちで、カンパニー設立申請カウンターの待合い席でそわそわしてる人々。
そんな人たちが、通路にもあちこちの部屋にもあふれてくる勢いでいっぱいいた。

私たちは、カンパニーが新たに人材を雇用する部屋のある部署へまっすぐ進んでゆく。
そして、ミサトさんが受け付けで用件を伝えた後、カンパニーが面接を行う部屋に通される。
面接室にて、面接の準備を済ませて席につくと、ミサトさんが私たち子供3人を置いて、紹介してくれる二人を呼びに部屋から出た。

「カンパニーが、新しいメンバーを面接する時って、こんな感じなんだね」
隣りに座るオルファリルが、私にそう語りかけてくる。

「ここを使わずに自社の設備で直接面接と雇用を行うカンパニーも多いがな。
 俺たちが拠点として使っている廃工場は正直、そういうのには不向きだからここを借りて使うわけだ」
ホッパーが、私の肩ごしに腕組みしたままオルファリルに顔をのぞかせて答える。

「ボロボロだもんねー、うちの廃工場。
 もう住むのには慣れたけれど、あちこちヒビ入ってるわ天井に穴開いてるわドアはガタガタだもんねえ」
オルファリルが、顔を曇らせてため息をつく。

「あの廃工場で幸いなのは、たまたま戦車を複数台格納して整備できるガレージ施設があった事だ。
 だが、住む場所としてはあまりにも老朽化が進みすぎている。
 万が一、ごろあたりに侵入でもされたらとても防ぎきれないし、泥棒にあえばまず確実に何か持ち去られて逃げられる。
 もう少し稼いで資金がたまったら、他にもっとまともな、現在の俺たちに適した条件の物件を探したほうが絶対にいい」
ホッパーの台詞にうなずいて、オルファリルは目の前のテーブルに上半身を乗り出して両肘をついて顔を支えた。

そうこうしているうちに、面接室のドアが開いてミサトさんが戻って来た。

「二人を連れて来たわよ・・・さ、入って」
ミサトさんの後に続いて入って来た二人の大人の男性は、見るからに個性的な姿だった。

一人は、大柄で筋肉質の金髪の白人男性。年は20代前半だろうか。
デッサンが狂ったデザインというか、まるで柱のような無茶なヘアスタイルをしていた。
顔立ちは精悍で、足運びも長年戦いに明け暮れて来た者のそれだ。
私たちを見るとニッと優しく微笑んできて、何となく陽気で裏表のない性格に感じた。

もう一人は、少し小柄だけれどやはり筋肉質の黒髪の純粋な日本人の男性。年はやはり20代前半に思える。
服装のセンスが独特というか、大破壊前の日本の昭和70年代頃のレトロなファッションに身を包んでいた。
人好きのする、なんだか可愛い顔立ちだけれど、幾多の戦いを経て来た精悍さが感じられた。
優しそうな目をしているけれども、何処か表情に憂いを帯びていて影のある雰囲気の人だと感じた。

ミサトさんが面接する側の席について、男性二人もそれぞれに用意されたパイプ椅子に腰かける。

「それじゃ、面接をはじめましょ。
 二人とも、こちらが先日通信で話したギンヌンガガップの子供たちよ。
 ・・・さ、自己紹介をはじめてちょうだい」
ミサトさんが、そう二人に促す。私たちは、二人の言葉をじっと待つ。



続く。

ジャンル:
オンラインゲーム
キーワード
ソルジャー パイプ椅子 タンクトップ メタルサーガ
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