すぷりんぐぶろぐ

陥穽から風穴をさがす

足腰の強い人

2017年05月15日 | 読書
 名前は知っているが著書には触れていない三人の新書を手に取ってみた。
 考えは違えども、足腰の強靭さには見習うべきことが多い。
 世代のせいにはしたくはないが…とうてい敵わないなあ。
 
2017読了49
 『たしなみについて』(白洲正子  河出書房新書)

 女性の評論、随筆の草分けと言っていい存在であることぐらいは知っている。文章の長短はあるが、一つの箴言集のような趣がある。考えると書名の「たしなみ」とはずいぶん多義に用いられる。「芸事などへ親しむこと」「日頃の心がけ」「つつしみ」「身を飾ること」「嗜好品を口にすること」…全てを網羅している。

 範囲が広い中、言葉に関した記述に際立つものを感じた。外国語習得に関して、これほど辛辣な文章はそうない。曰く「習ったら出来る様になる言葉なんてものは、たまに便利である以外に何の用もなしはしません」。人を理解するためにはまず「違うものであると知る事」が先決という。コミュニケーションの肝を想う。



2017読了50
 『銀行に生き、地域に生きて』(町田 睿   さきがけ新書)

 地元紙に載った連載を読んだことがあった。第一部は半生記、第二部は新聞論壇に寄稿した文章、三部以降は諸原稿となっている。繰り返しになる記述も多いが、銀行マンとして情熱を傾けて働いたという誇りや気概に満ちているし、地元秋田を思う強い意志を感じる文章だ。一定の影響力も発揮している方だと思う。

 重ねて語られる一つに「1極集中の是正、地方重視」がある。それは、この国の未来に関わる最重要事項である。どうしてそれが進まないのか。著者に限らず、口にする方々の影響力を考えると不思議な感じがする。それゆえ根深い構造的な問題、牽引してきた世代の根本的価値観との相違があるように思えてきた。


2017読了51
 『老活のすすめ』(鈴木健二  PHP)

 人気アナウンサー時代の頃の印象は強烈だ。著者は、大勢を相手にする時と個人的なコミュニケーションをとる時の違いが大きいと書いているが、容易に想像できない。それほどに魅せたバイタリティ通りに人生を進めている著者が、「老」をどう考えどう暮らすかが具体的に記される。腰のひけない生き方の典型だ。

 放送人としては稀有な存在だった。それは「内容を自己を通して発信する」からだろう。報道番組だけでなく、バラエティ等においても「より伝わってくる」語りが巧い。本書の中で圧巻なのは1950年代の戦没者追悼式典だ。無言の慣例を破り、単語だけで戦争への「執念」を述べたくだりは、今想像しても凄みがある。
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