邦画ブラボー

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「歌麿をめぐる五人の女」

2006年09月02日 | ★人生色々な映画
時代考証、たぶん衣裳アドバイスも
担当した甲斐荘楠音のすごい仕事を楽しんだ。

登場人物は
甲斐荘の絵の中から抜け出してきたのでは?と
思うくらいみながみな酷似していたのには驚いた。
ぎょっとするような?花魁もいましたしね。

冒頭の花魁道中は
吉原が引越ししてきたよう。
歌舞伎座で見るのとはまた違った趣があり
つかみにはぴったりの華麗な映像であった。

登場人物にも歌麿に坂東箕助(八世三津五郎)、
歌麿に絵勝負を挑む小出勢之助役の坂東好太郎、
その夫人となった飯塚敏子(多賀袖太夫)と、
歌舞伎界関連の役者が揃っているので、
口調、立ち居振る舞いに
「江戸の粋」情緒がぷんぷん漂っているのは
当たり前といえば当たり前なのである。

5人の女たちの生き様
江戸の街の喧騒や華やぎと共に
あきれるほどの歌麿の画狂人ぶりも描かれている。

歌麿の弟子になって婚約者そっちのけになってしまう
勢之助の絵キチガイぶり、
浮世絵から抜け出したみたいな花魁と色男の道行き、
刺青の絵入れ、
殿様の裸泳ぎ!のご見物、
命がけの色恋沙汰など、
あれやこれやも
歌麿にとっては
「描きてえ!」「描きてえよお!」
の題材でしかないという可笑しさ。

命がけで恋を貫く
おきた(田中絹代)の事件がクライマックスに描かれ
「恋ってなんだろうね、恋ってこんなものなのかね」
という台詞に
歌麿しんみり・・

と、思いきや!

50日間施錠された手を自由にされた途端
「描きてえ!」というオチがついていて爆笑。
まさに涙もかわかぬうちにこのていたらく!

ピカソもそうだったように、
天才の周りの女は
何か魂を吸い尽くされたように
運命を狂わせられるのかもしれませんわ。

まあ、でも女あっての歌麿とも言えますか!

*映画の中のイイおんな*
田中絹代:粋な姐さんが恋に狂ったら?愚かしくも悲しい女を
体現しています。思いつめた瞳がきりりと美しいです。
命がけの恋の相手というのが
イマイチぴんとこない、なよなよしたやさ男なんですけどね。
江戸の女の着付けも見所。

1946年 監督  溝口健二
脚色依田義賢
原作 邦枝完二 『歌麿をめぐる女達』
撮影 三木滋人
音楽   大沢寿人 望月太明吉
美術 .本木勇
時代考証   甲斐荘楠音

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9 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ぶーすか)
2006-09-02 16:50:25
こんにちはーTBさせて下さい。歌麿を演じている坂東簑介(三津五郎)さんがひょうひょうとしていてすごく良かったです。今まで観た溝口映画でかっこいい男が出てきたのはこの作品と「新・平家物語」ぐらいだったような気がします

<殿様の裸泳ぎ!

壮観でしたねー!というかスケベな殿様だ!

<歌舞伎座で見るのとは

ところで、この作品って歌舞伎の演目になっていて上演されたんでしょうか?
返信する
Unknown (ブラボー)
2006-09-02 19:15:40
裸と言っても

腰巻と晒?姿でしたけどレビューみたいで

面白かったですね。

あんなの見ながら

酒飲むなんて・・・ねえ。



昔の人は骨が細くて、なで肩ですね。

歌麿さんの軽みがよかったです。



あの銀座の若旦那は・・・・



>歌舞伎の演目

いえ、この作品では無く、歌舞伎の花魁道中は別の演目で・・です。



これは歌舞伎にはなっていないと思いますが・・



長谷川一夫さんで

映画もう一本あるみたいですね。

見てみたいなあ
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しまった! (オタクイーン)
2006-09-02 19:33:27
この作品、今回は諸事情で見る事が叶わなかったのでした。でも、ブラボーさんの記事やぶーすかさんのコメントを読んでいると、かなりそそられますねー。(いろんな意味で)



まあこれだけの名作ですから、また見る機会はあると思います。その時はじっくり腰を落ち着けて見てみようかと。残念です。



今日の私の記事はテレビ時代劇の異端「必殺仕置人」。とても恥ずかしくてTBさえできません(泣)。またお邪魔させて下さいね。
返信する
花魁絵巻 (ブラボー)
2006-09-02 23:18:05
かなり古い作品なので

台詞などが

聞き取りにくいところが

あったのはちと残念でした。



まあTBしてくださればいいのにぃ~

いつもオタクイーンさんには

お勉強させていただいております。



遊びにいっちゃおおうっと
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残念、、 (kauzko)
2006-09-05 10:27:34
これ見たくて録画予約したつもりがBS1に設定して失敗。

昔誰が監督したか忘れたけれど長谷川一夫で見たが、、どんなのだったか忘れている。

溝口版見たかったです。
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まあ残念でしたね (ブラボー)
2006-09-05 11:57:58
でも、

長谷川一夫版をごらんになったんですか。

未見なので

ソレ是非見たいです。



46年公開なので終戦直後。

GHQ監視下での制作、公開でした。



映像も「クラシック」でした
返信する
歌麿をめぐる5人の女 (kazuko)
2006-09-06 08:25:40
ブラボーさま



この映画は1959年木村恵吾監督の山本富士子などが出ている映画ですので、、ご指摘のものとは違いますが、、

http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD26413/comment.html
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すみません (ブラボー)
2006-09-06 08:44:12
溝口版が46年公開でクラシックだったということを

言いたかったのです。



すみません、紛らわしくって。



山本富士子、長谷川一夫の

59年版もぜひ見たいです!

すごく色っぽそうですね。

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すみません! (kazuko)
2006-09-06 15:49:00
ブラボーさま



私そそっかしいもので、、(^_-)-☆

読み違いしました。



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