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※- 国立競技場・7月から解体予定 2014年05月30日
5月30日、NHK website ー: 2020年・夏のオリンピックとパラリンピックのメイン・スタジアムとなる国立競技場。
8万人を収容する大規模な競技場に建て替えることが計画されていて、28日に基本設計の案がまとまりました。
一方、ここに来て、建築家などから計画の見直しを求める声が次々と上がっています。
今年7月から始まる予定の解体工事を前に、国立競技場の建て替えを巡って今、どのような議論が行われているのか ・・・。
NHK・社会部:古川恭記者が解説
≪ 8万人・開閉式新競技場計画 ≫
2020年のオリンピックとパラリンピックに向けて、さまざまな競技施設が整備されますが、その目玉となるのがメインスタジアムとなる新しい国立競技場です。
その国立競技場の建て替えに向けて競技場を運営する日本スポーツ振興センターが基本設計の案をまとめ、28日に開かれた有識者会議で了承されました。
それによりますと、新しい国立競技場の収容人数は、現在の5万4000人から最大8万人に増えます。
また、天候に左右されずにコンサートなどのイベントも開催できるよう、天井部分が開閉できるようになっています。
また、観客席は、臨場感を持たせるため、サッカーやラグビーなどの試合ではピッチの近くまでせり出すように動かすことができます。
工事費は、今の競技場の解体にかかる費用を除いて総額1625億円の見込みです。
今後は、より詳細な図面を作成する実施設計に移り、来年10月に着工し、5年後の2019年3月の完成を目指します。
基本設計の案について、日本スポーツ振興センターの河野一郎理事長は、「すばらしいものが出来上がってきた。今後、しっかり計画を進めていきたい」と意欲を語りました。
≪ 建物の高さ見直し〜その背景 ≫
今回、了承された基本設計の案では、これまでの想定を見直した点があります。
それは建物の高さです。
これまでの想定では、天井部分の最も高いところで地上75メートルとしていましたが、これを5メートル低い70メートルとしました。
この背景には、新しい国立競技場が周辺の景観を損ねるとして建築家などから見直しを求める声が相次いでいることがあります。
去年11月には東京体育館や幕張メッセなどを手がけた建築家の槙文彦さんや、都市計画の専門家などが景観などの面で懸念があるとして国に対して計画の見直しを要望。
さらに、ことし5月には、全国の建築家が会員になっている日本建築家協会が、競技場の規模や景観に与える影響などに対してさまざまな議論が出ているとして、ことし7月から始まる予定の解体工事に着手しないよう国などに要望しました。
また、著名な建築家が改修の代替案を発表するといった動きも出ています。
≪ 歴史的景観の中にある競技場 ≫
国立競技場のある明治神宮外苑は、大正15年に完成。
このときに整備された絵画館やイチョウ並木など、その歴史ある景観の美しさで広く知られています。
近代建築史が専門で京都工芸繊維大学の松隈洋教授によりますと、国立競技場の前身の明治神宮外苑競技場は、バックスタンドを元の地形を生かした芝生の席とするなど、高さを抑えて周辺の景観に影響しないよう工夫されていたということです。
国立競技場は、戦後、東京オリンピックの開催の前に2度にわたって建て替えや増築が行われて今の姿になりましたが、このときも、スタンドの高さをできるかぎり抑えるよう議論が重ねられたということです。
今回の基本設計の案で、日本スポーツ振興センターは、建物の高さを5メートル低くしたことで周辺の環境に配慮したとしています。
それでも20階建て以上のビルに相当する高さがあり、松隈教授は、「多少低くなったとはいえ全体のボリューム感は変わっておらず、歴史ある空間に異質なものが現れることに変わりはない。
先人たちが苦心しながら守り、多くの人たちに親しまれてきた景観を、2週間のオリンピックのために壊してしまってよいのか」と疑問を投げかけています。
≪ 2度目の五輪・求められる競技場の姿は ≫
建て替えに対して、さまざまな意見が出ていることについて、日本スポーツ振興センターは、「今後、外部の専門家の意見を聞く機会を設けて対応できることは対応していきたいが、解体の延期は考えていない」として、予定どおり7月から解体工事を始める考えを示しています。
前回=『1964年・東京オリンピック』で、日本は戦後の復興を遂げ、急速に経済成長する姿を世界に示し、メインスタジアムである国立競技場は、その象徴としての役割を果たしました。
それから50年以上を経て再び建て替えられる国立競技場は、どうあるべきなのか。
世界に誇るスポーツや文化の拠点として最先端の施設に建て替えられます。
また、一方では、今の施設を生かしながら改修をして歴史的な景観と調和した施設とする考えなど、さまざまな意見があります。
国などには、国民に開かれた議論を尽くしてほしいと思います
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