ジャーナリスト活動記録・佐々木奎一

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相次ぐ女性暴行事件…セクハラ訴訟のドキュメンタリー上映会に潜入

2012年06月06日 | Weblog


 GWの5月3、4日に、「第1回マイノリティ・ドキュメンタリー映画祭2012」が都内の「なかのZEROホール」で開催された。

 同映画祭の趣旨は、「部落」「女性」「ゲイ」などステレオタイプで見られることの多い「マイノリティ当事者」としてドキュメンタリー映画を製作してきた監督3人の作品計6本を二日間にわたって上映し、各映写後に、監督やゲストを交えたトークを行うというもの。

 上映プログラムに目を通し、筆者はとくに4日放映の「らせん」という映画を取材することにした。同映画は根来祐氏の作品(今回が初上映)。

 映画の内容は、新卒採用予定だった企業の社長から性暴力を受けて裁判を起こした女性への密着取材などを通して、男性優位社会のなかでのセクハラ被害者の回復とは何か?尊厳と自尊心を取り戻すとは何かについて問いかける、というもの。監督自身も、セクハラ被害の経験を持っており、上映後のトークライブでは、映画に出てくる被害者共に語り合うという。現地へ向かった。

 会場は20~30代の男女を中心に約40名が参加。映画のメインは、2008年、大学4年時に銀蔵という質屋に内定して、卒業する3月まで同社にアルバイトをする形で就職した女性が、入社した矢先に、社長や店長にセクハラを受け、東京地裁に損害賠償の裁判を起こした話だった。特筆すべきは、セクハラ事件は、二次被害を防ぐため、表沙汰にしないケースがほとんどだが、この映画の主人公は、顔出し、実名で登場していた点である。被害者は岡崎妙子氏という女性だった。

 会がでは、岡崎氏が、裁判所前で、道行く人々にビラを配っている映像や、セクハラをした社長が「原告とは付き合っていた。セクハラではない」と法廷で述べていた点について、怒り心頭の様子で全否定しているシーンや、一審判決を控える中、「裁判を通して、セクハラの社会的認知度を上げていきたい。それが私の使命だと思っている」という趣旨のことを語っているシーン、そして、一審の判決で原告が敗訴となり、落ち込んで涙を流しているシーンなどが映し出された。

 90分にわたる映画の終了後、根来監督と岡崎氏のトークが始まった。

 岡崎氏は、セクハラを受けて退職した後の状況をこう語る。「早く次を見つけて働いて忘れよう、と思う中、大学のキャリアセンターOBのいる会社を紹介されて、そこで働きました。そこで普通の生活に戻ったつもりでいたのですが、情緒不安定、眠れない、だるい、胃が痛いなど、毎日何かしら体調に異変をきしました。会社に行く間も涙が止まらず、仕事中もちょっとしたことで何時間も涙が止まらない状態になり、働くことを辞めざるを得ませんでした。今も、不安定で波があります。ちょっと良くなったと思ったら、寝汗が止まらなくなったり、つい最近は、死にたい、と思って…森で寝ていました。裁判は終わっていないですし、支えてくれる人もいるのに、ダメだな、なんてことしてるんだ、と思うこともあります」と自嘲して語る。

 裁判を始めた経緯については「自分一人で決断して裁判を始めました。周りに伝えると『余計に傷が広がるから辞めた方がいいよ』と言われましたが、自分は裁判をしなきゃ納得できなかったと思うし、裁判をしていないと、今よりもひどい症状だったかもしれない」と語る。

 一審判決については、「私の判決を下したのは、女の裁判官の方だったのですが、判決文は、100%同意があった、という書き方をしていました。同意であれば、PTSDで社会復帰できない事態になっていません。あんないい加減な、適当な、作文くらいの判決文で、税金で高給の給与をもらっていると思ったら腹立たしいし、許せない」と語る。

 判決文については根来監督も「作文みたいになっていて、岡崎さんが言ってもいないこと、思ってもみないことを創作で書いたり、全く別件で岡崎さんが言ったことを、同意があったかのような場面での発言にするなどで、物語をつくっている」と批判。

 また根来監督はこう語る。「09年に、京都教育大学の学生が、居酒屋の空き室を使い、見張りを立てて、次々と一人の女子学生と性交した事件がありました。この事件当事者の男子学生4人が、大学より受けた無期停学処分を不当だとして起こした訴訟について、昨年7月、京都地裁は、『性的行為は女子学生の同意があった。本件は集団準強姦事件ではない』として、処分無効、各人10万円の慰謝料支払いを大学に命じる判決を下しました」と指摘。

 さらに「山形県長井市で昨年8月、同県の消防士3人が20代女性に集団で暴行したとして、集団強姦容疑で逮捕しました。しかし、11月に不起訴処分となりました。こういう司法判断が出るたびに、頭に血が上ります」と語る。

 岡崎氏の裁判は高裁が始まったばかりである。今後の推移に注目したい。(佐々木奎一)

 

 
 
 
 2012年5月13日、auのニュースサイト EZニュースフラッシュ増刊号
 
「潜入! ウワサの現場」で記事
 
「相次ぐ女性暴行事件…セクハラ訴訟のドキュメンタリー上映会に潜入」
 
を企画、取材、執筆しました。
 
 
 
写真左が根来祐監督、右が岡崎妙子氏。

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