ジャーナリスト活動記録・佐々木奎一

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食品添加物は本当に安全!? 政府と消費者“意見真っ二つ”の講演会に潜入!

2013年11月20日 | Weblog

 平成二十五年十一月三日、auのニュースサイト EZニュースフラッシュ増刊号
 
「潜入! ウワサの現場」で記事
 
「食品添加物は本当に安全!? 政府と消費者“意見真っ二つ”の講演会に潜入!」
 
を企画、取材、執筆しました。
 


 高級ホテルで食品偽装が横行していたことが世間を騒がせている。食の安心、安全のニーズは依然として高い。そうした中、ひっそりと今年6月に食品表示法が成立したのをご存じだろうか? 同法は「消費者、事業者双方にとって分かりやすい表示」「消費者の健康増進に寄与」といった理念に基づき、食品表示を改めるというもの。具体的には、今後2年以内に、内閣府の消費者委員会の食品表示部会で議論して、表示方法を決めることになっている。

 この食品表示のなかでも、消費者の関心が特に高いものの一つに「添加物」がある。例えば、内閣府の消費者1100人に対する調査結果(04年度調べ)によると、食品について「“無添加”とあるほうが安全」(17.9%)と「“無添加”とあるほうが、どちらかというと安全」(61.4%)をあわせると、約8割に達している。添加物がいかに敬遠されているかを物語る数字である。

 そうした情勢の中、「食の安全と安心を考えるシンポジウム『食品添加物、本当に安全!? 食品添加物の安全性評価について学ぶ』」と題するイベントが、東京都目黒区内の、めぐろパーシモンホールで10月30日(水)午後1時半から開催された。主催は目黒区と目黒区食品衛生協会。事前に告知したプログラムによると、第1部は、添加物の基準を決める内閣府食品安全委員会の事務局のお役人が講演し、第2部で消費者、栄養士などがパネルディスカッションをするという。現地へ行ってみた。

 会場は約70人が参加。平日昼間とあって同区内の専業主婦や定年した男性と見受けられる人々が多かった。

 第一部の基調講演に出たのは、食品安全委員会評価第一課の高橋暁子課長補佐。高橋氏は添加物行政についてこう説明した。まず、認可されている食品添加物の種類については、10月末現在で約1500種。用途は、「微生物の殺菌・除去」「カビの繁殖を防ぐ保存料」「油などの酸化による変質を防ぐための酸化防止剤」「果物などのカビの発生を防ぐ防カビ剤」や、「食品の形をつくる(豆乳を凝固させて豆腐にするための凝固剤など)」「食感を持たせる(ゼリーやプリンに使うゲル化剤など)」「味をよくする(甘味料、苦味料、酸味料、うま味など)」といった添加物がある。

 次に、こうした添加物のリスク評価について、高橋氏は「どんな食品も絶対安全はありえない。食品の安全は量の問題」という。具体的には、個々の添加物について、動物実験による有害作用の論文などに基づき、どの量まで犬やネズミなどの動物に摂取すると、中毒や病気、死亡に至るかを測る。そこから逆算して、動物に中毒などの生体反応が出ないギリギリの値を調べる。これを「無毒性量」と呼ぶ。この無毒性量が人間に当てはまるかはわからない。そこで「安全係数」と称して、無毒性量の100分の1を「一日摂取許容量(ADI)」と呼んでいる。「ADIは、人が一日の間、毎日摂り続けても健康に影響しない量」と設定しているという。

 ただし、微量とはいえ、長年、毒性の添加物を摂取しても平気なのか? その点について、高橋氏によれば、人体に入った化学物質は、3パターンの経路(「腸管を素通りして排泄」「吸収後、腎臓から尿と一緒に排泄」「肝臓から胆汁をつくり便と一緒に排泄」)があるといい、要するに、排泄や代謝、分解機能があるから、少量なら悪影響は現れないのだという。

 例えば、発育不良・肝臓障害や他の物質と反応して発がん性物質をつくる「ソルビン酸」という保存料の添加物がある。これのADIの数値は、体重1kg当たり25咫B僚50kgなら1日1250咾上限。これはハムで換算すると、使用上限を添加したハムを1日625g食べることになるという。しかし、普通はハムをそんなには食べない、しかも無毒性量はADIの100倍なので、なおさら安全、という趣旨の説明を高橋氏はした。(なお、こうして定めた基準を食品業者がちゃんと守っているかどうかは、各自治体の保健所が調査する制度になっている)

 高橋氏は「リスクの有無や程度は摂取する量次第。食品添加物は通常の食事から摂る量では、健康影響は出ません」と結論付けて話を締めくくった。

 この講演のあと、質疑応答で会場参加者が質問する場面があった。そこで、筆者は、ふと思った。高橋氏自身は、日常生活で添加物を気にしていないのか? その点を聞くため、筆者は手を挙げた。すると、後の席の中年男性が先に指され、マイクを手にした。その男性は開口一番、こう発した。

 「高橋さんにも小さいお子さんがいると聞いていますが、高橋さんがお買いものとか食べ物を買うときに、気をつけていることがあれば、是非とも教えていただきたい」

 この質問に対し、高橋氏は苦笑して吹き出しながら「そういう個人的なことは…」と遮ろうとした。すると、その男性はすかさず、語気を強め、「いや、実際に小さいお子さんがいらっしゃるとのことなので、専門的な目から見て、買い物をされたときに、子どもにこういうものは食べさせたくないな、ということがあれば、是非とも教えていただきたい」と言った。

 高橋氏は、しきりに苦笑しながら「たしかに、職業柄、ラベルは結構見るようにはなりましたけど、とくにこれは子どもにダメ、というものがあるわけではないので、正直なところ、あまり気にせず便利なものを買っています」と答えた。しきりに苦笑しているのが印象的だった。

 その男性は、筆者の聞きたい点を余すことなく聞いたばかりか、高橋氏に子どもがいることまで把握していたので、質問することがなくなってしまった。

 第2部では、目黒区の消費者グループ連絡会、目黒区立の某保育園の栄養士、目黒区内の大手食品販売業者、目黒区保健所によるパネルディスカッションが行われた(※主催者の取材条件により、名前は伏せる)。

 そこでは、業者は、安全な食品を提供している、と言い、保健所は、しっかり検査して基準違反はない、と語っていた。他方、栄養士は、高橋氏の一時間にわたる説明にもかかわらず、こう語っていた。

 その栄養士は、「給食は子どもたちが毎日、健やかに育ってほしい、という思いで子どもたちに喜んでもらえるように提供しています。とにかく子どもたちが一生のうちで一番成長する時期ですので、栄養価の保障は十分しているのですが、それだけではなくて、食材にも配慮を重ねています。旬や出回り時期にあったものであるか。それから、できる限り、国産を心がけています。とくにお野菜は100%国産でやっています」と前置きし、「今回のテーマである食品添加物については、できる限り使わない、なるべく使いたくない、という思いでやっています。今だけ、ではなくて、40年後、50年後、子どもたちが成長していったときのことを考えると、少しでもリスクの可能性がある、かもしれない程度のものであっても、排除できるものは除外して給食を提供したい、という思いでやっています」と語った。

 さらに「リスクももちろんそうなのですが、子どもたちの味覚もまだまだ未発達で、今いろいろな味をどんどん知っていくという時期なので、どうしても添加物を使ってしまうと、味が均一になってしまうので、食材本来の味を、味覚を育てるという意味でも、知らせてあげたいな、と思っています」と語った。

 そして「具体的な例をちょっと紹介したいと思います。まず、お肉のなかではベーコン、ウィンナー、ハム、お魚ではつみれ、はんぺん、などの練り製品は一切使っていません。やはり、添加物だけではなくて、練り製品は塩分も多くなってしまうので、使っていません。お肉は、お肉屋さんで切り身かひき肉を、お魚も毎日、お魚屋さんから切り身を持ってきてもらっています。調味料については、昔からどこの家庭にもある、砂糖、塩、お酢、醤油、味噌、この五つがメインです。こうした調味料の表示は見るようにしています。大豆とお塩、米麹、とか、原材料がしっかりと明記されているもの、産地が確認できるものを使用するようにしています」と徹底ぶりを披歴した。

 また、消費者グループの人は「わたしたちは、どんな添加物が何の目的で、どんな食品に使われているかを知りたいと思うのです。消費者にとって表示は、唯一、中身を知り、買う、買わない、を選択する情報源です。しかし、食品の表示をみても非常にわかりにくいのが実態です。一括名表示が認められているため、物質名がわからないのです。(※食品衛生法では、香料や調味料、膨張剤など14種については、何種類の添加物を使っていても一括表示が可能とされている)例えば、ある菓子パンでみてみますと、乳化剤、香料などとあり、物質名が書かれていません。また、ビタミンCとありますが、これは用途が書いてありませんが、おそらく酸化防止剤だと思います。このような表示は、誰が見ても、わかりやすい表示とはいえないと思います」と指摘した。

 その後、第二部の最後のあいさつで、主催者である目黒区食品衛生協会の太田美雄副会長は、「みなさん、こんにちは。第一部の添加物、まあ、たくさん摂らなければ大丈夫、という話でしたけど、ちょっと不安ですよね。第二部の話、大変参考になったと思います」と言い、閉会となった。

 なお、食品添加物については、様々な意見がある。例えば、「添加物があるからこそ、大量消費も可能だし、無添加だとかえって腐ったりする心配がある。それに日本は基準が厳格だから安心して食べられる」という食品業者もいる。その一方で、パネリストたちのように、不安視する人も多い。

 そうであるからこそ、添加物の用途や容量、有害性の特質、物質名、メリット、デメリットをオープンにした表示が必要ではないだろうか?(佐々木奎一)

 

 写真は、内閣府食品安全委員会・評価第一課の高橋暁子・課長補佐。

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