「ボクセルポリゴンな日々」 - UnityでMakersとVRをつなぐ挑戦 -

Unityプログラムで3DCGアセットデータをVRや3Dプリンターで利用可能にする最新技術や関連最新情報を紹介します。

3Dプリンターに必要なスキルと、3DCGデータの需要。

2013年03月21日 13時44分35秒 | MMDアバンドール


今回のタイトル画像はブログと少しだけ関係するかも知れない、現在制作中のそむにうむ式初音ミクversion2(MMDモデル)です。(汗)


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最近「3Dプリンター」がTV番組等でもよく取り上げられる話題になってきました。

しかしながら、3DプリンターはPC用のプリンターと違って打ち出すものが少ないのが現状です。

プリンターは元来、コンピューターに入れられた大量の数字データや文字データを文書化する手段として開発されたものです。

今では信じられないと思いますが、プリンターの前にキーボードが付いた「テレタイパー」という入出力装置があって、

そこで1文1文データや文字列を入力して、間違っていたら行単位で修正を加える「ラインエディター」と言う文字編集ツールがあったのです。

すなわちプリンターはコンピュータ処理における重要部分を最初から担っていました。


しかし3Dプリンターはどうでしょうか。

3Dプリンターは文書や数値データを印字するためのものではありません。

3DプリンターはPCに保存されている3DCGファイルを、それが画面で3DCG表示された通りの立体物として出力するための装置です。

ならば3Dプリンターには3DCGデータを保存するファイルが不可欠になります。

最近だとThingiverseを始めとする3DCGデータを集積するソーシャルサイトが存在するため、3DCGデータを探し出すことはそれほど困難ではありません。

しかしそれでも自分が出したいと思う「形」がそこにあるとは限りません。

3Dプリンターで自分のほしいものを出したいと思った場合、どうしても必要になるのが3DCGモデルを作成する能力(スキル)です。


しかし、ここでよく考えて欲しいのです。

自分が欲しいと思う1点ものの3DCGデータを作成するためだけに、

膨大な時間と労力を割いて複雑怪奇な3DCGデータの作成方法を1から10まで真面目に学ぶことの必要性についてです。

もしも仮にすでに自分がその能力を有していたとして、

欲しい3DCGデータを作成して3Dプリンターで立体物を手に入れたら、

出力した後の3DCGデータはどうなるでしょうか?


これを考えている人は少ないと思いますし、この問題に言及している人は実際少ないです。

ずばりいうと「忘却します」

言ってみればこれは粘土をこねて人形を作る行為と大して変わりはないのです。

自分で作って完成品を飾って自分で満足する。

その続きはといわれると、誰もがこう答えます。「新しい作品をまた作るさ」と。

それならば、既に作った作品のための3DCGデータは再び日の目を見る日はほとんどありません。

あるいは3DCGデータなので新しい作品の中に部分的に前に作った形状を再利用することはあるかも知れません。

でも、個人作品で、なおかつ工業製品のように規格部品を大量に使うといったデザインでもない限り、

自作の3DCGデータを使いまわす局面は殆ど無いといっていいでしょう。

例えば鉄道模型においてですら、同時代に作られた床下機器一つとっても数種類のバリエーションがあります。

部品作りが目標ならばともかく、それらの部品を組み上げて1両の鉄道車両をモデリングしていく労力は相当なものがあります。

これについては筆者も既に経験済みなのでぐらい例を上げて説明出来ますが、本題から外れますのでここではそこまで詳しくは触れません。





本題を「3Dプリンターに必要なスキル」に戻します。

すなわち3DCGモデリングの能力を仮に習得したとしても、モデルを制作するための労力は変わらないのです。

1から3DCGモデルを作るということは、1から10まで作らないといけないのです。

仕事でやるならばありかも知れません。もっとも、それもクライアントが作業量として正当に認められればの話ですが。

趣味となるとなおさらです。本来余暇を使って作るつもりが本業並みの労力を投入したのでは本末転倒です。


だから私はこう考えます。


「今3DCGモデリングのスキルを持っていない人は、無理にスキルを習得しようと思わないほうがいい。」


では、その場合自分の欲しいモデルを得るためにはどうすればよいでしょうか?

以下の2つの手段を提案します。


1.自分のゴールに最も近い3DCGモデルをネットから探しだして、最低限の修正で済ませる。

2.完全に自分のゴールと一致する3DCGモデルがネット上にアップロードされるまで待つ。


1は比較的アクティブな方法です。

この場合、3DCGデータを1から作成するスキルは必要なく、極端な話「コピー&ペースト」する能力の習得だけで始められます。

「ポリゴンで形を造形する方法」というのはツールの操作方法を習得する必要性に目が行きがちですが、これは純粋にアートの世界です。

目から入る形の情報を捉えて自分の手で塑像する行為であることを最初に認識する必要があります。

粘土造形と違ってUndo(やり直し)が聞くというメリットは有るのですが、粘土のように指先の微妙な動きで形状を整えたりできないもどかしさもあります。

それでも作成された3DCGデータを自分のためにしか使わないならば、粘土でこね上げて作ったフィギュア像と同じです。

それはその場の唯一人のためのものでしかありません。

そこまでの苦労をしない、あるいはしたくないのであれば、3DCGデータなら既に作られたデータを変更して自分の好みのものに改造するという手段が使えます。

それならば元モデルによりけりですが、少なくとも100%の労力をかけなくても自分の希望の物をゲットできる可能性があります。

しかも改造で必要となるスキルは、1からモデルを作るスキルと比べて最低限のもので済みます。

加えて、

これが一番大事なことですが、

モデルを1から作るよりも改造する方が、3DCGデータをモデリングするスキルを身に付けすいのです。

事実として、MMDにおける利用可能な3DCGキャラクターモデルが爆発的に増えたことと、それによるMMD専用3DCGモデラーの増加がその証左です。

0からのモデリングはゴールが見えなくて挫折しやすいのですが、

MMDのようにゴールとなるモデルが誰にでも見られる状態で存在すること、

モデルの構築ノウハウが手に入れやすいこと、

既に改造やモデルの制作をやった人間がブログ等で情報を公開してること、

最後に、モデルの制作状況を報告したり意見交換できる仲間がソーシャルにいること。

これだけの条件が整っているため3DCGデータ制作のモチベーションが維持できるのです。

逆に一人だけで完成形態もわからず自分の理想とするモデルとのギャップが激しく問題解決の情報もない状況で、

3DCGデータ制作を続けようとするにはとてつもなく強固な意志の力が必要です。


2は後ろ向きな解決方法に思えますが、意外と賢い選択です。

何故なら、あなたがモデル制作のノウハウを勉強してモデルづくりに取り掛かって完成させていく間に、

有名なキャラクターモデルならばきっと誰かが作っていることでしょう。

MMDの場合「まさかこんなモデルはあるまい」と思った3DCGデータが案外存在したりします。


最終的には2に限りなく近い1、あるいは2だけど最後のちょこっと改造を加える程度が理想的だと考えます。

そう考えると3DCGデータに対するモデリングの技術や知識は、

最低限完成品である3DCGデータファイルを読み込んで配置を変える程度の操作でOKと言えます。

それ以上のモデリングテクニックを覚えるのであれば、

時間をかけてゆっくりと作り上げる覚悟で望むのが良いと思います。

間違っても「カネで時間を買う」つもりで自己教育に投資しない方が無難です。趣味の世界ならば尚更です。

そんなことよりも同好の士に会うことに時間と金をつぎ込むほうが100万倍有意義です。(^^)


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さてここまでの話で、

「それなら3DCGデータを作ったまま放置するより公開して活用してもらった方が皆便利になるのでは?」

と思われた方が少なからずいらっしゃると思います。

と言う前に、MMDが既にそうした有効な3DCGデータの制作サイクルを実現しています。

ただし一方でこう思われる方もいらっしゃいます。

「データを公開したら3Dプリンターの立体物も含めて売ることができなくなるじゃないか!」

確かにその意見にも一理あります。

しかし、筆者も3DCGデータの頒布を行なってきてずーっと思ってきたことがあります。それは、

「3DCGデータって、買った後に活用されることがないとしたら、そのデータに何の価値が有るのか?」

CDは買ってからプレーヤーで聞けば何度でもその内容を聴き直せます。

しかし3DCGデータは、仮に3DCGデータビュワーで見たとして、そこから先の発展性はないのです。


逆に、3DCGデータに他のツールで利用できたり、他の映像に出演できるという付加価値があれば、

その3DCGデータは長く愛される3DCGとして存在し続けることになると思います。

これもまたMMDが証明してしまっていますが、MMD上では確かに長年愛されるべきキャラクターモデルの3DCGデータが存在します。

そこには「3DCGデータの需要」が確かにあるのです。

他のツールでもあるにはあったのですが、3DCGビュワーで見た先の展開はほとんどありませんでした。

(一部のデータはメタセコイア形式で公開されていたためにモデリング技術の伝承に役に立った例はありますが)


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このように、3DCGデータを公開することで3DCGデータの需要を生み、データを循環させ、改造や部分利用で新しいデータを作らせることには意味があると思います。

しかしこれではデータの制作作業量に見合った利益を3DCGデータ制作者は手に入れることができません。

そこは一部市場原理に判断せざるを得ない部分がります。需要のない3DCGデータを作っても売れないのは当たり前です。

但し、ネットで多数のダウンロードを記録している3DCGデータに関しては、データ作者が個別にパッケージングして頒布することに関しては問題ないと思いますし、

むしろ積極的にそうするべきだと思います。

あるいはここで3Dプリンターによる立体出力物を作者自らが頒布するのもありだと思いますし、

3DCGデータ作者を支援する目的で利用者が集まって3DCGデータを立体出力する行動を起こし、

その際に立体出力化する許可を3DCGデータの作者さんから公式に認定してもらうようにすれば良いと思います。

認定に対する対価をお渡しすることによって、3DCGデータ作者さんへのお心付けができると思います。


このように3DCGデータを立体化することによって生まれるチャンスは様々あると思います。

3DCGデータを作られている方々も、少しアイデアを凝らせば面白い展開を見つけることができます。

また、日頃から3DCGデータにお世話になってる方々は、立体出力で記念品を作ればオフラインイベントで自慢できる上に3DCGデータ作者さんに還元することも出来ます。

3DCGデータ作者さん、3DCGデータの利用者さんのそれぞれが得をすることにより、よりよい3DCGデータ需要を生み出すための好循環を加速させる仕組みが構築できれば

3DCGにとって素晴らしい未来が見えてくると思います。



追記:(2013.03.21 18:48)

3DCGモデリング愛好者の方から、「再利用されないデータには価値はないのか?」というご指摘を頂きました。

ヴィネットのように造形物として完結されている3DCGデータを公開されてらしゃる方はいらっしゃいますし、その作品の素晴らしさも存じています。

今回はそれらが「一度しか見てもらえずに見た後はCD-ROMやHDDの肥やしにされてしまう」ことへの問題提起として書いていましたが、

内容が3DCGデータの再利用に重点が置かれてしまい、作品として完結している3DCGデータについて無配慮な文面になってしまいました。


今回の論点は作品として完成された3DCGデータも含めて、何度でも見てもらい鑑賞してもらうことが再利用の価値であると考えています。

なぜならば、3DCGデータは3DCGツールやビュワーに読み込まれて3DCG表示されなければその中身がわからないものだからです。

ビュワーで見てもらえずHDDのファイルの一つで在り続けることがその3DCGデータにとって幸せなことでしょうか?

そしてファイルで在り続けるがゆえに無限にコピーが作られる可能性があり、オリジナルの保証もままなりません。

3DCGモデルをアートの域までに高めるならば、ビュワープログラムを巻き込んで相応の工夫を凝らす必要があると思いますが、

ビューイング方法を特殊にすればするほど見て貰える人が限られてしまうという矛盾を生じてしまいます。

そのジレンマをどのように打破すべきか、

作品完結型3DCGデータの作者の方々にも問題提起は突きつけられています。

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ブログ復活&3月24日の「NT京都2013」に向けて。そしてPMDEditor入門PDF公開。

2013年03月17日 13時26分06秒 | MMDアバンドール


すみません。

3月に入って確定申告のための経理作業と別件の仕事対応に追われてしまい、ブログの更新が滞っておりました。

ようやくさまざまな問題を片づけられたのでブログを再開します。


今回は来たる3月24日(日曜日)に京都は阪急電鉄京都線西院駅最寄りの「春日幼稚園」を会場にして開催される

「NT京都2013」での展示につきまして再度のご案内をさせて頂きます。

こちらでの展示のメインは今まで製作してきました「MMDアバンドール」のフィギュア作品、

そむにうむ式初音ミクとあにまさ式弱音ハクのフルカラー立体出力フィギュアおよび先行試作のあにまさ式弱音ハクの光硬化樹脂フィギュア。

さらにMMDアバンドールを始める前に試作してきた立体出力鉄道模型車両(クモハ52003)の車体模型を持っていきます。




その他、会場では現在開発中のMMD等3DCGデータからレリーフ状態の立体出力データを自動生成する

「3D-Recaster(仮称)」プログラムの試作版を持って行ってPC上でデモする予定です。


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さらに追記事項で申し訳ございません。

昨年末のコミックマーケット83にて頒布しました「MMDforUnity開発読本C83版」におきまして

私が執筆しました「MMDforUnity向けPMDEditor入門」のPDF文書を公開開始しました。

まだ内容的に抜けや間違った記述がある可能性がありますが、ご指摘ご要望等お待ちしております。



「MMDforUnity向けPMDEditor入門」


公開URL: http://somnium.sakura.ne.jp/mmdforunity/StartingPMDE/StartingPMDEditor_MMDforUnity_C83.pdf
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「【MMD立体出力】MMDアバンドール2・あにまさ式弱音ハク編」を公開しました。(^^)

2013年03月06日 01時09分11秒 | MMDアバンドール
【MMD立体出力】MMDアバンドール2・あにまさ式弱音ハク編


しばらくブログをサボっていてすみません。

実はこの動画を編集するため時間がかかっていたのです。

といっても、このブログの読者諸兄には既にご存じの内容ばかりで申し訳ないです。
せめてハク姉さんフィギュアの回転シーンだけでもご堪能いただければと思います。

それでは、明日から確定申告がんばります。(^^;)
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3Dプリンターが普及するためには。

2013年03月01日 14時48分38秒 | 立体出力(技術およびサービス)


画像は最近ぽつぽつと進めている自作ミクさん改造から、現時点での最新版です。
これは完成すればほとんどそのまま立体出力にかけられるMMDモデルデータになります。(^^)


それでは本題に入ります。

以前のブログ記事「3Dプリンターの普及によって起こること。」では最後の文を以下のように締めくくりました。


ある意味3Dプリンターは3DCGモデルデータを「音楽」と同じ次元にいざなうiPodのような存在になるのだと思います。

この結論に至るまでのお話です。今回は「3Dプリンターの使命」について少し掘り下げてみました。


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3Dプリンターの話が出てくると必ず引き合いに持ち出される話題。それは「金型」です。

金型とは、現在製品として世に出回っているプラスチック製品の形を作り出すためのものです。

身近な金型と言えば鯛焼き屋さんの鯛焼き器に使われている鯛の雌型をした金属性の調理器です。
あれに衣とあんこを入れて上下から挟んで焼けばおいしい鯛焼きが出来上がります。

プラスチック製品の場合、鯛焼きと異なって最初から上下がつながった状態で中が空洞になっており、プラスチックを注ぎ込む口(湯口)からプラスチック材料を熱して液体状にして流し込みます。
そうしてプラスチックが固まったら金型の上下を開けて中から完成したプラスチック製品を取り出すのです。

この方法ではプラスチックを流し込む方法で簡単に形を成型できるため、高い精度で美しい形を量産するのに向いています。
たとえば1万個以上のロット数で工業製品を量産するならば高品質かつ量産の速い金型による方法を選択すべきです。

しかし金型そのものを作るには経験と技術が必要です。
工業製品は元々、「どこにどんな力がかかるからこの形はこうでなければならない」という力学的材料工学的な必然性から形が決められます。
そして材料費を極力抑えるため、最小のプラスチック材料で形を均質に量産できることが求められます。

必然的にそうした金型を設計するには高度な技術が必要とされ、その見返りに高いコストがかかるのです。

それでも金型があればそのコストを回収できるだけの「形」を量産できます。
量産された形はそのまま市場で売れば初期投資コストを回収できます。


これが今までの、いわゆる3DCADで散々語られてきた「形」のビジネスモデルでした。


しかし、
個人生産でごく少数ロットの場合、趣味のレベルで工業製品を作る程の労力と精度と金額をかけて金型を検討する必要性があるのか?と思います。


それ以前にその人が何を作るのか?どんな精度で作ることを望むのか?によりけりな点はあります。

たとえば個人が精度にこだわって模型工作するのは良い事です。それはその人のオンリーワンのパフォーマンスで一点物の逸品が作り上げられるからです。

が、その能力を万人に求めるのはいかがなものかと思います。
それは極論すれば「やすりがけで真空溶接ができなければモノを作るな」と言ってるのと同じです。(^^;)


ところが昨今の「3Dプリンターでモデリングしようぜ!」の呼び声の中に、時々CADで工業製品を作ろうか級の精度を考えている意見が混じっているのが気になります。
ホビー工作レベルなのに100分の1ミリを意識する精度を全てにおいて考慮するような技術の習得を引き合いに出すのはオーバースペックが過ぎます。


そんなことよりも3Dプリンターは「誰もが同じ形を出せる」ことに最大の意義があります。


3Dプリンターを工具の延長線上に考える事は3Dプリンターの将来にとって必ずしも良い事ではありません。何よりもそれでは3Dプリンターは数が売れなくなります。

かつてプリンターがフルカラー路線を突き進んでいった時、その前提にあったのは「写真にとって代わる画質を誰もが何枚でも同じ品質で出力できる」性能です。

これが確立したからこそ銀塩写真の時代は終わり、誰もがプリンターで自分の撮った写真を好きなだけ出力できる時代が来たのです。

これによって達成されたことは「フルカラー印刷物が誰でも手軽に情報伝達手段として利用できるようになった」事です。

1990年代以前は、フルカラーと言えば写真かカラーテレビしかなかった時代だったのです。

それをものの見事に塗り替え、A4サイズのフルカラードキュメントを1万円弱の機械で誰でもPCにつないで思うままに印刷できる時代が来たのです。


今、それと同じことがもう一度起ころうとしています。それが3Dプリンターにより作られた大量の「形」が情報を伝達する未来です。

1990年代まででもフルカラーの印刷物は存在し、TVもカラーで放送されてました。だからフルカラーの印刷物を個人が自由に手にできる時代の想像は難しくありませんでした。

しかし3Dプリンターにより「形」を自由に手にできる時代を想像するのは易しい問題ではありません。

強いて想像するとすれば、アニメや漫画キャラクターをかたどった「フィギュア」がだれでも自由に手にできる装置が1台1万円で売られる未来です。

しかしそんな装置であれば、フィギュア以外のもっと重要な情報もやり取りできます。

たとえばこれから引っ越しする家の間取りの模型やこれから購入する車の模型。居間に置くTVモニタの模型。購入を検討している家具の模型。etc.

さまざまな形が手にとって理解できる時代が来るとしたらどうでしょうか。

さらには会議の資料として参加メンバーひとりひとりにプレゼンする新製品の模型が渡される。それらは3Dプリンターや3Dコピー機によってオフィスで生産されるのです。


こうした未来が示すことは、「形」がメディアになることです。


実際のところ工業製品における3Dプリンターの役目は語りつくされています。それは「検討用プロトタイプ」の役目であり、決してそこから出る事はありません。

Makersで時々取り上げられるのは「工業製品生産手段としての3Dプリンターの側面」ですが、一品物パーツの出力には向いているものの量産向きにはナンセンスな話です。
ましてや物性の問題、強度の確保、表面質感の問題etc.を考えるとまだまだ金型製品に分がある点はいくつもあります。

しかし、もはやその文脈で3Dプリンターを論議しても既に余地はないのです。最後はないものねだりか「次世代に期待」の一文で終わるからです。


それよりもこれから担うべき3Dプリンターの重要な役目は、

「形がドキュメントとして何を人々に伝達できるか」

という使命についてです。3Dプリンターによって同じ立体物が誰でも作り出せるようになって初めて

「形が個人発信メディアとして役に立つ時代」が招来するのです。


そしてこの時代が招来しなければ3Dプリンター大量産時代は来ません。

そのためには丈夫な出力物を生産する必要はないのです。

失敗したり汚れてしまったらすぐに捨てて次の新しい立体物を印刷できる感覚のものでなければならないのです。

すなわち個人向け3Dプリンターで出力される立体物は限りなく無価値に近いという感覚を植え付けなければなりません。

そうすれば「形」というメディアを大量消費する時代が来ます。


そうなると、世の中の「形」に対する認識が銀塩写真が葬り去られたようにひっくり返されることになります。


iPodが音楽を好きな時に自由に再生できるように、好きな「形」をいつでも自由に取り出せる。

そんな時代が来ることを予想して、そのために必要なことを今進めておきます。
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