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空気の猫

 

一日では できない
ただできることを
ただたんたんとやるしかない
なんて
ハノイの海辺の猫たちは考えない
藁のうえの雛たち 牛の尻尾がはねて
ただ一日の部分があって
ゆるい彩りが切りとられた
そして二日でも できなかった
この半世紀にしても
ほんとうに祈れたことは
あったか 声は言葉は あったか
ほんとうに神さまは いたか
言葉は はじまったか
バリ島の風が吹いて
いま猫たちが眠り
お香のけむりが漂っている
(僕ノ言葉ヨ 向コウヘ往ケ)
今夜の遠い都会の音を
ピン止めされたゴッホの書物が聴いている
なぜか炎のない蝋燭が立って
結局なにを
したのだろう
この一日 この半世紀と
言葉よ 向こうへ往け
空気の猫は 尻尾をふって眠り
いま できることは
あした できることは

ほとけの二体の顔の前で
空気の猫は完璧に眠っていた
(僕ハ何度モ眠ル
 一日デモ 半世紀デモ)
夢は何度でもくりかえしている
結局なにも
できないものとして
ひとりの無力な弟子として

 

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