HAKATA PARIS NEWYORK

いまのファッションを斬りまくる辛口コラム

ジーンズの仕様を変えてはどうか。

2012-02-02 16:23:09 | Weblog
繊維産業ブログによると、「自社直営の国内縫製工場を縮小・廃止するジーンズ専業メーカーが相次いでいる」という。メーカーにとって、工場や技術者などのコスト負担は重く、セレクトショップのPBやSPAのOEMを受ける程度なら、外注でしか利益を出せなくなっているのだ。ジーンズ専業なのに何とも皮肉な話である。

 そんなことを考えていると、フランスから春物紹介のメールが届いた。メンズではさして目新しいアイテムはなかったが、唯一目を惹いたのが写真の「Jean chino coupe straight en denim long.32」である。
 見た目はストレートジーンズなのだが、5ポケットではなくスラックスタイプ。ストーンとノーウォッシュの2色、8サイズ展開で、レングスはcoupe 32、いわゆる股下81cm裁ちだ。価格も49.99ユーロと値ごろ感がある。
 特徴はジーンズ、スラックス双方の仕様をミックスした点だ。 右サイドポケットに深めの「フォブポケット」を縫い合わせ、下の合わせ部分は「リベット留め」。逆に後ろはヨーク仕様ながら「バックストラップ」付きでアイビーパンツを思わせる。8サイズもあってジャストウエストではけるから、アジャスターというより飾りだろう。随所に遊び心を打ち出した仕様になっている。

 日本のジーンズではこれまでバックストラップ仕様はあったが、ジーンズシルエットで脇ポケットのスラックスタイプは見たことがない。何で作らないのか、不思議でならない。
 思えばリーマンショック直後、ファーストリテイリングのg.u.が990円ジーンズを発売し、マスコミの報道合戦も過熱してジーンズデフレを巻き起こした。しかし、激安ジーンズの仕様を冷静に見ると、仕上げ、始末は随所で簡略化され、コストダウンへの腐心があったのは言うまでもない。
 逆の見方をすれば定番ジーンズの仕様は固定しているので、ボタンフライ、リベット留め、シームなどの加工には高度な技術も必要なく、海外の工場でも十分対応が可能になっている。それがジーンズのボリュームゾーンを4000円程度まで押し下げ、国内自社工場を縮小・廃止に追い込む理由だ。

 国内専業メーカーが生き残るには、付加価値の高い商品づくりしかないと言われる。ただ、言うは易しで、「その答えが見いだせないから、工場の縮小・廃止に至っているのだ」という反論も理解できる。
 でも、どんどん技術力を増す海外メーカーや工場に対し競争優位に立つには、やはり企画力とそれを表現できるノウハウしかない。定番デザインをダブルネームで仕掛ける程度ではヒットどころか、市場の活性化にはほど遠いだろう。
 ならば、思いきってジーンズ=5ポケットという固定観念を変えてもいいのではないか。 新しいデニムパンツとして、マーケットの掘り起こすのだ。Jean chinoのような凝ったデザインは一例と言える。裏地や付属品が加われば仕様も複雑になり、縫製プロセスでのチェックなど自社工場を持つ優位性も発揮できる。

 定番ではなくデザインに価値を求めるニッチなマーケットもあるはず。こうした市場を細かく分析してスタイリングやオケージョンから企画発想することも、硬直化したジーンズ業界に必要ではないかと思う。

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