邦画ブラボー

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「琴の爪」

2006年01月31日 | ★ぐっとくる時代劇
忠臣蔵の討ち入り「その後」の物語。
真山青果原作。

「大石最後の一日」として
歌舞伎でも演じられているが、アレンジは違っている。

大石内蔵助(松本幸四郎)らは
細川越中守の中屋敷で心静かに毎日を過ごしていた。

細川家家臣、堀内伝右衛門(中村鴈治郎)は
浪士らに同情する余り、
「お咎めは軽くなるに相違ない」「世間ではみなそう申しておりまする」
などと口走り
静かに死を待つ浪士の心を乱してくれるなと大石にたしなめられる。

12月14日から2月4日の切腹まで、かなり長くお沙汰が
降りなかったんですねえ。

そんな折、
大石の元に男装したおみの(扇千景)という娘が尋ねてくる。
あだ討ちのために偽りの婚姻の約束をした
磯貝十郎左衛門(中村扇雀)の真意をただすためだった。

いったんは願いを拒絶した大石だったが、
いよいよ切腹の上梓が下って、若い二人の面会を許す。

磯貝は冷たい言葉を投げつけて
取りすがるおみのを突き放すが・・

一時間の小編ながら
中村扇雀(現坂田藤十郎)、中村鴈治郎親子に扇千景の
名役者一家が共演していて見ごたえありました。

扇千景の愛らしさは驚異的で
なんでまた政治の世界にと悔やまれる美しさと演技のうまさ。
ご夫婦のツーショットはなかなか麗しかったです。

松本幸四郎は立ち居振る舞い完璧の大石内蔵助で申し分無し。
武士らしい最後を遂げるまで家来を統率する一方で、深い情けも見せる。

浪士たち(田中春雄・平田昭彦.・森川信ら)の会話は
「おい、切腹の作法を知らんのだが、どうやるのだ?」
「とにかく立派に死ねばよいのだ」などとても人間臭い。

切腹の順番待ちの場面ではついつい
色々なことを想像してしまう。

薄暗い座敷から一人減り、二人減り、最後に大石が残る。

切腹に向かう大石の背中を見守る堀内のまなざしがしみじみ良い。

監督は「女殺し油地獄」の堀川弘通

1957年 監督:堀川弘通 脚色:菊島隆三・若尾徳平
 美術 : 北猛夫 撮影 : 山崎一雄

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