*orangeのスイス旅行記

2001年3月。友人Yちゃんとの珍道中

0:きっかけは

2006-09-09 21:18:00 | 出発
2001年、冬。
それは友人からの1本の電話がきっかけだった。
「あ!Yちゃん、久しぶりー」
「*orangeちゃん、春休みどっか旅行行く予定ある?」
「え、いまんとこないけどー」
「ほんと!?ねえ、スイス行かない?」
「スイスぅ!?」
「うん。あのね、スイスのバーゼルって言うところに,Y子ちゃん(ああ、ややこしい)っていう友達が,留学してるの。だから,会いに行きたいなーと思って。*orangeちゃん、イギリス行ったでしょ?私,初めてだから,頼りになるなーと思ったの」
「いいね!行きたい!」
好奇心から、まずはそう返事をした。

「スイス!?今,寒いんじゃないの?」
母親に話したところ,真っ先にそう言われる。ガーーーーン!そうだった。私は寒いのが大の苦手。で・・・でも、気合入れていけば,きっと大丈夫さ!おうちもかわいいだろうし,チーズもおいしいだろうし、と言い聞かせて,図書館,本屋,旅行パンフレット,インターネット・・・情報収集を始める。
最終的に,スイスだけをじっくり回ろうということで、7日間、フリープランのパック旅行に決定。

1日目 チューリッヒ(夕方着) (ホテルモンタナ)*旅行会社を通じて予約
2日目 ~バーゼル       (ユースホステル)
3日目 ~グリュイエール    (ホテルセント・ジョージズ)
4日目 ~ツェルマット     (ユースホステル)
5日目 ~ジュネーブ      (ホテルオーテイユ・マノテル)*
6日目 同上          (同上)
7日目 帰国

1-1:成田ーZurich

2006-09-09 21:17:09 | zurich
出発の日。空港でチェックインに間に合うかどうか,私は一人でハラハラしていた。なかなか現れない友人。・・・と、彼女は買い物袋を持って登場。
「これ、Y子ちゃんにあげようと思って」
ひじきのような乾物に混じって、毛糸玉が見える。
「毛糸・・・どうするの?」
「飛行機の中,ヒマだろうから,マフラー作って,プレゼントするの。*orangeちゃんのぶんもあるよ」
「え~っ!?」
飛行機で編物・・・私は驚きでボーゼン。ところがどっこい、見ている分にもなかなか楽しい。友人がせっせと編み,私はひたすら糸を引き出す。13時間が,ほんの数時間に感じられた。そして、彼女は行きの飛行機で、みごとにマフラー2本を完成させた。
機内食に「ミロバー」と言うお菓子が出た。飲み物の「ミロ」のお菓子だな,と思って食べる。○△▲×▼〒%ひょえ~~!!濃い! は、鼻血出そう(笑)そうか、これがスイスか・・・。大きな誤解を胸に,私と友人はチューリッヒ空港に降り立っていた。
ちょうど夕方6時頃で,辺りは暗くなり始めていた。
「やっぱ、ホテルに、これから行きますって電話した方がいいよね」
「うん。じゃ、テレホンカード探してくる」
空港内の、Kioskと看板の立つ店に入り,早速購入。これがスイスでの買い物第一号となった。
「どうしよう、チューリッヒの駅まで電車で行って,歩こうか?その方が安いけど,怖いよねー」
「うーん、初めてだしね。タクシー乗っちゃう?」
「でもさあ、空港の外に止まってるタクシーって,安全なの?」
すったもんだの末,インフォメーションに「安全ですか?」と聞いてみることに。(ほんとうに、それだけ聞いた)大丈夫なことがわかり,運転手に行き先を伝える。高速のようなところを走るうちに,雪かみぞれのようなものが降ってきた。うー、寒そうだなあ・・・
「ホテルモンタナ」に到着。部屋に入ると同時に,疲れと眠気がおそってきた。以後2時間ほど,私は眠りこけた(友人談)明日からどうしよう・・・。何はともあれ,建築家ル・コルビュジェの建物は見てみたい。教えてもらった地図は持ってきたものの,正確な場所は謎のまま。本当にたどり着けるのか・・・。

1-2:Zurich-Basel

2006-09-09 21:16:44 | zurich
食べ物,飲み物の話題をもうちょっと。
飛行機に乗る前。
「エコノミー症候群とか、怖いし,乾燥してるから,ペットボトル買ってこう」
ところが,飛行機の座席のポケットにはちゃんとVittel(水)が用意されていた。珍しくないことなのだろうか。
チューリッヒでの夕食は,パン屋さんで調達。確か赤の地に黄色の文字。「Pain D'or」が店の名前か。ごく普通のチーズロールサンドに、にんじんケーキ。上にピンクのアイシングとにんじんの砂糖菓子がついている。2時間眠り,元気を回復したところで,全部食べてしまった。

朝。カーテンを開けると,見慣れない町並みが見える。雪がうっすら積もっていて,辺りはまだ静かだった。
ゆっくり朝食を食べ,チェックアウトの後,チューリッヒの駅へ向かう。スーツケースがあったが,「ホテルモンタナ」からほど近いことが幸いした。
「お昼頃、Y子ちゃんに連絡とるね」
そう、今日は友人の友人,Y子さんに会いに、バーゼルへ向かうのだ。それまでに、ル・コルビュジェセンターを見つけねば・・・
ダメでもともと,駅構内の切符売り場へ行き,地図を見せて,そこへ行きたい旨を伝える。我が家のプリンターの性能上,かなり見にくい地図だったが,しばらくして、
「1番か4番の電車に乗って,Hoschgasseで降りてください」
メモを渡してくれた。やった!
喜び勇んで,ホームへ向かう。
「えーと、4番でもいいのかな。すみません、ここへ行きたいんですが」
「Hoschgasseは、電車じゃなくてトラム(市電)の駅だよ」
あちゃ~、まちがえた。
「1か4,1か4・・・」
トラムの種類は多く,見つけるのにてこずったが,ようやく乗ることができた。二人とも,ドイツ語がほとんどダメなので,
「10分ぐらいって言ってたから、駅の名前,注意してないとね」
何とかそこで降りることができた。スーツケースを転がし,5分ほど湖に向かって歩く。
「あれだっ!」
赤,黄,緑に塗られた,こぢんまりした、しかし一目でわかる,現代建築の建物。入口に回ってみると「夏まで閉館」の文字。あらら!しかし、そこにたどり着けただけで満足していた私は,写真をとりまくり,やや呆れ顔の友人。
周りは住宅地。「すごいなあ、すごいなあ」
きょろきょろしながら、市電の駅へ戻る。
「ねえねえ、お金ってどこで払うのかなあ」
「そういえば,誰もいないねー」
「無料サービスなのかなあ」
んなわけないって!後でわかったことだが,無賃乗車は見つかったら60sfrの罰金。良い子の皆さんは,まねをしないでください・・・

チューリッヒ駅で,いよいよY子さんに電話。と、友人の様子がおかしい。
「*orangeちゃん~!!なんか、知らないおばさんが出ちゃった~。怒ってるよ,怖いよ~」
「?? 何番押したの?あれ、この番号じゃない?」
今度はちゃんとY子さんにつながった。バーゼルの駅まで迎えにきてくれるという。これで安心。半額チケットも買った。さあ,出発だ。

2-1:Basel

2006-09-09 21:16:10 | Basel
電車が来た。日本のそれよりも,車体がだいぶ高い。(のかな?)座ってしばらくしたのち,そこが喫煙車両であることに気付く。嫌煙者の私は一目散に禁煙車両へ。窓の外を眺めると,塀や,建物の壁に,近年,日本でも増えている,スプレーか何かを使った落書きが多いことに気付く。もっとも、日本のそれよりスケールが大きく,凝ったものであったが。思い描いていたスイスとは、およそ違う世界。アートか落書きか,考え方は人それぞれだが,私自身はあまり美しいとは思えなかった。
1時間ほどで,バーゼルに到着。どんどん歩く友人のあとを追いかけていくと,
「あっ!!」
現地でクラリネットを学ぶY子さんと、弟さんのRさんだ。
「久しぶりだねー,2年ぶりくらいじゃない?」
さすがにうれしそうな友人。まず,今晩泊まるユースに行って,スーツケースを置き,それからバーゼル観光,Y子さん宅でお茶しよう,ということになった。
「で、ユースの場所はどこなの?・・・ああ、St.Alban.Strasseまで行けばいいのね。じゃ、このトラムに乗って」
Rさんがほとんど一人で、私と友人のスーツケースを持ってくれたので,すっかり安心。トラムを降り,
「えーっと、こっちで合ってるはずなんだけど・・・」
なかなか見つけられずにいると,
「どこへ行きたいの?もしかして、ユース?」
親切な女性が,声をかけてくれた。きっと、この辺りに住んでいて,こういう場面に出くわすことが多いのだろう。ユースは,坂の中腹に建っていた。「Reception」とある入口を入ると,宿泊客が列をなしていた。そのあとに続いて,並ぶ。向こうの椅子で,へんてこりんな帽子(トランプのジョーカーがかぶっていそうな、ひとでのような)をかぶった若者がいる。なんじゃあれは?
せっかくだから、4人で,ここで一緒に夕食も食べようということになった。そのうち、さっきの帽子の若者が,並ぶ人々に,宿泊カードを配り始めた。なーんだ、ユースのスタッフだったのか。天井の方をみると,これまた奇妙な張り子風のお面が。そうか、あさって5日はバーゼルのファスナハトなんだ! 受付のカウンター。Y子さんが、流暢なドイツ語でやりとりしてくれた。お食事券を4人分もらい,3階の部屋へ。緑のドアに、赤いドアノブがかわいい。青いチェックのベッドカバーがさわやかで,学校の寮のような雰囲気。
荷物を置き,まずはバーゼルの大聖堂へ。

2-2:シカ。

2006-09-09 21:15:40 | Basel
えーと、ドイツ語のできない2人、でしたね。
(バーゼルの市立美術館の前で)危うく、市電を降り損ねそうになる。
「こっ、ここじゃないの!?」
午前中であったが,まあまあの人出。でも、上野の美術館の混雑とは違い,快適に回れる。私の好きなモンドリアン,ジャコメッティの作品があって驚く。うわあ,すごい品揃え。友人は,パウル・クレーの素朴な絵が気に入ったようである。
バーゼル駅構内のミグロで,芽キャベツのバターいためと,わさび?のチーズ巻きフライを買い,電車に乗る。次の目的地はグリュイエールだ。が、友人は体調がすぐれないらしく,口数すくな。私は心配しながらも,時計,時刻表とにらめっこ。
電車が動き,乗客が入れ替わるうち,次第にフランス語を話す人が増えてくる。相席になった50代くらいの女性も,フランス語の雑誌を読んでいる。めがねのフレームが、赤を基調としたまだら模様というのか・・・,日本の同世代の女性に比べ,おしゃれな感じだ。
景色から,だんだん家が少なくなり,視界が開け,緑の草原が見られるようになる。たまに牛か馬を見付けては,歓声を上げる2人。きっと周囲は,私たちを10歳ぐらいの子供と思っているだろう。
「あっ、鹿だ!」
友人のみたものは本当に鹿だったのか。
「えっ、どこどこ!?」
反対側に座っていた、品のよさそうなご婦人が,
「数が少ないから,ラッキーだったわね。普段は森の中にいて,あまり見られないのよ」
フランス語訛りの英語で,一生懸命話してくれた。電車を降りるときも,何度も
「さようなら。楽しい旅を」
と言ってくれた。優しいご婦人だった。

3-1:Fribourg,Bulle,Gruyere

2006-09-09 21:15:01 | Gruyere
例の謎のフライ,チーズをネギかセロリのような野菜で包んで,揚げたものなのです。形はとりささみフライのよう。その野菜が,わさびのような辛さなのです。

バーゼルからベルンを通り,フリブールに到着するところから・・・

フリブールで、バスに乗り換える。バス停は1箇所,と思っていたら,駅の表出口と屋内駐車場のようなところと、2箇所ある。
「どうしよう!!乗り換えの時間,10分くらいしかないよ!急げ~!!」表出口へ走る。
「あれ~、こっちは近距離ばっかりだ」今度は反対側へ。
「あっ!!Bulleって書いてあるよ!これじゃないの?」
急いで飛び乗る。外はあいにくの雨。何とかグリュイエール到着までに止んで欲しい。
----30分ほどで,Bulleに到着。
「ここから,私鉄みたいなのに乗り換えるはずなんだけど・・・」
電光掲示板の発車時刻をみると,Y子さんがSBBオンラインで調べてくれた時刻表と違う。
「まあいっか。お店とか見てみよう」そう言って数十メートル歩いていくと,
「おいおい,ちょっと待ってくれ!」さっきのバスの運転手さん。わざわざ乗換えを教えてくれようとしたのだ。SBBの方の時刻表をみせると,
「この(時間の)電車はないよ」そう、Y子さんが調べてくれたのは土曜日。日曜ダイヤと違ったのだ。
「Bulleにはきれいなお城があるぞ。ちょうど駅の向こう側だよ」おじさん、時間のつぶし方まで教えてくれたのだ!
「じゃ、お城見てみよっか」
相変わらず雨は降り続いている。日曜なので,飲食店以外の商店はほとんどクローズ。ちょっと残念。そして,石造りのお城に着いたものの,疲労と寒さが二人の顔から表情を奪っていった。友人は特に,体調の悪さもあったのだろう。
「そろそろ,戻ろうか・・・」
気を取り直して,GFM鉄道のホームへ。友人は,電車の写真を撮るのだという。私もつられて,至近距離でシャッターを切る。その小ささが,箱根登山線みたいだ。
あっという間に,グリュイエールの小さな駅に到着。オフシーズンなのであろう。人はまばら。日曜なので,やはりインフォメーションは閉まっている。グリュイエールは,私の一番行きたいところだったので,宿の選択は私に任されていた。ユースで経済的に済ませた分,ちょっとゼイタクをした。駅で電話をすれば,迎えにきてくれるとの事だったので,早速公衆電話へ。
「この番号であってるよね・・・、もしもし」名前を告げる。
「はいはい、いま,駅にいるの?待ってて!5分で行くから!」
すごいや、もう宿泊客だとわかったんだ。しばらくして、ジープのような車が走ってきて,中から現れたのは・・・

3-2:お姫様の山小屋。

2006-09-09 21:14:33 | Gruyere
車の中から現れたのは・・・、
わ、若い!もしかして、まだ20代!?こんな若い女性がオーナーなのかしら?疑問をよそに,車は、丘をくねくね登っていく。・・・と、次の瞬間,目の前には石畳!おうち!お城の入口!
「うわーっ!!」2人して歓声を上げる。
嬉しそうに運転席から振り返る女性。車は,石畳の中ほどで止まる。えっ!?もしかして、このかわいいおうちが今晩の宿!?うわあーすごい!!(写真でお見せできないのは残念です)
木の玄関ドアを開けると,そこは別世界。余談だが,オーナーの女性を含め,スタッフの皆さんは,美男美女ばかりであった。細い階段を上がると,廊下には赤い絨毯。ドアには小人の絵が描いてある。
気になるお部屋は・・・「うわあ、お姫様の山小屋みたい(なんじゃそりゃ)!」
傘もコートも放り出して,はしゃぐ私。古風な鍵のついた白い窓,花の描かれた緑色のベッド,まさにお姫様気分である。テレビだけは5つ足の金属製のユニークなスタンドに載っており,60年代っぽかったが。窓から見える町並みがまた最高。夢中で写真をとりまくる。
「夕ご飯ついてないんだよね。真っ暗になる前に,レストラン行こっか」
「*orangeちゃん、どこがおすすめって言ってたっけ」
「えーと、スイスシャレーだったかなあ。お城の入口にある・・・」
「お城って、どこの?」
「・・・聞いてみようか」

3-3:ラクレットで満腹。

2006-09-09 21:14:01 | Gruyere
英語のできるスタッフは,「ル・シャレーのこと?すぐそこよ」
なるほど。数十メートルも歩かないうちに,こげ茶色の小さな小屋と,お城の三角錐の屋根が見えてくる。小さな入口をくぐって,正面奥の席へ。木のテーブルとベンチに、赤いチェックのカーテンとテーブルクロスがかわいらしい。メニューを見るが,うっ!おいしそうだけど、ちょっと高め。無理もない。今までずっと,お昼・夜をスーパーのパン+お惣菜+水程度で済ませていたのだから。
「チーズフォンデュが27sfr・・・うーん、どうしよう・・・、Yちゃん(友人の名)、一緒に食べない?」
「いいよ・・・私,まだ体調が悪いから・・・」
そう、彼女は前日から,「時差ボケが直らない体質かも」とこぼしていた。
「*orangeちゃん、1人で食べなよ」「えーっ!?食べきれるかなあ・・・」
迷いに迷っているうち、眼鏡をかけた背の高い店員さんがやってくる。そのとき,ポンと浮かんだフランス語。「まだ決めてません」
--「かしこまりました」にっこり笑って去っていった。
「*orangeちゃん!いま何て言ったの?」
友人はきっと,私がフランス語のできる人間と思ったに違いない。しかし,私はたまたま授業で習ったフレーズを覚えていただけ。(しかし、ちょっと素性のわからない,怪しい先生であった)完全なハッタリ。このフレーズが役に立つ日が来るとは・・・
再びメニューに目を通す。どうしよう、安いから,チーズの盛り合わせにしようかなあ。でも、ここまで来てあきらめるのはもったいない・・・!!
「ねえ、こっちのじゃがいもの、ラクレットはどう?少しなら食べられるんじゃない?」
私の提案,いや押し問答に,友人も「じゃあ、少しなら」と折れた。というわけで、友人はビーフコンソメスープ,私はラクレットを注文。
二人の前に,上から温める大きなヒーターと受け皿がどーんと置かれ,コンセントがつながれた。なんだこれは??そのうち、店員さんがフランスパン,つけあわせのピクルス,蓋つきの木の入れ物を持ってきて,ヒーターの下にチーズを置いてくれた。
「食べ方,わかりますか?このようにして・・・」
細長いフォークとナイフで、チーズを表面からすくいとり、木の入れ物から出した小さなじゃがいもにのせた。一口食べてみる。おいしい!ますますチーズ好きになりそう!これでもか、と思うほど大量に食べてしまった。友人も,少しと言いつつ,かなり食べることができ,満足した様子。しかし、体重計に乗るのが怖い・・・
もうおなかいっぱい、という頃,「デザートはいかがですか?」
甘いものは別腹といえども,これ以上入らない。残念だがお断りする。(あとで後悔する事になるのだが)
宿へ戻り,しばし部屋でくつろぐ。
「ラクレット、うちでもやりたいなあ~」「すごくおいしかったよねー」

3-4:朝ご飯と、お城

2006-09-09 21:13:36 | Gruyere
友人がテレビをつけたままお風呂に入ってしまったので,私はぼーっと画面を見ていた。一番おかしかったのが日本?のCM。東電の社員、着物を着た女の子,柔道をやる男の子・・・。「○○に~生きるぅ~すぃあわすぇ(幸せ)~」
一人で笑ってしまった。歌っているのはフランス人か。でも、振り返って,日本はどうだろう。カタカナ語,妙な和製英語の氾濫した歌。外国人からすれば,発音も下手で,おかしな歌に聞こえているんだろうなあ。そう思うと,笑えない。
フランス語の放送は,ちょっと分かりにくいので,その夜はもっぱらBBCニュース。天気予報のおじさんは,日本もこっちも穏やかなイメージ。
朝。時計をみると,7時を回っている。普段の私なら6時には起きているのだが。よほど快適だったのかもしれない。
8時ごろ,のんびりと階下に下りる。広いダイニングの隅のカウンターに,食事の準備がしてあった。その可愛らしいことといったら夢のようであった。ゆで玉子は,鶏の絵の付いた木製の保温ケースに収められていた。シリアルは麻袋の中。チーズはカーネーションのようなひらひらの花の形に盛り付けてある。飲み物は,牛や花の絵が描かれた瓶に入っていた。古い暖炉や床が、温かい雰囲気。ガラスを隔てた向こう側には,もうひとつダイニングスペースがあり,そのまた向こうの窓に,霧に包まれた山を望むことができた。(まさに↑の山ですね)
テーブルの上の装置,見覚えがある。
「あの、向こうに見えるのは,ラクレットのヒーターですか?」
「Ye--s!」あくまでも明るいオーナー。
のんびり朝食をとったあと,グリュイエール城を見物することにした。門の前まで来る。
「あっ、ちょっと待って!学生証,使えないかな?」
「ええっ!?日本のは通用しないんじゃない?」
「一応,出すだけ出してみよう」
結果は○。1人5sfrのところが2人で8sfrとなった。ちょっと得した気分。
中庭のようなところに出る。雪で真っ白。大砲があり,ちょっと驚く。お城だから当たり前か。
建物の中に入る。暗い。昔の台所のようだ。
「見て,すごい石!」足元をみると,丸みを帯びた細長い石が一面に埋め込まれている。貴族の生活した部屋に入ると,
「うわあ、すごい!」今度は私が驚く番であった。窓である。丸い瓶底のようなガラスがたくさんはめてあり、中央にはステンドグラス。家具は,ロココ調というのか,フランスの貴族が使っていそうな感じがした。しかし、私が心ひかれたのは、猫足の家具よりも,武骨でいて温かみのあるこげ茶色の家具であった。窓の外を眺めると、きのう来た石畳と町並みの屋根が良く見渡せた。窓のすぐ下には,○△□の形をした植え込みがある。おもしろいなあ。イギリスの迷路みたいだ。(実際は、フランス式庭園だった)
外の高台からは,さっきの町並みと,山,ところどころ雪の積もった草原が全部見える。お城の周囲には,枝の先がこぶのように大きくなった面白い木があった。苔むしていて,ちょっと怖い。夏になったらどんな姿を見せるのだろう。

3-5:雪国へ。

2006-09-09 21:13:12 | Gruyere
きのうのレストラン,ル・シャレーの向かい側のお土産屋さんで、日本でいう落雁の木型のようなものを見つける。スケートをする女の子と,猫が彫ってある。
「これなんですか」と尋ねると,やはり、ビスキュイなどのお菓子を作る型なのだという。それにするか、木製のエッグスタンドにするか迷ったが、結局後者にした。他の地域へ行っても見かける、ありふれたものだったが、嬉しかった。
次なる目的地,ツェルマットに向かうには,乗換えが多く,時間もかかる。(4時間半だったかな?)雪国で寒そうだから,早めに着いておいたほうがいい。そろそろグリュイエールともお別れしなければならない。私があまりにも名残惜しそうなので,友人には
「*orangeちゃんだけもうちょっと泊まっていけば?」といわれる始末。しかし、もう次の宿をとってある。再びオーナーの車で、駅まで送ってもらうことにする。
「待ってて!5分で来るから!」そう言って,どこかに電話していた。
「今からちっちゃな日本の女の子たちを送ってくるから」--「ちっちゃな」というのが何ともおかしかった。車の中で,友人は
「とても気に入ったので,今度は母を連れてきたいです」とオーナーに言い,別れ際にお礼としてチップを差し出した。が、彼女は
「とんでもない!あなたのお母さんと会えるのを楽しみにしてるわ」と受け取らず,笑顔で去っていった。--今度来るときは,もっと英語,フランス語を勉強して,いっぱい話がしたい。そう思った。
再び,SBBオンラインの時刻表とのにらめっこが始まる。Palezieuxというところを通って,ローザンヌまで行き,フィスプで降りてBVZ鉄道でツェルマットへ行く。
検札のおじさんが来た。いつものように切符を見せる。ん?なんだか困った顔をしている。おじさん、切符を指さして
「これだと、ビュルからバスに乗る路線なんだが・・・」えっ!?切符を良くみると,確かにバスの絵が描いてある。バーゼルで買った切符には,グリュイエール→ビュル-(バス)→フリブール→ベルン→LOTSCHBERG→ブリーク経由という表示がされていた。
ビュルはもう通り過ぎてしまった・・・
「どうしよう!!」「うーん・・・次の検札で,買いなおしてって言われたらそうすればいいんじゃない?しょうがないよ」
心配性の友人と,どこまでも楽観的な私。そうこうしているうちに、GFM鉄道は小さな駅で停まった。