노래 norae

 노래(歌)
 発音は「ノレ」
 英語で song ですね

 かろやかに歌うように
 一日をはじめたい

『マンチェスター・バイ・ザ・シー』

2017年05月29日 | 観た映画の感想など


深々と心が震える映画を観た。

ストーリーはいたって単調でごく普通の日常を暮らす人たちの物語です。
しかし、その普通の日常にどうしてこんなに心が惹かれたのか。どうして涙があふれたのか。
登場人物たちの心のひだが惜しみなく晒されていく・・・



舞台はアメリカ合衆国北東部に位置するニューハンプシャー州マンチェスター。
物語を通して冬のマンチェスターです。
(ちなみにアメリカにはマンチェスターという地名が付くのは10か所ほどあるようです。
その昔、Pinky & Fellasが歌った♪Manchester & Liverpool~はイギリスです 笑 )



主人公リー・チャンドラーを演じるのはケイシー・アフレック。
ご存知、あのマルチ映画人ベン・アフレックの実弟です。

多感な16歳の甥であるパトリックを演ずるのは、すこしヤンキー顔のルーカス・ヘッジス。
彼の父親はあの名作『ギルバート・グレイプ』の原作・脚本を手がけたピーター・ヘッジズ。
まさにサラブレッドの血を引く。


リーとパトリックはかけがえのない大切なものを失い、
その喪失感をいかにして補完していくのか心の葛藤が描かれています。

自分の過失から人生の大切なものを突然何の予告もなく失ってしまい、
その故郷から離れて希望もなくし虚無な日々を送るリーと、
アルコールホリックの母は失踪し、
その上予告されていたとは言え突然父の死を迎えたリーの甥パトリック。
その二人がどうその人生を向き合っていくのかがこの映画の大きな課題となっています。





印象に残ったシーンがある。リーが偶然街角で別れたパートナーと出会う。
彼女はすでに新しい恋人ができ子供もできている。

「夫であるあなたにひどいことを言った。私の心は壊れたの。あなたもそうでしょ?」
嗚咽をこらえながらリーに弁明する。

「いや、俺は違う」
「うそよ」

彼女の赦しの言葉はリーにとって癒されることは決してなかった。
決して涙を流すこともなく、心が決壊することもなく、
血のつながらない子供を連れた元妻を責めることもなく、
ただただ狼狽するだけで・・・

その彼の表情にどうしても乗り越えることができない悲しみがスクリーンを通して、
あの寒々としたマンチェスターバイザシーの曇り空とともにひしひしと伝わってきた。




リーとパトリックはなんらかの結論を出すのだが、この映画は最後までそれを解説することはなかった。

映画の余韻というのはこういう控えめさがいいです。

映画の中でふと広がった満天の星空とエンドロールで映し出された
マンチャスターバイザシーの冬景色がすごくよかったです。ほんとにいい映像です。





こういう、抑制の効いた作り手の感性にすっかり惹かれてしまった映画でした。


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