Stahlgewitter2016

ベルリンへの日々

政治の表象

2017-06-18 18:56:13 | 日記
 われわれはさまざまな像に囲まれている。美術館と新聞で、テレビと広告塔で、貨幣と建築で。そこには、明示的にせよ示唆的にせよ、政治的メッセージを伝えない像はほとんどない。像の政治的言語を理解することなしに過去を学ぶことはできないし、現代を把握することもできない。
(『政治的図像解釈学ハンドブック』表紙の案内文より)


 「何とかの政治学」と題された書物や文章は多い。いわく、風景の政治学、家庭の政治学、いじめの政治学、建築の政治学、言語の政治学、などなど、いくらでも挙げられることができよう。前々から思っていたことに、「政治学」と銘打ちながら、これらのテーマに政治学が取り組むことはほとんどないということがある。言い換えれば、政治学の外で展開される「政治学」が実に多いということである。その最たるものは、像、ドイツ語で言えばBildをめぐる「政治学」ではないかと思われる。ここでいう像には、図像、画像、映像、建築、など表象文化の産物がすべて含まれる。遅くともマキアヴェッリ以降には、彼が『君主論』の中でも書いているように、政治や支配の意思が像の中に表象されることははっきりと意識されていたし、見抜かれていたのである。しかし、さまざまな像のなかに政治的なるものを読み取ったり、逆に政治という営みがもっている美学的性質を明らかにすることは、政治学というよりは、美術史や表象文化論が取り組んできた。それらの中の少なからずのものに刺激を受けてはきたが、やはり政治とか権力のとらえ方に不満を抱いてきたのもまた事実である。

 Uwe Fleckner/Martin Warnke/Hendrik Ziegler (Hrsg.), Handbuch der politischen Ikonographie (2011)

 この2巻で1100頁を越えるハンドブック(ドイツにおけるハンドブーフは、日本的な簡素なハンドブックではなく浩瀚な事典である)は、政治的な像の中核的なテーマ、シンボル、意図を150項目にわたり、また1000枚以上の写真を掲載して解説しようとしたものである。
 今、時間があれば最も読みたい本の筆頭である。時々拾い読みはしているが、ぜひ最初から最後まで読んで、政治学からの政治図像解釈学を展開してみたい(すでに何冊かは注目すべき作品はある)。その際の出発点となる書物の一つだろう。
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