庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

経済発展の大元は、分厚い中間所得層が広がっていること。

2016-12-03 | 経済問題

アメリカの経済政策は、1970年代の停滞の時期までは、中間所得層が堅実な消費の源泉で、経済成長の大きな力になっていた。

経済全体の中での「労働所得」の割合が、GDPの85%を占めていて、消費購買力が健全な経済の基盤となっていた。

アメリカのオバマ大統領は、金持ちの優遇をしてきた「ブッシュ政権」を批判して、「チェンジ」をスローガンにして社会の改革を訴えてきた。

「Yes,We Can」が合言葉になって、アメリカ国民が政府に大きな期待を持って、大統領に選出した。

 

しかし、8年間の実績では、大金持ちはさらに豊かになり、中間層が低落した生活水準になった。

何故、このようになってしまったかはアメリカの問題だが、世界的には共通の原因が横たわっている。

経済成長をするためには、さらなる【規制緩和によって、企業活動に自由度を上げる】ことで、「活発な投資とイノベーションが引き起こされる」との盲信である。

規制緩和には、企業がより一層の利益追求の機会を与えるが、その対象は「投資効率の良い事業」に優先度が置かれる。

アメリカ国内の製造業やサービス業には、低賃金で成り立つ産業にしか関心がないのであって、あとは「国際金融資本家」のマネーゲームに向かうだけである。

 

新自由主義経済の理論に汚染されてしまった政治家が大半では、政府の介入によって「中間所得層」を守る制度が、次々に破壊されてしまった。

低所得層の生活は、不法移民の流入によって「仕事を奪われた失業者」の急増で、さらに生活水準を落とさざるを得ない。

こうして、経済成長を無理やりに回復させようとすると、短期的には「超富裕層の収入を増やす」ことが、経済成長の数値を上げることにつながる。

上位の1%の富裕層の労働所得を除いた99%のひとのGDPに占める労働所得は、63%に低下してしまった。

1980には78.4%であったのに、24%も減少してしまったのである。

 

これは、アメリカだけの状況ではなく、【新自由主義経済の理論】に沿って、貿易の自由化を拡大し、規制緩和を進めた国では、【富裕層と大多数の働く人たちの所得格差が大きく拡大】したのである。

その結果は、中間所得層の低落と減少する傾向が進み、移民の流入による低賃金化によって、低所得層のさらなる拡大が進んでしまった。

生活水準以下の人の急増には、セーフティネットでの救済が国の役目としていたが、【税収は落ちこむだけで財政赤字の重荷だけ】が、積み上がっている。

富裕層優遇の経済成長政策とは決別して、中間所得層を優遇する政策に転じて、健全な消費社会を再構築することしか、経済再生の道はない。(続)

 


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