HAKATA PARIS NEWYORK

いまのファッションを斬りまくる辛口コラム

売れ残りから何を読み解くか。

2016-01-06 07:41:11 | Weblog
 2016年が年を開けた。今年も初売り、服袋はお客を集めたようだが、それが冬物クリアランスに引き継がれると、たちまち失速してしまうようだ。

 セールと言っても店頭にあるのは秋冬のアイテムの売れ残りか、セール用に投入したもの。色は黒やネイビー、ブラウン、グレーなどのダークカラーが基調になる。素材もウールのメルトンやフラノ、ニット、アクリルが主体だ。

 売場サイドでは、こうした商品が年末商戦で不振なら、「それはセール待ちなのだから、年明けに捌けばいい」と思っているのかもしれない。

 しかし、初売りで1〜2点は売れたところで、大半が売れ残っているのなら、シーズン的に厳しいのではないかということである。

 ショップ名は差し控えるが、冬物セール開始のレディスでは、チェスターやピーなど厚手のコートを残しているところが少なくない。年明けも暖かさが続いているので、セールにかけたところで、梅春を考えるお客は買う気にはならないと思う。

 ニット関連、トレンドのコーディガンですら、グレーなどダークな色は動いていない印象だ。昔のようにワゴンに堆く積まれることはなくなったが、それでもボディや什器ですら手にとるお客が少ないので、これでは売れないと思う。

 ミセスショップでは、昨年暮れから50%OFFに下げたところで、ようやくコーディガンに触れるお客がチラホラと見受けられた。それでも、他にトレンド不在のせいか、セーターやダウンコートの類いには手を伸ばす様子すらない。

 専門店チェーンの「しまむら」が行っているように、まだまだ冬が続く東北や北海道などに一気に在庫を移動させれば、消化できる可能性はあるだろう。だとすれば、なおさら気候的に春に近づく九州では、クリアランスは難しいと思う。

 昨年暮れは冷え込まず、年末商戦はそれほど盛り上がらなかった。だから、持ち越し在庫は初売りで商機を逃すと、もう「売れない」と判断してもいいのではないか。

 特に筆者が住む福岡市は、年が明けると陽射しが日に日に明るくなっていく。風が吹くと、気温は下がるので防寒衣料は必要なのだが、梅春を感じさせる陽気では、ダークな色合いはファッション的に不釣り合いだ。

 だから、冬のセールでは、いつも生成りやオフホワイト、そしてペールトーン、厚手のコットンや起毛系の素材を探すのだが、あるはずもない。やはり、売れ残りは売れ残りでしかないからだ。

 というか、プロパーでも一向に構わないのだが、レディスのアイテムを除き、メンズでは梅春トーンの投入は皆無といっていい。

 ブランドアパレルやセレクトSPAは、半年以上前に投入商品を手配しているので、期中の修正が利かないのはわかる。

 でも、それなら、企画の段階で差し色でもいいから、1点ないし2点くらいペールトーンを加えてもいいのではないかと思う。冬物アイテムが梅春気分で着こなせると、少しはお客の財布も緩むのではないか。

 日本のSPAが海外と差別化するにはいい加減、暖冬傾向やエリアMDを意識した企画を考えても良いはず。まあ、言うは易し、行うは難しであるのは、十分承知の上だが。

 専門店系アパレルなら、この時期には攻めの企画があってもいいと思う。防寒仕様、梅春素材、ペールカラーを取り入れたアイテムだ。

 この時期には厚手のコットン素材を使ったアイテムを思いきって投入する。 例えば、 トレンチコートに使用される厚手のコットンギャバ。できる限り、打ち込みを強めて風を通さないようにする。

 ユニクロのようにポリエステル地を裏貼りすると、ファッションとしては興ざめになる。だから、素材そのものを生かしながら、防寒に注力するわけだ。

 アイテムとしては、春先まで引っ張れるコート、ライダースやロングのジャケットを加えて目当たらしさを出してはどうだろう。

 ライダースはコーティングした厚手のデニムも面白いし、ロングジャケットはピケや起毛したドビークロスなんかもいい。SPAが多用するツイルなんかじゃ、堅牢さに欠けるし、素材感や風合いがない。

 色はオフホワイト、生成り、サンドベージュ、ペールやグレイッシュトーンのオリーブやサーモンピンク等々だ。汚れが付きやすい色合いだけに、コットン系の素材なら洗濯も利く。

 1〜2度洗いをかけた方がザラついて、かえって春先にピッタリな風合いになるかもしれない。

 昨秋はMA-1がチラホラ見られ、トレンドアイテムとして復活を予感させた。素材はポリエステルだったので、春先こそコットンギャバやオフホワイトのデニム、目の詰まったスウェットなんかで仕掛けてはどうかと思う。

 寒さよけには取り外し可能なライナーを付けるとか、身頃にフェイクレザーや顔料などをボンディング、コーティングするなど、いろんな工夫はできると思う。

 それが厳しいなら表加工のゴム引き仕様なんかでもいいのではないか。

 15万円以上もするマッキントッシュのコートが売れ続ける理由を考えると、オリジナルがもつ防水機能ではないような気がする。(某ライセンスメーカーはテレビCMでそれを訴求しているけど)

 お客にとっては、むしろ寒さよけに機能転用されていると思う。これはセレクトショップが単品などとのコーディネートで、お客に着こなしをうまく伝えたからだ。

 懇意にするフランスのメーカーは、春先向けにコットン60%程度にポリミド、ポリウレタンを混紡した素材を使い、ライナーにもコットンを使用した「ジップジャケット」(139ユーロ)を企画している。

 コットンメーンだからこの時季のウールのように重たくないし、化繊混紡で表面が汚れても洗濯すればきれいになる。

 また別のメーカーでは、昨年冬からコットン100%や、コットン60%程度にナイロン30%、ウール20%のニット(49ユーロ)を投入しているが、暮れの時点で「エクリュ」(生成り)は完売したとのことだ。

 売れ残りはノワール(黒)、グレイメランジュ(霜降り)というから、欧州各国のバイヤーもライトな色合いは差し色に使い、結果的にそちらの方がお客には、目新しを感じられたのだろう。

 ウール20%の混紡率ではまだまだ寒いと思われるが、ダウンコートのインナーに着たり、春先向けアイテムとして先買いしたお客もいると思う。お洒落で先を行く人間なら賢い買い方をするはずだから、なおさらである。

 例年、この時期には同じようなことをブツクサと書いてきた。だからと言って店頭に並ぶ商品が変わるわけでもない。

 10年くらい前にスプリングコートをオリジナルで作って以来、梅春向けのアイテムを個人的にデザインし、作ってきた。一昨年はオフホワイトのコットンモールでパンツを作ったので、そろそろ穿くことができる。

 暮れに肉厚のドビークロスを手に入れたので、来年向けにいろんなアイテムデザインの構想が浮かんでいる。1点ものはコストと時間がかかるので、願わくば量産の市販アイテムがいいのだが、実現しないのは十分にわかる。

 ただ、新年の経済紙や業界誌に書かれたアパレルや小売りトップの所信表明には、今年も変化や改革といったテーマが目立つ。

 ピックアップすると、「客離れを覚悟で、新しいことに挑む」「地域ごとに専門店売場」「服屋はもっとリスクをとって闘わないと」等々の潔いフレーズが躍る。

 ならば、暖冬で外したアイテム、冬のセールで売れない色、素材から読み解き、ぜひとも今年こそはイノベーションを進めてほしいものである。
 
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