スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

狼になりたい&第五部定理一四証明

2017-07-16 19:08:30 | 歌・小説
 「小石のように」や「タクシー ドライバー」が収録されている「親愛なる者へ」というアルバムの中で,最も有名なのは「狼になりたい」ではないかと思います。
                                     
 「狼になりたい」は未明の吉野家(歌詞では吉野屋)が舞台ですが,多くの人間が出てきます。歌っているのは若い男で,順に化粧がはげかけたシティ・ガール,肘をついて眠っているベイビィフェイスの狼たちという複数の男,「兄ぃ」と呼び掛けられる吉野家のおそらくはアルバイトの男,「この女」といわれる女,ただこの女は前述のシティ・ガールと同じでしょう,さらに向いの席のひとりぼっちの客のおやじです。
 ところが,歌っている男の心境と目に移ることだけが歌われ,人間模様が歌われることがないので,男は2度ほど「あんた」と呼び掛けるのですが,だれに対して「あんた」と言っているのかが不分明です。ですがこれが不分明なので,この歌はむしろ面白くなっているように僕には思えます。

     あんたも朝から忙しいんだろ がんばって稼ぎなよ
     昼間・俺たち会ったら お互いに「いらっしゃいませ」なんてな


 これは向かいの席のおやじが登場した後,歌っている男がビールを注文した直後の歌詞です。してみるとこれは吉野家のアルバイトに語り掛けているのでしょうか。

     俺のナナハンで行けるのは 町でも海でもどこでも
     ねえ あんた 乗せてやろうか
     どこまでもどこまでもどこまでもどこまでも


 ビールを注文しておいてバイクに乗せてやろうもないものだと思いますが,これもだれを乗せてやろうとしているのか分かりません。向いの席のおやじだったとしても不自然でないように聴くことができるのが不思議です。そして最後の「どこまでも」を,作曲との関係で3回にせず4回にしたのはこの曲の秀逸さのひとつだと僕は思っています。

     狼になりたい 狼になりたい ただ一度

 歌っている男がどんな狼になりたいのかは分かりません。でも「ただ一度」と言っている間は狼になることはできないのでしょう。

 今度は第五部定理一四のスピノザによる証明Demonstratioを検証します。ただしスピノザはここではふたつのことしかいっていません。
 まずスピノザがいうのは,精神mensはすべての身体的変状affectiones corporis,corporis affectionesについて,何らかの明瞭判然たる概念を形成できるということです。これは第五部定理四でいっていることです。ここでは第五部定理四の意味において,身体的変状を身体corpusの刺激状態そのものと解しています。つまり人間は自分の身体が外部の物体corpusによって刺激されるとき,何らかの明瞭判然とした,すなわち十全adaequatumにして真verumである概念を形成するということが確認されているのです。この概念が共通概念notiones communesを意味することはすでに説明した通りです。
 スピノザはここから第一部定理一五に訴求し,よってそうした概念を精神は神の観念idea Deiに関連させることができるといって証明を終えています。
 第一部定理一五は,すべてのものは神のうちにあって,神なしにはあることも考えることもできないQuicquid est, in Deo est, et nihil sine Deo esse, neque concipi potestということを示していました。ここでは共通概念についていわれているので,神なしにはそれを考えることができないということを重視しましょう。つまり証明の流れは,共通概念は神なしには考えることができないものであって,ゆえに精神は共通概念を神と関連させることができるといっているのです。ただ,第一部定理一五は,因果関係をまったく含まないというように解することは僕にはできないように思えます。そうであるならここでは実は第一部公理四が前提されているのであって,精神のうちに形成される共通概念は,原因である神の認識cognitioを含んでいて,したがって共通概念が形成される場合には必然的に原因である神の認識が含まれているから,精神は共通概念を神と関連させて認識しているというように解することができるのではないかと思えます。つまり第五部定理一四は,精神は身体の変状affectiones corporis,corporis affectionesすなわち身体の刺激状態の観念も外部の物体の表象像imagoも神に関係させることができるといっているのですが,実際には共通概念を介することによって,必然的にそうしていると解せると思います。つまり関係させることができるというより,実際にそうしているといっているのだと解せるでしょう。
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