現在、欧米の不良債権及びそこから派生した大量の証券化商品の価格下落が大問題になっていますが、過去の他の国での債権保証会社の破綻の処理などを調べると、結局は政府が不良債権を買い取る機関を設立してその機関の機関債(政府保証付き)と不良債権を交換するという方式で、つまりは先延ばしして処理しています。
その機関債もいずれは償還することになりますが、そのための原資獲得の方法としては①税収の増加でまかなう(その国が儲ける)②外国に肩代わりしてもらう(儲けている外国人に肩代わりしてもらう、自国に外国人の投資が急増する、など)などが過去使われてきました。
①は油田を発見するとかなど新たな収入源が見つかったり、輸出拡大に成功する場合です。②これまでのアメリカがやっていた方法です。(日本・中国・中東が米国債を買う。)
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さて、今回のCDS問題なども、どこかの時点で政府の信用を利用して上記の手法をとらずに、全関係者が正直に精算を進めれば、間違いなく連鎖倒産は発生してしまいます。
債権債務関係というものの自体が、「今はないけど後で返す」という仕組みなので、そもそもが先延ばしシステムです。この仕組みは資本主義の根幹部分でもあり、アメリカの金融業者にロースクール出身者が大勢いる理由も、こうした法律(債権債務関係)と金融の強固な結びつきから理解できます。資本主義は、この法制度に依存しており、制度面のみに着目すれば、結局のところ法律をいじることでいかようにも処理可能といえます。もちろんそれによってその政府機構の信用が失われて存続できなくなるという可能性はあります。
「後で返すことになっているものを今返せ」とみんなが言い始めれば、それは資本主義終了を意味します。資本主義はひとつの資源分配システムで、全く新しい資源配分システムを構想して、それに皆が満足すれば別に問題ないのですが、今のところ、通貨発行方式以外の有効な資源分配システムは発明されていません。(歴史をこの側面からみれば、通貨発行権の奪い合いと捉えることもできます。)
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話を元に戻せば、CDSの精算過程において、対象債券をすべて上記機関債(あるいは国債)と交換していけば、保険金の支払いは不要になり、理屈上は政府の信用ですべて先延ばしが可能になります。もちろん、派生商品の価格下落不安が元になっているあらゆる金融商品の換金売りも止まります。
その際の原資ですが当面はキャッシュは不要で、機関債(or国債)を発行して不良債権と交換するだけです。言い換えると政府が機関債という通貨(手形)を発行して埋め合わせているともいえます。キャッシュが必要な金融機関はその機関債(国債)を担保に中央銀行から借り入れればOKです。
今回のデリバティブ危機を現行世界経済秩序を維持したまま処理しようとするなら、これ以外に方法はちょっと思いつきません。
一週間前にG7の声明を聞いた時、不良債権処理の国際機関を設立して、上記のような債券を発行してすべての不良債権と交換する策をようやく出しそうだなと思いました。実際、EUではそのように話が進んでいます。
もっとも、膨れあがった国債と膨張してしまった通貨をどうするかという問題は残ったままです。そういう意味では完全解決とはいえませんが、完全解決とはすなわち現行資本主義の終了を意味すると思います。現通貨体制での債権債務関係がチャラになって、別の通貨システムに移行するということです。
その機関債もいずれは償還することになりますが、そのための原資獲得の方法としては①税収の増加でまかなう(その国が儲ける)②外国に肩代わりしてもらう(儲けている外国人に肩代わりしてもらう、自国に外国人の投資が急増する、など)などが過去使われてきました。
①は油田を発見するとかなど新たな収入源が見つかったり、輸出拡大に成功する場合です。②これまでのアメリカがやっていた方法です。(日本・中国・中東が米国債を買う。)
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さて、今回のCDS問題なども、どこかの時点で政府の信用を利用して上記の手法をとらずに、全関係者が正直に精算を進めれば、間違いなく連鎖倒産は発生してしまいます。
債権債務関係というものの自体が、「今はないけど後で返す」という仕組みなので、そもそもが先延ばしシステムです。この仕組みは資本主義の根幹部分でもあり、アメリカの金融業者にロースクール出身者が大勢いる理由も、こうした法律(債権債務関係)と金融の強固な結びつきから理解できます。資本主義は、この法制度に依存しており、制度面のみに着目すれば、結局のところ法律をいじることでいかようにも処理可能といえます。もちろんそれによってその政府機構の信用が失われて存続できなくなるという可能性はあります。
「後で返すことになっているものを今返せ」とみんなが言い始めれば、それは資本主義終了を意味します。資本主義はひとつの資源分配システムで、全く新しい資源配分システムを構想して、それに皆が満足すれば別に問題ないのですが、今のところ、通貨発行方式以外の有効な資源分配システムは発明されていません。(歴史をこの側面からみれば、通貨発行権の奪い合いと捉えることもできます。)
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話を元に戻せば、CDSの精算過程において、対象債券をすべて上記機関債(あるいは国債)と交換していけば、保険金の支払いは不要になり、理屈上は政府の信用ですべて先延ばしが可能になります。もちろん、派生商品の価格下落不安が元になっているあらゆる金融商品の換金売りも止まります。
その際の原資ですが当面はキャッシュは不要で、機関債(or国債)を発行して不良債権と交換するだけです。言い換えると政府が機関債という通貨(手形)を発行して埋め合わせているともいえます。キャッシュが必要な金融機関はその機関債(国債)を担保に中央銀行から借り入れればOKです。
今回のデリバティブ危機を現行世界経済秩序を維持したまま処理しようとするなら、これ以外に方法はちょっと思いつきません。
一週間前にG7の声明を聞いた時、不良債権処理の国際機関を設立して、上記のような債券を発行してすべての不良債権と交換する策をようやく出しそうだなと思いました。実際、EUではそのように話が進んでいます。
もっとも、膨れあがった国債と膨張してしまった通貨をどうするかという問題は残ったままです。そういう意味では完全解決とはいえませんが、完全解決とはすなわち現行資本主義の終了を意味すると思います。現通貨体制での債権債務関係がチャラになって、別の通貨システムに移行するということです。
CDS決済リスク軽減に清算機関、不良資産分離は時価評価で=提言 10月18日
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-34381120081017
10月21日(火)リーマンのCDS決済、どうなるんでしょう?
http://jovivi.seesaa.net/article/107924416.htmlから引用
>2つ目のドミノが倒れてしまうのか、2つ目のドミノが踏ん張ってそこで止まるのか、で今後の展開は大きく変わってきます。果たして、3,650億ドルは無事支払われるのか、その3,650億ドルを払った金融機関が破綻して新たなCDSの清算を招くのか、それとも無事事前に準備してあったキャッシュでCDS をキッチリ清算して連鎖をそこで食い止めるのか、が注目されます。もちろんそこでガチっと止まれば、これは間違いなく明るいニュースになります。金融機関が抱える恐怖心と猜疑心は大きく和らぐでしょう。もしフタを明けてみたら、超大金持ちがこのCDS契約を一手に引き受けていて、鬼のように潤沢なキャッシュからバーンと3,650億ドル払ってハイ清算おしまい、だったら物凄い巻き返しがあるでしょうね・・・そういう1社を作ればいいって話に向かうわけですが。
公的資金の注入は、2つ目のドミノが倒れるのを防ぐことに留意しているのか?
次々起こる事象、時系列の整理、金額の桁の多さ。
算数の九九で躓き、以後挫折ばかりの当方でも、
来週は一波乱ありそうな気がします。
差し障りがない範囲でtommy様の見解をご教示いただけると幸いです。
こちらのページ
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/201018.htm
によると、
> 現時点、世界に信用があり、世界を救えるのは日本しかない。
とのこと。
ブリタニカ、アメリカーナ、ときたら次は、
日本かーな?
お後がよろしいようで。
http://plaza.rakuten.co.jp/555yj/diary/200810110000/
よりリンクした
http://www.gamenews.ne.jp/archives/2008/10/cds8625.html
にあります。
9月後半の時点で、中央銀行の行動から、どういう方法を使うかは別としてアメリカ超大手金融機関の破綻はないものと考えていました。今後、破綻があるとすればなんらかの政治目的でスケジュールされた形のみと思います。もちろん、関係者以外にはわかりませんが。
また、銀行を破綻させないことと景気がよくなることは関係ないので、銀行ネタは相場乱高下のネタとして利用されるだけに留まるのではないかと思います。
しかし、悲観視、楽観視それぞれの情報が交錯するなか、どちらが正解か判断することができませんでした。
正直なところ、貴ブログに出会った当初、紋切り型でつまらないなと思っておりました。
しかし拝読し続けるうち、豊富な知識と経験を持つ実直な人が書かれているに違いないと思うようになりました。
おそらくtommy様から見れば、こんなことも解らないのか、と嘆息されるような質問にもご丁寧に回答いただき、間違いでなかったと確信いたしました。
お世辞ではなく、貴ブログに出会えて本当によかったと思います。
今後もよろしくお願いいたします。
読んでよかった、という声は実に嬉しいものです。
慢心せずに、これからも気を引き締めて続けていこうと思います。