星の四葉の黒騎士団

主にヲタク的ダメ日常や心の病気とかユルユルと。
starclover@mail.goo.ne.jp

メタルサーガSS

2010年07月23日 16時27分58秒 | 二次創作小説
座標X18:Y17。
スターフォール砂漠の廃ビル地帯にて。

空気が砂っぽくて乾いている・・・けれども気温そのものが鉄板で焼けているように厚くて、じっとしているだけで肌に汗がにじんで流れる。
けれども、寄りかかる壁は妙に冷たくひんやりとしている。
あちこちヒビから内部の鉄筋がむきだしになったコンクリートの廃ビルの階層の一角。
そこを待ち合わせ場所にして、念に念を入れた探索の結果何も無かった事に肩を落としながら座り込んで他のメンバーを待っていた。
やがて、向こうから普段聞きなれた車両の音が聞こえて来たかと思うと、それらは鈍く光る鋼鉄のボディを現して適当なところで停車した。
そして、ぞれらから見知った顔が三人降りてきてこちらにゆっくり近づいてくる。

「んー・・・このフロアにも無さそうなのです」
プリシラが、さすがに疲れたという顔でそう言いながら手に持ったペットボトルから水を飲み干す。

「こちらも、それらしい物は何も無かったですわ」
同じく、いかにも疲れたという顔でベルも戻ってきて私の隣りにぺたりと座り込んだ。

「ここで休憩して、次のフロアの探索を頑張りましょ」
少し微笑んでそう言って、日本人の大人の女性が水筒を手にぶら下げながら、手ごろな瓦礫を探して腰を下ろした。

「お疲れ様、プリシラ、ベル。それから・・・ミサトさん」
そうねぎらいの言葉を三人にかけて、私は隣りのベルがもう少し休めるように自分の身体を横にずらした。

今、私たちはこの砂漠の廃ビルを探索している最中だった。
一つは、ここに廃棄されているらしいという「戦車らしきもの」を探し出し、それが戦車ならば持ち帰って自分たちの戦力に加える事。
二つは、街で使われている転送装置の起動キーを探し出し、捜索を依頼したキャンプ02の駐留トレーダーに届ける事。

あれから、最初の砂漠横断計画の目標だったトレーダーキャンプ02にはたどり着いた。
プランを少し変更し、砂漠を真っ直ぐ横断するのではなく、砂漠をなぞるように舗装されている、アスファルト道路を進んで砂漠を迂回して進む事にした。
かなり遠回りになり、日数も倍以上かかり準備もかさむがまたインペイラ―の亜種に遭遇して生身部隊が殺されるよりは、とこの遠回りだけれど比較的安全な遠回り路線にしたのだった。
このプランを提案したのは、シェリーさんの紹介でつい最近新規に入社したばかりの、この大人の女性トレーダーだった。

ミサト・カツラギ。

面接で最初に出会った印象は、快活で動きがキビキビしているけれど、特別なところは何もない、普通の大人の女性、という感じだった。
けれど、シェリーさんによれば作戦立案能力、戦場においての指揮能力、現場においてのあらゆる状況に即対応できる柔軟かつ臨機応変な判断力に長けているとの事だった。
試しに、私たちがこれまで行ってきたプランを書類で見せてみたところ、見事に全てにおいてのプランとしての致命的な欠陥を理論的かつ正確に指摘、その上非の打ちどころのない改善案を提案してきた。
ホッパーが、しばらく彼女と様々な状況、戦況に関しての難易度の高い問答を繰り返していたが、ことごとくその全てを完璧に、かつ即答して正解を導き出していた。
今以上に大人を今の自分たちのテリトリーに引き入れるのを最後まで渋っていたホッパーだったが、結局最後には彼女の能力を認めて折れた。
私個人はむしろ、女子寮長としても今まで自分たちが見て来たのはタイプの違う大人の女性を引き入れるのはむしろ望むところだったから、喜んで彼女を歓迎した。
シェリーさんが入ってから改めて感じた事だが、私たち女子にとっては、人生経験豊かな大人の女性がいてくれた方が何かと有り難いのだ。
男子はまだ何とかなるかもしれないが、女子の場合は主に身体的な面において、的確に助言できる同性がいてくれないと大いに困る。
実際、シェリーさんに続いての大人の同性であるミサトさんの新規加入は女子全員に安堵感を持って歓迎された。
ホッパーはまだ何か言いたそうだったが、女には男に決してわからない苦労がある旨を肝心な、あまり男子に話したくない部分はぼやかして説いて無理やり納得させた。
その時は、いつになくホッパーが頑固だったので精神的に疲れてしまったものだった。

ともかく、ミサトさんのプランは滞りなく順調に事を運び、めでたくキャンプ02に到達し、砂漠地帯においての足がかりを作る事が出来た。

・・・で、今はキャンプ02から南下してこうして砂漠の廃ビルの探索にあたっているわけだった。
私はこの人ならいける、信頼できると確信したのでミサトさんにカンパニーの参謀、戦闘指揮官、作戦部長・・・そういう役割をお願いして任せる事にした。
この事に関して渋ったのは、相変わらずいつにもまして妙に頑固なホッパーだけだった。
この廃ビル探索においては、ミサトさん自身が直接指揮をとる事になった。

戦車乗りとしてレンタルタンク3号に乗るベルフラウ、生身部隊として私、メカニックとしてデマーグに乗るプリシラ、そしてこの探索作戦の直接指揮をとる、テクニカルに乗るミサトさん。

やっと、念願叶って戦車乗りとして戦力になれる事に歓喜したベルとベルの大雑把な性格を信用していないホッパーとの間で一時もめた。
いつまでたっても平行線でもめ続けていた二人を、私とキキでなだめてシェリーさんとミサトさんが強引に仲裁をまとめた。
ホッパーとベルは二人とも実力がほぼ互角の、私が知る限り極めて優秀な戦車乗りだったが、戦法は正反対だった。
敵の攻撃を卓越した運転スキルと回避スキルですれすれで避けて的確に一発を当てるホッパー。
肝のすわっているとしか言いようのない度胸と、戦車の分厚い装甲で敵の攻撃を受けて耐え抜き、卓越した各種戦車兵装スキルで猛攻を見せ力押しで敵を粉砕するベル。
…少しわかりやすく例えるならホッパーの戦法はテクニック重視のボクサーで、ベルの戦法はタフネスを売りにしたプロレスラーと言えばいいのだろうか。

ミサトさんが言うには、今回は戦車複数台が進入できるとは言え、建造物内部での狭く視界の限られた場所での戦闘が予想されるので、「避けない」事に慣れているベルが適任だという事だった。

実際、昔、孤児院の教育カリキュラムとしての全員戦車運転講習においても。
屋内戦においてはベルが常に成績トップで、ホッパーは意外と普通の可も無く不可もない成績だった。
その戦車運転講習についてはカンパニーオフィス全面支援メタルショップ提供のもので、シミュレーション装置はもちろんレンタルタンクを用いた実車講習もあった。
今思えば、私たちの孤児院は街でも比較的規模が大きく、周囲からの様々な支援に恵まれていたと思う。
ちなみに、戦車運転講習については、私が一番成績が最低で常に落ちこぼれだったりもしたが。
そういえば、ベルは妙にシングルコンバットの成績が良かったなあ、とも思い出した。

そんな事をぼんやり思い出していると、いつのまにかプリシラがそばに来て顔をじっと見つめて不思議そうに首をかしげているのに気がついた。

「ヒメコ、また一人で考え事なのですか?少しは、プリシラやベルたちにも相談してほしいのです」
そう言いながら、プリシラがベルと挟むようにして私の隣りに少し無理やり座ってきた。

「プリシラはいつも思っていたのです。
 ヒメコは、とても悪い癖があると。考え事はじめると一人で勝手に悩みだして一人で勝手に結論付けてしまうのです。
 それは、マイナス思考の悪循環なのです。プリシラは、それは良くない事だと思っているのです」
そんな風に真横からプリシラの大きなまなこでじっと見つめられると、かえって何も言えなくなってしまうのだけれど。

「ちょっと、プリシラ。人に話を聞かせて欲しい時には、まず自分から話すのが人同士の対話の常識ですわよ」
自分の分の水筒から水を飲んでいたベルが、私の肩から顔を突き出しながらそうプリシラにそう言ってきた。

「なるほど、ベルの言う事ももっともなのです。
 ・・・ヒメコ、プリシラはベルに対して愚痴があるのですが聞いてもらえるですか?」
あ、また始まったと横でベルが途端にカチンと来て早くもプリシラにこそ文句言いたげな顔になったのを横目で見てそう思った。

「ヒメコ、ベルにいいかげん『少しは避けろ』と言って欲しいのです。
 ベルの戦法は男らしすぎて戦車の装甲の消耗が無駄に激しいのです、余計な整備と修理の手間がかさむのです」
ああ、言っちゃったとため息つく間に、ベルがすっくと立ち上がってずんずんとプリシラの真正面に立ちはだかる。

「戦車は、そもそも分厚い装甲でソルジャーや歩兵の盾になって砲撃の雨あられで攻めまくるものですわよ!?」
「それにも限度があるのです。ベルはそもそも、ハナから避けようとしないのが問題なのです。
 むしろ、当たらなくていい攻撃にいつもいつも自分からわざわざ当たりに行ってるのです」
「ですからっ!流れ弾がたまたま後方の生身部隊や支援部隊に当たったら大問題ですわよっ!?」
「そんなもの、よほどスキルがウンコでもない限り射程距離の限界や威力の減衰で大した被害にはならないのです」
「万が一って事もあるですわよ!?」
「ベルは、戦車を大昔のロボットアニメのスーパーロボットか何かと勘違いしてる節があるのです。
 戦車は、マジンガ―Zじゃないのです。・・・ベル自身は、マジンガ―Zの主人公みたく単細胞で猪突猛進だけれど、です」
「ちょっと!人の事をまるで考える脳みそがまるっきり無いかのように言わないでくれませんこと!?」
「もしもベルに考える脳みそがあったら、少しは整備や修理する身になって戦車を運用してると思うのです。
 今までベルが、プリシラたちメカニックの身になって戦車を運用した事など、ただの一度もないのです」

あー…どうしよう…二人とも、仲悪くはないんだけどお互い良くも悪くも本音しか言わないからなあ。
ベルは短気で単細胞だし、プリシラは言動の幼さの割にちょっと毒舌なきらいがあるし。
困ったなあ、いつもはキキがベルをうまい事なだめてくれるんだけど今ここにいないし…どうやって仲裁しよう。
今口喧嘩こそしてるけれど、決して二人の空気が険悪なわけじゃないしなあ…二人の表情はじゃれあってるみたいな雰囲気だし。
でも、このままじゃエスカレートして二人とも引っ込みがつかなくなっちゃうよね・・・。

そんな事を考えて、いったいどうしたものか迷っていると。
不意に、ミサトさんがやけにニコニコしながらそこに来て立っていた。
そして、ベルとプリシラの間にやや強引に、その手に持った見慣れない電子カードを無理やり滑り込ませるようにして見せてくる。

「収穫あり、よ」
ミサトさんのその言葉に三人で目をパチクリさせて、その手のそれをじっと見てみる。

「こんな手のひらサイズじゃ、なかなか見つからなくて当然だわ。
 ・・・これが、依頼された転送装置の起動キーよ」
この、一見して全く何の変哲も無さそうな電子カードが…?
目を驚きに見開いて、ミサトさんを見上げるとちょいっ、とカードを胸元に閉まって得意げに微笑んで見せた。

「見ただけじゃわからなくて当然よ。
 このモバイルコンピューターで調べて、ようやく正体がわかったんだもの」
ミサトさんの背後を見ると、彼女が先ほどまで座っていた場所に他にも同じような電子カード類が何枚か散らばっていた。

「さ、これを依頼主に返せば、私たちの分の転送装置起動キーをコピーで作ってもらえるはずよ。
 さて、残るは恐らく最上層に隠されているはずの『戦車らしきもの』の探索ね。
 ・・・それが、戦車である事を祈りながら改めて探索しましょ」
三人で、ミサトさんのその言葉に頷く。
もう、今使っているレンタルタンク3号の返却期限が間近に迫っている。
レンタルタンクそのものは、個人にもよるがそうホイホイ気軽に借りられるものではない。
そういう意味でも、新たに自分たちの戦力として運用できる戦車の確保は急務だった。

「その前に、プリシラは全ての戦車の修理をやらなくちゃいけないのです。
 ・・・ベル、ボケっと突っ立ってないでとっととこっち来て手伝うのです」
プリシラがくるっとベルの乗っていたレンタルタンク3号のほうへ歩いていくのを、少し慌ててベルが追いかけて行く。
私も、ミサトさんと連れ立って一緒にプリシラの手伝いをするべく同じ方向へ歩き出した。


続く。

ジャンル:
オンラインゲーム
キーワード
ソルジャー ロボットアニメ スーパーロボット マイナス思考 コンバット スターフォール テリトリー メタルサーガ
コメント (0) |  トラックバック (0) |  この記事についてブログを書く
Messenger この記事をはてなブックマークに追加 mixiチェック シェア
« (’’ | トップ | メタルサーガSS »

コメント

コメントはありません。

コメントを投稿


コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。
※文字化け等の原因になりますので、顔文字の利用はお控えください。
下記数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。この数字を読み取っていただくことで自動化されたプログラムによる投稿でないことを確認させていただいております。
数字4桁

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
  • 30日以上前の記事に対するトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • 送信元の記事内容が半角英数のみのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • ※ブログ管理者のみ、編集画面で設定の変更が可能です。

あわせて読む