すぷりんぐぶろぐ

陥穽から風穴をさがす

自己責任は自業自得とは違う

2016年10月16日 | 読書
『この国の冷たさの正体』(和田秀樹  朝日新書)


 副題「一億総『自己責任』時代を生き抜く」が示すように、この著のキーワードは「自己責任」である。「自己責任」が言われ出したのは97年頃という記述があるが、印象深いのはやはり中東諸国での拉致問題だ。文中で指摘するように政府、マスコミの誘導は非常に大きく、言葉自体も独り歩きしているように思う。



 自己責任という言葉は今「自業自得」に等しい使い方をされているのではないか。もちろん以前からそういうニュアンスを含んでいることは否めない。しかし、その点の強調が他者を突き放すことになり、ほとんど攻撃の様相を呈している。「自己責任」を自分への言葉として使うか、他者へ向けるかは大きな違いだ。


 その点を踏まえながら、著者は精神科医らしく「どんな問題であれ、自分だけ苦しむ必要などない」と言い切る。そのためには、この「自己責任社会」のからくりに気づき、思い込みを捨てることだと強調している。そのヒントになる様々な情報が記されており、特に接する頻度が高いテレビの影響について言及している。


 「責任内在論」はわが師の教えの一つである。責任を外に求めず、まず自分が何を出来るか、を心に据えることだ。しかしそれは、もう一つ上のある意味で楽観的な人生観によって支えられてこそではないか。他者と共に生きるための思考習慣、行動原理をしっかり考えて拡げていくことで「温かさ」を取り戻したい。
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