仙丈亭日乘

あやしうこそ物狂ほしけれ

「動機」 横山秀夫

2006-03-25 22:03:18 | 讀書録(ミステリ)
「動機」 横山秀夫

お薦め度:☆☆☆+α
2006年3月25日 讀了


表題作を含む4つの短篇からなる短篇集。
私が好きなのは、表題作と「密室の人」。

「動機」
主人公の貝瀬はJ縣警本部警務課の企畫調査官。
J縣警では警察手帖の紛失を根絶するための施策として、所轄部署による一括保管の制度を試驗導入してゐた。
その制度を提案したのが貝瀬だつた。
ところが、U署でその保管されてゐた警察手帖が30册まとめて盜まれてしまつた。
犯人は外部の者か、それとも・・・。
眞相を探る貝瀬と、U署の刑事一課・益川との對決が白眉。
男は何のために仕事をしてゐるのか。
さう、それは家族を守るためなのだ。
第53囘日本推理作家協會賞・短篇賞受賞作品。

「逆轉の夏」
女子高校生殺しの前科を持つ主人公に、殺人依頼の電話が掛つてくる。
最初のうちは相手にしなかつた主人公だが、電話で話を聞くだけで金が振込まれてくる。
勤務先でうまくいかないやうになり、離婚した妻はすでに自分の顏すら覺えてゐないやうだ。
相手の依頼に應じて金を受取り、しかも殺人を犯さないやうにするにはどうしたらよいのか・・・
考へ拔いた末に主人公がとつた行動とその結末は?

「ネタ元」
水島眞知子は地方新聞の事件記者。
彼女は地方裁判所の事務員の女性を「ネタ元」に持つてゐる。
事件記者として質の良い「ネタ元」は財産だ。
そんな彼女のもとに、全國紙から引拔きの誘ひがくる。
搖れる彼女の心中であつたが・・・
この話、前にドラマで見た記憶がある。
すでにドラマ化されてゐたのかな?

「密室の人」
裁判官の安齋利正は、あらうことか、公判中に居眠りをして、寢言に妻の名前を云つてしまふ。
居眠りそのものはなかなか傍目にはわからないものだが、寢言を云つてしまふとなると話は別だ。
こんなことを新聞記事にされては、安齋の裁判官人生は終はつてしまふ。
それにしても、何故、居眠りをしてしまつたのか・・・。
裁判官といふ仕事の大變さ、それを支へる妻の大變さ。
結末はリドル・ストーリー風。
さて、どうなつてゐるのだらうか。


2006年3月25日讀了



動機

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6 コメント

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ワタシも (あな)
2006-03-26 06:30:50
読みました・・・(笑。

これは横山秀夫の中でも好きな作品です。

ワタシのお気に入りはやはり「密室の人」かな~。

横山秀夫 (仙丈)
2006-03-26 08:47:34
あなさん



横山秀夫は最近讀み始めました。

「半落ち」が文庫になったことを知つて、讀んでみやうかと思つたのがきつかけでした。

いま、「顏」を讀み始めたところです。

「密室の人」、文庫になつているのかな?

搜してみますね!



TBありがとうございました (はん)
2006-03-27 10:16:14
私は逆転の夏が一番よかったです。
辛い物語 (仙丈)
2006-03-27 23:06:46
はんさん



コメントありがたうございます。

「逆轉の夏」は辛い物語ですね~

加害者の人權をうんぬんする現在の風潮には行過ぎてゐる部分があると思ひますが、かういふ物語を讀むと考へさせられてしまひます。

そのまんま (guest)
2006-06-14 22:58:29
警察手帳が何十冊も盗まれるという設定にするのは珍しかったです。
吃驚しました (仙丈)
2006-06-14 23:48:42
guestさん



警察署で保管されてゐる手帳を盗むなんて吃驚ですね。

あまりに大胆な犯行です。

それだけにそんな設定はなかなか思いつかないですね。

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