こもれ日さんぽ

緑の中で深呼吸・・・そんな気持ちで自分と向き合えたらなぁと・・・

「源氏物語」一気読み!~『紫の結び』

2016-11-26 07:54:30 | 本好き、活字中毒

大学は、いわゆる国文科。

「源氏物語」は必修、「若菜」の巻をゼイゼイ言いながら

精読し(させられ!)ました。

 

その苦しい記憶のせいか・・・

 

・・・「枕草子」は好きだけれど、「源氏」は、あんまりね・・・

なんて、利いた風な口をたたき、あの瀬戸内寂聴訳に始まる

空前の源氏ブームにも背を向けていたのです。

 

 

それが・・・

 

いや~~~、人生半世紀越え。

人間、変わるものです。

ここしばらく「源氏物語」を読みふけっていました。

 

(ワタシは、「更級日記」・菅原孝標女かっ!笑)

 

(以下、本の画像はアマゾンから)

 

 

といっても、口語訳。

荻原規子『源氏物語 紫の結び』全三巻(理論社)です。

 

この「源氏訳」の特徴を上げると・・・

 

★紫の上を中心に、物語を大胆に再構築。

(飽きません、グイグイきます。)

 

★地の文から敬語を取り払い、和歌は意訳のみ。

(まどろっこしくない!ストレート!)

 

★花鳥風月の美意識は、そのまま。

(むしろ、印象深くなっている!?)

 

もちろん、原文に不必要な加筆修正はないとのことなので、ご安心を!

 

 

結果、スピーディに読み進めることができ・・・

 

第一巻では、紫の上が、愛らしくてたまらず・・・

第二巻では、明石の方が切なくて・・・

第三巻では、女三宮に心騒がされ・・・物語として、楽しめました。

 

物語の面白さもさることながら、

折々にうかがえる、人の心・・・

それは、千年の昔も、平成の今も変わらないのだなぁと、そこに感動しています。

 

 

たとえば・・・

 

「源氏」というと、過去も、「須磨」「明石」あたりで、挫折なので・・・

(大学時代の「若菜」は別)

あえて、物語後半部から、印象的な部分を引用しますと・・・

 

 

息子・柏木を亡くした「致至の大臣」が、息子の親友「夕霧」(源氏の息子)に嘆きます。

 

「できた息子ではなかったが、帝にも目をかけていただき、ようやく一人前になって...

親の深い想いを言うなら、声望も官位もどうでもいいのだ。

ほかでもない当人の身一つが耐えがたく恋しいのだ。」

 

(はかばかしからねど、おほやけも捨てたまはず...

かう深き思ひは、世のおぼえも、官位も思ほえず。

ただことなることなかりしみずからのありさまのみこそ、堪へがたく恋しかりけれ)

 

 

柏木は、源氏の妻・女三宮との密通のため、

その畏れ多さに、病に倒れ亡くなります。

 

父である大臣は、それを知らず、ただただ嘆くのです。

かつて、源氏の君のライバルであり、親友と、若々しかった人が

一気に、老け込んでしまい・・・悲しみは尽きません。

 

 

 

「源氏物語」の女主人公・紫の上・・・

自らの死期を悟った人が、孫・三の宮(帝の子)と語らいます。

 

「私がこの世にいなくなっても、あなたは思い出してくれるかしら」

「ひどく恋しくなる。まろは上(帝)よりも宮(中宮)よりも、ばばの方が好きだから...」

泣きそうなのをごまかす態度がかわいらしくて、紫の上は微笑みながらも涙をこぼすのでした。

 

(「まろがはべらざらむに、おぼし出でなむや」と聞こえたまへば、

「いと恋しかりなむ。まろは内裏の上よりも宮よりも、、ばばをこそまさりて思ひきこゆれば...」

まぎらはしたまへるさま、をかしければ、ほほゑみながら涙はおちぬ。)

 

紫の上は実子に恵まれず、明石の方が産んだ姫を育てました。

後の明石の中宮であり、三の宮は、その子(後の匂宮)でした。

運命を達観しつつも、孫への愛しさの募る紫の上が、切なくて・・・

 

この後、紫の上は、自分の愛した庭の桜と紅葉を宮に託し・・・

「ばば」亡き後、宮が約束を果たす場面も、また涙します・・・

 

 

 

第三巻のあとがきで、荻原氏自身も語っているのですが・・・

 

成長した紫の上は、ともすれば完璧すぎて・・・鼻白むと言うか・・・

それが、紫の上を中心に物語を読み進めていくと、

ああ、そうだったのか、と納得できる展開なのです。

 

紫の上の人としての成長であり、源氏への思いの変化を

読み取れます。

 

それを浮かび上がらせたことが、私にとっては、

『紫の結び』の最大の魅力であり、喜びでした。

 

 

さて、荻原規子氏。

1988年、『空色勾玉』(福武書店)でデビューして以来、

上代文学の世界を取り入れたファンタジーの名手として活躍されています。

 

友人の同級生と知ってからは、面識もないくせに

勝手に親近感を抱いてきた、作家さんです。

 

アニメ化された「RDG(レッドデータガール)」シリーズや

『樹上のゆりかご』も大好きでした。

最新作「エチュード 春一番」シリーズも次作が待ち遠しくてなりません。

 

そんな荻原氏が、取り組んだ「源氏」の口語訳。

 

もともと、国文学への造詣が深く、

「源氏物語」に対しても、深い深い愛情がおありだったのでしょう。

『紫の結び』には、そんな想いが凝縮されているようです。

 

 

大和和紀「あさきゆめみし」は、漫画で「源氏」が読めると、

今でも、受験生の必読書となっています(?)が・・・

 

この『紫の結び』も、ぜひと、おススメします♫

出版元は、YAでおなじみ、理論社ですしね♪

 

「源氏」と言えば・・・

角田光代氏が、創作を休んで取り組んでいるという口語訳・・・

そちらも楽しみにしております♫

 

 

参考

「源氏物語」原文は、以下から引用しています。

石田穣二・清水好子校注『源氏物語』(「新潮日本古典集成」)第5巻 第6巻 新潮社

★引用文は、『紫の結び』、原文ともに、一部省略しました。

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4 コメント

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古典 (iroha)
2016-11-27 07:29:54
やはり古典文学は読むたびに新しい感動がありますね。
昔に比べてずいぶん、手に取りやすくなりました。
この源氏物語は、表紙もすごく可愛いですね。
私も読んでみたくなりました。
若い頃は、どちらかと言えば背を向けていた・・・
と言うか、ほとんど自分からは読まなかった方です。
今になって古典のおもしろさに目覚めた感もあります。
つい最近では、方丈記の現代語訳、文庫本で買いましたが、
おもしろかったです。
irohaさま (ぴあ乃)
2016-11-27 18:09:48
荻原・源氏訳の出版社は理論社。
長年、良質な児童書やYA(ヤングアダルト)を手がけてきた実績があるので
若い人にも手に取りやすいよう、
この企画になったのでしょう。
安心して読めます。

年齢と共に、う~ん、ちょっと違うかなぁと、若い作家さんに対して思うこともしばしば。
物足りないなぁと・・・
そんなことも、私の場合古典へ回帰させる一因になっている木がします。・

「方丈記」・・・!
ああ、人生の粋が詰まっていそうですね。
今こそ、読むべき人生の書かもしれません。
Unknown (あっこちゃん)
2016-11-27 23:42:51
私は”デアゴスティニ”で発行してた
”アニメで解説 源氏物語”で”わたなべまさこ”さんの美しい紫の上やを始め数々のお話を解説してもらいました。
でもやはり物語は読まなくっちゃね。
あっこちゃんさま (ぴあ乃)
2016-11-28 06:31:00
わたなべまさこ!懐かしい!
「ガラスの城」・・・怖かったぁ・・・でも、夢中で読みました。
そんなシリーズがあったのですね・・・
私は大和和紀「あさきゆめみし」リアル読者世代です 笑。

↑の「源氏」は、読みやすくて面白かったです♪

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