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「レベル1マルチバース」その1

2014年05月09日 | 宇宙

 物理学はかつては空想と見なされていたような抽象的な概念をも取り込みながら、その世界を広げてきた。丸い地球、目に見えない電磁場、高速運動における時間の遅れ、量子状態の重ね合わせ、曲がった空間、ブラックホールなどはそうした概念の例である。当然、マルチバースの考え方もその中の一つである。

 マルチバースは、相対論や量子力学といった確固たる理論を基礎にしているうえ、経験主義科学の基本をなす2つの特徴を備えている。つまり、理論に基づいて何かを予測することができ、また、それ自体が誤りだと立証される余地も残している。その発想は、これまで挙げてきたマルチバースのように複雑なものではなく、ある意味で、宇宙の「定義」を見直すようなものだと言える。

 アメリカのマックス・テグマークが提唱する「並行宇宙」の考え方は、「因果関係を持てる空間だけを同じ宇宙だと考えよう」と言っている。すなはち、光の届かない「事象の地平線」より向こうの空間とは因果関係を持つことはできない。そして、その場所は時空がつながっていても、情報や物質をやり取りすることができません。

 宇宙に関する最近の観測結果からさまざまなことが予想され、並行宇宙の考え方もその1つです。観測によると空間は無限に広がっていて、無限の空間のどこかでは、いかにあリそうにもない事柄であっても、可能性のあるものなら現実となる。私たちが望遠鏡を使っても観測できない外側には、 私たちの宇宙とそっくりな別の宇宙空間があり、これが並行宇宙の一つで、この種の並行宇宙までの平均距離を計算することも可能なのです。

 では、現在の宇宙で私たちが因果関係を持てるのはどこまでなのか。テグマークによれば、その領域は差し渡し420億光年程度です。つまり、私たちは420億光年先までの光は見ることができるということになります。

 これを聞いて、違和感を抱いた人もいるでしょう。なぜなら、宇宙の年齢は、138億年であり、私たちが見ることのできる「最古の光」は宇宙の晴れ上がりと同時に直進したCMBですから、それは138億光年先に見えるはずです。しかし、それを考えるときには、宇宙が膨張していることを計算に入れなければなりません。138億年かけて光が飛んでいるあいだに、その空間は広がっているので、距離は伸びている。それを含めて計算すると、138億年前に出た光は、約420億光年先まで遠ざかっていることになるのです。

 テグマークは、この420億光年の幅を持つ空間が「私たちの宇宙」だと考えました。それより遠い場所は、空間的にはつながっているものの、因果関係を持つことができないのだから「別の宇宙」と考えてよいのではないかと言うのです。

 宇宙の広がりに思いを馳せたとき、誰しも一度は「その外側には何があるのだろう」と考えたことがあるでしょう。テグマークに言わせれば、私たちの宇宙は420億光年先までで、その「外側」には同じような宇宙がたくさんあります。また、それだけではなく、テグマークの仮説が何よりもユニークなのは、その因果関係を持てない無数の宇宙の中に、「この宇宙」とまったく同じ宇宙があるのではないかと考えたところです。

 このような並行宇宙は物理的に信頼のおける考え方であり、未確認の理論まで考慮に入れると、 私たちの宇宙とはまったく特性が異なる宇宙や、物理法則が異なる宇宙も存在しうるというのです。こうした宇宙を想定することで、私たちの宇宙そのものが持つさまざまな謎や時間の本質、私たちが物理的世界をなぜ理解可能なのかといった根本的な問題に答えることもできるかも知れません。

 並行宇宙のタイプには、これまでに次のような4タイプもの異なる並行宇宙が提唱されています。
レベル1:私たちの宇宙の外側に
レベル2:インフレーションが生む無数の泡宇宙
レベル3:量子の多重世界
レベル4:数理的構造そのものが宇宙


●レベル1::私たちの宇宙の外側に

 先に触れたように「別のあなた」が住む宇宙が数多く存在する。これら宇宙の集合体が「レベル1マルチバース」で、最も異論の少ないタイプである。

 「レベル1マルチバース」の並行宇宙のうち最も単純なのが、私たちから遠すぎるためにまだ見ることのできない空間領域があるという考え方である。現在、私たちが見ることが可能な最も遠い場所は約4×10^26m、約420億光年離れた場所で、この距離はビッグバン以降に光が移動した距離に相当する(138億光年よりも大きいのは宇宙膨張の効果によって距離が引き伸ばされるため)。
habburu.jpg
図1:ハッブル体積
ハッブル体積とは、宇宙膨張の後退速度が光速未満となる宇宙の体積である。ハッブル体積に含まれる3次元の宇宙の大規模構造を示す。この尺度では、数多くの超銀河団は微粒子のように見える。おとめ座超銀河団(天の川のある超銀河団)は、ハッブル体積の中心にあるが、小さすぎて見えない。

 観測可能な宇宙は「ハッブル体積」や「地平線内体積」などとも呼ばれるが、単に宇宙といえば普通はこのことである。同様に「もう1人のあなた」が住んでいる惑星にも、それを中心として球状に広がる宇宙がある。これが最も簡単な「並行宇宙」の例だ。それぞれの宇宙はもっと大きな「マルチバース(多宇宙)」の一部にすぎない。

 レベル1の並行宇宙はどれも基本的には私たちの宇宙と同じだが、初期の物質配置の違いによって差が生じる。

 現在は見えなくても、別の視点に移動すると見えるものなら、私たちはその存在を受け入れられる。水平線の向こうから姿を現す船が一例で、この場合はただ待っているだけで見えてくる。「宇宙の地平線」の彼方にある物体も、これに似た状況だ。観測可能な宇宙は1年間に1光年の割合で広がっている。より遠いところから発した光が届くようになるからだ。宇宙地平線の外側には無限が広がっており、私たちに観測されるのを待っている。

 あなたは「別のあなた」が視野に入るよりもずっと前に死んでしまうだろうが、観測可能な宇宙は時とともに広がり、さらに宇宙自体が膨張を続けるとすれば、どんどん遠くのものが見えるようになる。原理的には、あなたの子孫たちが非常に高性能の望遠鏡を使って「別のあなた」を観測できる時が来るだろう。

 そして、“そっくり宇宙”までの距離は、下の図2・3のようにあらわされる。
mgiutyuu1.jpg
図2:模擬的な宇宙の例

mogiutyuu2.jpg
図3:私たちの宇宙に当てはめると?

 レベル1マルチバースの存在はむしろ当然だといえる。そもそも、空間が有限だなどと、どうして考えられようか。「空間ここにて終わり――段差に注意」と書いた看板がどこかに立っているとでもいうのだろうか。だとしたら、その先には何があるというのか。

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1 コメント

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別の宇宙 (鈴木行次)
2015-07-14 15:55:13
光速以上の後退速度を持つ天体が存在すると我々はそれを観測できない。それでこれらの天体が存在する領域を別の宇宙とみなすのは可笑しいですね。過去の宇宙ではそれらの天体は観測範囲内にあったはずだが、その時は我々の宇宙の一部分であったはずですよね。未来においては現在観測できる天体もいずれ光速以上の後退速度に達し観測できなくなる。そうすると我々の宇宙の天体であったものが別の宇宙の天体になるというのは可笑しいです。

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