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観客席で思ったこと ~200文字限定のスポーツコラム~
 



2005東京国際女子マラソン(テレビ朝日)

35km過ぎ、テレビ中継の画面が4、5位の様子を映していたときに、高橋尚子が急激なスパートを仕掛けていた。映像が先頭集団に戻った時には、すでに高橋と後続の2人の間は遠く離れていた。

高橋には珍しく序盤を抑えた走りだった。公表していた右足のふくらはぎのケガの影響だったのか。それとも記録が必要のないレースで、確実に勝つための作戦だったのか。

しかし、結局、高橋はスパートをかけ、独走状態となった。2年前に失速し、アテネへの権利を失った場で。後ろを振り返りながら疾走する高橋。、追いかけてくる選手からではなく、過去の悪夢から逃れるように。まるで短距離を駆けるかのように、腕を振り、顔をゆがませながら走り続けた。不覚にも、その姿に涙している自分に気づく。

国立競技場に入り、サングラスを捨て、最終コーナーでは、右手を高々と掲げての復活の勝利宣言をしてからのゴール。

悪夢を振り払ったうえ、この大会の歴代3位の記録もついてきた。高橋尚子の完全復活、そして「チームQ」の完璧な勝利だった。半年前に、小出監督とのコンビから、ランナー高橋を中心とするチームへと戦う体制を変えていた。レース後のインタビューでは、「チーム一丸となって、次の大きな目標に向かう」と宣言した。

高橋尚子の歓喜のゴールによって、2007年大阪世界陸上、2008年北京オリンピックの日本女子マラソン代表への熾烈な争いが早くもスタートした。日本陸連の、うれしくも悩ましい日々のはじまりである。



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ウルグアイとのプレーオフを、PK戦の末に制して、オーストラリアがドイツW杯への出場を決めた。そのオーストラリアを指揮するのは、2002年日韓W杯で韓国を4強に導いたフース・ヒディンクだ。

オランダのPSVの監督として、国内リーグやUEFAチャンピオンズリーグを戦いながら、地球の反対側のオーストラリア代表チームの監督を兼任する。そして、最大の課題だった南米とのプレーオフに勝利した。まったく、お見事としかいいようがない。

こうなると、W杯本番でのヒディンク・オーストラリアに、がぜん興味がわいてくる。再び、サッカー発展途上国を世界の頂点がみえるところまで押し上げることができるのか。

ドイツW杯の楽しみが、またひとつ増えたようだ。

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ジェフ千葉対ジュビロ磐田@フクアリ(2005/11/12)


前半はジェフの、後半はジュビロが支配した試合となった。

前半の半ば、阿部のヘディングシュートで先制し、さらにいかにもジェフらしいカウンターから佐藤勇人が2点目を決める。その後の前半は、サポーターの大声援をバックにイケイケのジェフだった。
ストヤノフが最終ラインを締め、阿部が正確なサイドチェンジを多用して、ピッチを仕切った。ジェフの象徴とも思っている羽生が欠場していたのは残念だったが、十分にジェフのサッカーを楽しめた前半だった。

後半は、がらりと様相が変わる。
ジェフの選手の足がまったく動かなくなった。試合をコントロールしていた阿部がどこかに消えてしまった。ジュビロの攻撃に対し、ズルズルと下がるだけのディフェンス。後半の指揮者はジュビロの名波と服部だった。ベテランはあわてず、さわがず、じわじわとジェフのゴールに迫り、結局ジュビロが同点とした。

ともに3点目を取れずに、引分けに終わったが、それぞれのチームの特徴がよく出ていた試合だった。

ジェフは、ナビスコ杯の決勝、天皇杯と8日間で延長戦2試合を戦い、この日が3試合目。走れなくなるのも当然だろう。ただし、たとえば、バスケットボールやバレーボールのように、試合中にタイムアウトがとれる競技であれば、後半をしのぐことができたかもしれない。

ピッチの中の選手が自ら判断して苦難を乗り越えなければならない。サッカーの面白さのひとつだ。その面白さの部分で、ジェフは若さを露呈し、ジュビロは老獪さを見せつけた試合だった。

さいごに一言。選手入場の前に、ジェフのサポーターが歌うアメイジング・グレイスの替え歌は、ちょっと長すぎるのではないか。選手入場のBGMやアナウンスとかぶりまくりで、効果半減という感じがした。

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ラグビー・日本対スペイン(2005/11/5 14:00 秩父宮ラグビー場)


6月の日本対アイルランド戦以来の秩父宮。だいぶ格下のスペイン代表との対戦だったので、勝負よりも、ラグビー日本代表にとって初めとなる外国人ヘッドコーチ、エリサルド氏の元、どんなラグビーが展開されるのか、という内容への興味が大きかった試合だった。

しかし、2011年ラグビー・ワールドカップ日本招致カウントダウンマッチ、日本代表対スペイン代表戦は、日本代表が勝利をおさめたものの、かなり期待はずれに終わった。

再来年2007年にフランスで開催されるワールドカップを視野に入れた日本代表の顔ぶれは、ずいぶんとフレッシュになっていた。しかし、そのためか、試合の序盤からミスが目立った。攻撃ではボールが手につかず、守備ではタックルが高く、甘かった。そのため、前半はスペインにリードされる展開となった。

リードされた日本は、強豪相手には絶対に通用しないモールからのトライなどで逆転。SO廣瀬は難しい角度のゴールを決め、試合の要所を締めてくれた。そして、後半終了間際には、WTB小野澤が、いかにも小野澤らしいスピードと機敏さと粘り強さをみせてのトライを決めた。

この日、秩父宮を訪れた11465人の観客は、廣瀬のキックと小野澤のトライがなかったら、相当な欲求不満をもって帰路に着くことになっただろう。2人のおかげでどうにか溜飲をさげることができた。

今月11月17日には、アイルランドで2011年大会の開催地の投票が行われる。秩父宮ラグビー場のVIP席で、この試合を観戦し、競技場の雰囲気を体験した国際ラグビーボード(IRB)の関係者たちは、日本でのワールドカップ開催に、期待をもっただろうか。それとも、不安を抱いたか。

試合前のセレモニーで森喜朗日本ラグビー協会会長が、「最後の最後に同点トライを目指す気持ちで、残りわずかな期間の招致活動に臨む」という意気込みを発していた。

小野澤のトライは、2011年ラグビー・ワールドカップ日本開催に届いたのだろうか。



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