邦画ブラボー

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「峠」シリーズ第2話「狂女が唄う信州路」

2022年10月11日 | ★ぐっとくる時代劇

笹沢佐保の

「峠」シリーズは以前もぐっときて

何度も見返したお気に入り股旅ものである。

今また時代劇専門チャンネルで放送されている。

第2話「狂女が唄う信州路」

さて誰が狂女なのでしょうか。

 

「信州無宿 抜かずの丈八」と異名を取るニヒルな渡世人川津祐介が

老いた渡世人花沢徳衛(懐かしい)の

恨みを晴らすべく、長ドスを抜く!

渡世人が旅を続ける街道。北風が吹き、ぺんぺん草が生い茂っている。

今こんな場所残っているのだろうか?とふと思うような

昔ながらの風情である。

スタイリッシュなカット割りが

川津祐介の暗い眼差しをとらえる。

 

どんないきさつで刀を抜くことをやめたのか

そして 老人の仇を討った後はどうなったのか?

何も示されない。虚無感満載。

芥川隆行のナレーションがこれまた枯れているのである~~

 

堪能~~~時代劇は宝ですね♬

 

 


山本富士子の「人肌孔雀」

2022年03月16日 | ★ぐっとくる時代劇

永らくのご無沙汰でございます。

 

「人肌孔雀」と聞いて、色っぽい系の映画かなと

思ったら山本富士子が珍しい男装→若侍姿から

あでやかな芸者姿へと変化し悪人に立ち向かう

れっきとした時代劇娯楽作でした。市川雷蔵が共演。

まあそれにしても美しいこと。美しいこと。

 

お座敷での華麗な日舞に

うっとり。あんぐり。

まるで伊東深水の絵画から

抜け出してきたようです。鈴の音のような声で

主題歌も歌っていらっしゃいます。なんでもおできになるんですねえ。

一朝一夕では身につかない身のこなしとせりふ回し・・

やはりこういう女優さんはもう現れないのかなと思ってしまいました。

 

セットも素晴らしく

夏のお屋敷のしつらえ、屏風 お花といちいち完璧です。

堺正章のお父さんの堺俊二が、岡っ引き役。達者な演技で笑わせてくれ・・

カッコいい雷蔵といいコントラストです。

 

江戸っ子弁が耳に心地よい・・

「はばかりながら、こちとらちったあ世に知れた泥棒様でぇ。

なまくら頭の浪人のサビになっちゃあ叶わねえ!!」

 

「これ、年寄りをなぶるでない!」

 

この頃あまり耳にしない味のある台詞に反応!

日本語ってほんとにいいですよね。

 

つけまつげもばっちりの雷蔵と山本富士子、麗しすぎます。

この映画を観ていて気がついたのですが

盛り上がる場面には切れ目なく音楽が流れている!

 

ハリウッドのマイケル・マン監督のアクション映画などでたえず音楽が鳴っているのを

最近の日本の映画は真似しているのでは?と思っていたのですが

もうすでにこのころからそうだったのですね~~目からうろこでした。

 

勧善懲悪、悪い奴には必ず天罰が下る!!

そう思っていないとやってられないですよね!

1958年 森一生監督

時代劇専門チャンネルにて

 

 

 

 


「真田幸村の謀略」

2017年10月07日 | ★ぐっとくる時代劇

猿飛佐助(あおい輝彦)が宇宙人?という

奇想天外時代劇だが

監督は中島貞夫

脚本は笠原和夫なんです。

 

松方弘樹の幸村は、ドーランも黒々で

精悍でどっしり!なんだけど、

真田十勇士をストップモーションでコミカルに登場させたり、

のっけから隕石が飛んで来たり、

大陸帰りの真田広之が韓国語でぺらぺら喋ったりと

びっくりの連続。

 

幸村が執念で追う、家康は萬屋錦之介。

大阪城でヒステリックに叫ぶ淀君に

高峰三枝子という豪華キャスト。

高峰三枝子は

「犬神家の一族」の汚れ役が素晴らしかったけど、

すでにこういう濃いキャラをやっていたのですね→ ×

というのは間違いで

この作品は1979年公開

「犬神家・・」は76年・・だから

犬神家のほうが先でした。

とにかく、達者な演技に見惚れた。

 

笠原和夫の脚本は

リズムが良く、長い台詞も心地よく耳に入ってくる。

「そうなの~~?」などという

妙な現代語が混じっていないのもいい。

そうそう、成田のミッキー(成田三樹夫)も

大阪方の重鎮として出ており

ドスの効いたセリフにうっとりしました。

他に丹波哲郎、梅宮辰夫も。

 

大阪城落城シーンは

色々な映画で何度もみるけど、何度見ても感慨深い。

秀吉が一代で築きあげた豊臣家が無残に

滅ぼされてしまう・・日本の戦いの歴史ですね。

 

合戦シーンは迫力があり、

派手な甲冑姿の幸村が何人も現れるシーンは、鳥肌ものの

見どころでした。

 

ラストにも、あっと驚くショットが待ち構えている、

エンターテイメント時代劇でした。

 

時代劇専門チャンネルにて

 

今日も良い日でありますように。

 

 

 

 

 


千恵蔵の「はやぶさ奉行」

2017年01月06日 | ★ぐっとくる時代劇

片岡千恵蔵「はやぶさ奉行」

 

やっぱり

千両役者の顔だよね~~~

ゴージャスです。

眼力というよりも

顔力があります。

 

遠山の金さん!といえばおなじみの啖呵。

このシーンが見たいがために最後まで見てしまうという・・・

千恵蔵の割れがねのような渋い声と

独特のセリフまわしと息づかい?がカタルシスを生みます。

 

桜吹雪・・・

 

しかし

お奉行様 → 公務員 が 刺青って・・・・・

確かに意外性はあるけど・・・

やっぱりまずいよね (^_^;)

 

 


丸山(美輪)明宏の「雪之丞変化」

2014年10月10日 | ★ぐっとくる時代劇

時代劇だけを365日放送しているその名もずばり

時代劇専門チャンネル」で

美輪明宏

丸山明宏を名乗っていたころ(三十代)のテレビドラマシリーズ「雪之丞変化」(全13話)を放送している。

 

長谷川一夫主演:市川崑監督の映画版は筆者の大好物なのですが、

この美輪版も素晴らしい。

妖しい魅力を放つ雪之丞は美輪明宏にぴったし!の題材だと思いました。

 

無残に死に追い込まれた親の仇を付け狙う

あやかしの女形役者、雪之丞。

それを助ける

謎の盗賊、闇太郎(二役)。

しっとりとした女言葉の雪之丞(メイクは究極に濃い)は、

美しく艶やかですが

男性、しかし

女のエッセンスを凝縮したような存在。

そしてべらんめえで粋な闇太郎は

仕草もバシッときまっていて

男以上に男っぽく見えます。(しかしメイクは大変に濃い

 

要するに美輪的世界基準にデフォルメされた存在なのです。

 

この二人が入れ替わり立ち代り現れて視聴者の頭を混乱させます。

さらにややこしいのは

雪之丞に恋い焦がれる熱狂的ファンの娘(映画では若尾文子が演じた)との絡みは、

女同志のラブシーンのようにみえて、実は男女なのですが

演じてるのが美輪さんなので、ジェンダー的によくわからなくなります (^_^;)

逆宝塚」ともいえる

倒錯・幻惑の世界です!

 

さらにこんがらかるのは、雪之丞と闇太郎のツーショット。

なんと!ひとりでラブシーンが成立という離れ業。

誰にでもできる芸当ではありません。相手役が必要無いのですから!!!!

 

けれんといえばこれほどけれん味たっぷりの

作品はなかなか無いかも。またそれを一級のエンターテイメントにしているところが

さすがです。

さらに、

用心棒侍の細川俊之が

雪之丞を

「ふたなりの化け物」・・・と言い放つシーンがあり、

こういう台詞を

言わせてしまう

美輪明宏の度量の大きさに びっくりしました。

 

長谷川一夫が演じる、味わい深いボルドーワインのような雪之丞も

素晴らしいですが

この美輪版も、

強烈さでいえばウォッカ、

香りでいえば

強烈な芳香を放つブランデーのような味わいといえましょう!

 

平凡な日常に辟易している 老若男女におすすめです!

美しいもの、怖いもの(^_^;)、刺激を好む 方はさらにおすすめ。

メリハリのある派手な演出ならこの人!の、御大五社英雄が監督であることも付け加えておきます。

 

*補足:全13話放送とのことでしたが、差別的表現が含まれるということで

二話分カットされるそうです。非常に残念。