池田 悟≪作曲家≫のArabesque

・・・深くしなやかに・・・(フランス語に訳してます)

チェレスタ・コンチェルト

2008-10-03 | 作曲/鍵盤(打)楽器
たとい妖精のようなかわい子ちゃんと一緒になれる幸運を得たとしても、それが24時間365日べったりだと、やがて何とも思わなくなってしまうに違いない。
チェレスタ・コンチェルトを作曲する難しさは、ここにある。
可愛いだけでは飽きられる。飽きられようが、うるさがられようが、開き直ってぶりっ子に徹するのも一つの方法だろうか。

チェレスタ…内部に5オクターブほどのグロッケンシュピール(鉄琴)のような板が入っていて、それを鍵盤で弾く楽器。
あまり大きな音は出ない。フォルティッシモの感覚はグランドピアノの4分の1にも満たない。とりわけ低音は虚ろで音程が定かで無い。
この楽器の独壇場は中高音域にあり、コンペイトーのように可憐な音がこぼれ落ちる。
そのコンペイトーに酸味をつけることは出来ないか。デザートの素材でメインディッシュを作ることは無謀だろうか。

チェレスタは近代のオーケストラで、どんな役割を担ってきただろう。
静謐な空気の中に、神秘的な香りを仄かに流し込む。或いはノスタルジックなオルゴールの響き。
またある時は輪郭に施されるレースの縁飾り、ちりばめられた宝石。銀河の煌めき、ほとばしる噴水、圧巻の日の出…。
ただし多用すればするほど効果が失せるとされている。そんな楽器でコンチェルトを書くという矛盾、不可能性、それとも贅沢?

腫れものに触るみたいに作曲にかかってから、早3ヶ月。光を象徴するこの楽器の音色は、闇とのコントラストを強調することで一層際立つだろう。
チェレスタ・コンチェルトなんぞ既成の曲は知らないから、音量的な限度はハープも参考に推測する。
同じく音量の慎ましいチェンバロ・コンチェルトを聴けばバロック音楽、即ち音楽の高まりを音量の変化に頼らず構築した巨匠たちの技法に学ぶ。
しかしこれら断片的な着想だけではまだ、構成力に欠ける。
いま、ようやくこの曲は宗教的な内面性を基盤とすること無しには成り立たない、との結論を得た。
celesta―celestial―celebration…天上の祝賀

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