すぷりんぐぶろぐ

陥穽から風穴をさがす

ジャーナリストの本を読む

2017年03月07日 | 読書
 ジャーナルという語を調べると「日刊新聞・定期刊行物」という意味とともに、機械部品としての軸部分を指す用語が載っている。考えてみれば、私たちが毎日目にする新聞や雑誌、テレビなども、そんな役割を果たしている気がする。少なくとも時事的な関心は、そこに左右されている。ジャーナリズムの使命は重い。


2017読了22
『会えて、よかった』(黒田 清  三五館)


 伝説的な名物ジャーナリストと言ってよかろう。没して十数年になる。回数は少ないがテレビなどに出演したときの迫力は、今も目に残る。「読売新聞」という大手に所属していても、不正に対して挑む姿、そして世の中の弱いもの小さいものに目を向ける姿は一途だった。そんな人たちとの出会いを綴った一冊だった。



 部落、障害、難病、犯罪、在日、残留孤児、戦没者…様々な苦難に満ちた日々を過ごした方々とのふれあいから、それを一つのストーリーに仕立て、生き抜く素晴らしさを語っている。共通するのは「主人公」たちの強さであるが、それは裏返せば、その時代の(今も…)世間の差別がいかに根強いかを示していた。


 最終章に「勝ちゃんと別れたあの日」と題して、著者自身の同期との「刎頸の交わり」が綴られている。入社試験から別れの日までが淡々と記され、心に迫る。その友人は病床にありながらスクラップブックを作り続けた。その気力に、職業人としての矜持をみる。そういう軸を持つ者をジャーナリストと呼ぶのだと思う。
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