常民の青い空

あるいは地域社会に住まう中年男というペルソナ

ある算数少年?の蹉跌

2008-12-09 | その他
 ワンス アポン ア タイム

 昔 或る所に、たいそう算数が得意だと自分では思っている小学生が居ました。
 彼が、普段考えていることは、
「(非ユークリッド幾何学の)リーマン球面幾何や、
ボヤイ=ロバチェフスキー幾何の説明をする時には、
立体の球面や、
真ん中が細い、藤のスツールみたいな物の上に三角形を書いて、
その角を足すと180度じゃないと書いているんやけれど、
なんや、ごまかされてるような気がするなぁ。

 これは、立体なので、三角形の内角の総和が、
180度より多いといっても、また少ないといっても
ユークリッド空間あるいはヒルベルト空間(実はなんだか解っていない)
といった普通の空間でもその通りなのではないのかなぁ。
 これは、本当は、ミンコフスキー空間(これもなんだか解っていない)の説明を、
子供向けに、
とりあえず子供側に、にじりよって書いているのではないのかなぁ?
なんか、子供だましみたいでいややなあ」
 などと解った様な、解んない様な事でした。

 そのときの少年の気持ちはこんなです。
(出典 「小さなお茶会」猫十字社 白泉社花とゆめCOMICS 1981/12/25)

  いや、さえない少年でして、解っているのではなく、
たとえば車好きの少年が、見たことも無いのに
「Rのエンジンは、4バルブ6気筒のツインカムなんだぜ」
と言っているようなものでした。

 さて或る日、先生が
「直角を、コンパスと定規だけで三等分しなさい」という問題を出されました。

 少年はすぐさま答えます。

「先生、それはできません。
 古代ギリシャの時代から、
体積が2倍の正立方体を作る問題などと一緒に、
沢山の人がやってみましたが誰にもできませんでした。
今では、不可能なことがわかっています」

 少年の得意は、いかばかりか。
 1から100まで足してみろと言われて
すぐさま「101×50で5050です」と答えた
若き日のガロア少年もかくやといったものでした。

 しかし、任意の角の三等分なら少年が正しいかもしれませんが、
直角は3等分できます。
 直角は90度、その三等分といえば30度、その倍なら60度
だれでもかける正三角形を直角に接して書けば三等分できてしまうのでした。

 さて、その後、級友の前で面罵を受けた少年は、

「わては、アホや。ボストンへ行って
(数学者はボストンに行くものだとなぜか思っていたようです)
偉い数学者になったろうと思っておったが、ヤメヤ ヤメヤ」

 その後、少年は算数関係のものには近づかないようになりました。

 悲しい話だと思いませんか?

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