スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

竜王戦&賄賂

2016-10-17 19:06:11 | 将棋
 一昨日,昨日と天龍寺で指された第29期竜王戦七番勝負第一局。対戦成績は渡辺明竜王が15勝,丸山忠久九段が9勝。
 天龍寺の宗務総長による振駒で丸山九段の先手。角換りに。
                                     
 ここで▲4七銀と上がればほぼ相腰掛銀ですが,先手は▲2五歩△3三銀▲4五桂と仕掛けていきました。後手は△2二銀。先手もこう進めた以上は▲2四歩△同歩▲同飛まで必然でしょう。
                                     
 銀を2二に引いたので△4四歩が成立するかというとそうではなく,▲7一角と打って先手もやれるようです。そこで△4二角と飛車取りに打って5三の地点を同時に補強。先手は▲3四飛と横歩を取りました。
 後手は桂馬を取るのが狙いですから飛車をどかすために△2三銀。これに対して▲3五飛と引くと△4四歩で桂馬を取り切られて苦戦とみたようで▲3二飛成と切っていきました。ただし感想にある通り,両者の読みが食い違っていますから,引く順もあり得ると思います。もっとも千日手になるのであれば先手としては不満でしょう。
 △同王は必然で▲2二歩。桂馬の交換ではつまらないので△同王と強く取るところなのでしょう。先手も駒損なので収めるわけにはいかず▲4一金。後手は単に△2四角と逃げました。次の▲5三桂成は仕方ないところなのでしょうが歩を取ったために△5六歩が生じることに。
                                     
 第3図で▲6三成桂と取った手が最終的な敗着だったよう。代えて▲6六銀から上部を厚くするべきだったとされています。全般的にいえば先手の攻めは無理気味に思えるのですが,玉の堅さが異なるので,この仕掛けは有力であるとみてもよいのかもしれません。
 渡辺竜王が先勝。第二局は27日と28日です。

 『宮廷人と異端者』では,まず暗殺未遂があって,その後で破門の宣告がなされたという順序になっています。ベールの『批判的歴史辞典』がそういう時系列で書かれていますので,スチュアートはそれを参考資料に用いたためであると思われます。ですが,ファン・ローンJoanis van Loonはスピノザが襲撃された後の治療を実際に行った医師であり,それは破門宣告より後だとされています。スピノザが2度も襲撃されたのならどちらも誤っていないことになりますが,そうしたことは考えにくいといわなければならないでしょう。スチュアートの論述はその襲撃事件の後,スピノザは裂かれた上着の穴を繕わずに生涯とっておいたという,スピノザがローンに語ったとされる事柄の内容が実行されたというエピソードに接続しています。おそらく史実を語っているのはローンで,先に破門の宣告があり,その後で暗殺未遂という事件が起こったのだと僕は考えます。『スピノザの生涯と精神』の訳者である渡辺義雄も,ベールの当該部分の記述に対する訳注として,スピノザが襲われたのは破門の後のことだと記しています。
 スチュアートはユダヤ教の指導者たちがスピノザに年金を贈ることを提案したという点については史実であると解しています。それは異端的な見解を公衆の前で放棄したら金銭的な褒賞を与えるという提案であったという主旨の記述になっています。僕はその点ではスチュアートは事柄の真相をうまく把握しているのではないかと思います。要するに年金というのは,スピノザがそれまでの見解を否定し,かつ将来にわたってユダヤ教の伝統に則して生活するということの対価という意味が強かったと僕には思えるからです。とても俗なことばでいえば,それは年金ということばで表現されていても,実際には賄賂であったと思うのです。
 スピノザは実際には破門されたのですから,その提案をスピノザが拒絶したとスチュアートがみなしているのは間違いありません。スチュアートはそれを受け取れば自分は偽善者になるとスピノザが語ったと書いていますが,本当にそう言ったかは別に,これも年金が事実上の賄賂であったことをうまく描写していると思います。
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