スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

ライプニッツの返事&絶対に無限な実体の認識

2017-08-05 19:18:11 | 哲学
 1671年4月にグレフィウスの報知を受け取ったライプニッツGottfried Wilhelm Leibnizは,すぐに返事を出しています。この返書についても『宮廷人と異端者』で簡単に内容が説明されています。
                                       
 ライプニッツがそこで語っているのは主に3点です。ひとつは自分が『神学・政治論Tractatus Theologico-Politicus』を読んだということです。原書にはスピノザの本と記されているようで,ライプニッツはその著者がスピノザだと認識していたことが分かります。次が,明らかに教養のある人間,つまりスピノザのことですが,彼がこのような低きに堕落するのは嘆かわしいことだということです。この時点でスピノザとライプニッツは面会していません。ですからこの評価はライプニッツがその時点で知り得ていたスピノザに対する評価です。ただ,グレフィウスに送った手紙の文面にあるので,『神学・政治論』を読んでの評価と限定してもいいかもしれません。最後に,『神学・政治論』はキリスト教を覆すであろうということです。
 僕はライプニッツはグレフィウスJohann Georg Graeviusからの手紙を受け取る以前に『神学・政治論』を読んでいたと推測しています。ただどんなに遅くとも,この手紙が書かれた時点ではそれを読み終えていたということが,最初の部分から確定できます。
 ライプニッツは宮廷人でした。したがって立場上はキリスト教を擁護する必要がありました。おそらくグレフィウスもそのことを承知の上で『神学・政治論』のことをライプニッツに教えたと思われます。最後の部分はその立場を守るということのライプニッツの宣言であると考えられます。ただし,ライプニッツが深い信仰心を抱いていたとは考えにくい点もあるので,この部分はライプニッツの本心とは別に,グレフィウスに対しての模範的な回答を示したのだと解釈する余地もあると思います。

 第三種の認識cognitio tertii generisが,神Deusの属性attributumの形相的本性essentia formalisの十全な認識から個物res singularisの本性essentiaの十全な認識へと進むと説明されるとき,属性は必ずしも神が絶対に無限absolute infinitumであることを意味しているわけではありません。ある属性を単独で抽出するなら,それは自己の類において無限であり,絶対に無限であるわけではないからです。絶対に無限であるとは,無限に多くの自己の類において無限である属性によって本性を構成される実体substantiaでなければならないからです。
 とはいえ,僕は人間の精神mens humanaが第三種の認識で神の属性の形相的本性を十全に認識し,また個物の本性を十全に認識するとき,それは神について実質的に絶対に無限であるということを認識しているのと同じことであると考えます。その理由を説明していきましょう。
 まず,第二部公理五が示している内容は,もしも僕たちが何らかの属性を認識するならば,それは延長の属性Extensionis attributumであるかそうでなければ思惟の属性Cogitationis attributumであるかのどちらかであるということも意味し得ます。したがって,もしも神の本性を構成する無限に多くの属性のすべてを認識できなければ,神が絶対に無限であるということを認識することができないと仮定すれば,僕たちは神が絶対に無限であるということを認識することができない,いい換えれば僕たちは絶対に無限な実体を概念するconcipereことができないと結論しなければなりません。ですがこれはそれ自体で不条理です。僕たちは神が絶対に無限であり,絶対に無限である実体が必然的に存在しなければならないということを十全に認識するからです。よって,認識することが可能である属性に限りがあるということは,絶対に無限であるものを認識することができないということの理由にはなりません。第二部定理六により,各々の個物はその個物が様態modiとなっている属性の下で神を原因とするので,現実的に存在するある人間が第三種の認識によって個物の本性を十全に認識するとき,その原因としての神はある属性として認識されることになります。第三種の認識の説明はこの点を踏まえていることになります。
 重要なのは,そのとき属性が神の属性として,つまり神の本性を構成するものとして認識されている点です。
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