こもれ日さんぽ

緑の中で深呼吸・・・そんな気持ちで自分と向き合えたらなぁと・・・

「マエストロ・ヒデマロー亡命オーケストラの謎」

2017-08-09 07:24:04 | 日々のあれこれ

本日8月9日。

長崎の原爆忌です。

 

今日の11:02は、外にいるはずなので

黙とうは、心の中でになるでしょう・・・

8月、鎮魂の日が続きます。

 

***************

 

少し前になりますが、録画してあった、

スーパープレミアム
「玉木宏 音楽サスペンス紀行 マエストロ・ヒデマロ 亡命オーケストラの謎
」を観ました。

 

「のだめカンタービレ」で俺サマな指揮者を演じた、玉木宏さんが

第二次世界大戦下のヨーロッパで、秘密の活動を続けた

マエストロの謎に迫ります。

 

マエストロ・ヒデマロこと近衛秀麿(1898-1973)。

藤原氏1400年の流れを汲む、やんごとなき、お坊ちゃま。

首相を務めた、近衛文麿の弟に当たります。

  

冷静沈着な兄と違い、ヤンチャな弟は音楽に目覚め、

20代でヨーロッパへ渡り、

第二世界大戦下を、ヨーロッパで過ごしました。

 

最近、注目を浴び、関連する書籍が何冊か出ているほか、

何年か前に民放のBSだったかで、ほぼ同じ内容の番組を観ています。

 

そのときは、おそらく、以前読んだ、

西木正明『夢顔さんによろしく―最後の貴公子・近衛文隆の生涯』(文春文庫)の影響で

観たのでしょう。

 

(この本は、劇団四季「異国の丘」の原作とされています)、

 

その文隆氏は文麿公の嫡男、したがって、秀麿公は叔父上・・・

なんだか、二人似ているなぁとの、感想をもったのを覚えています。

 

 

 

 さて、マエストロ・ヒデマロは、ナチスの元での活動を拒否し

自ら、オーケストラ・グラーフ・コノエを組織、

ヨーロッパで演奏活動を続けました。

 

・・・というのは、表向きで、実は、亡命オーケストラだったそうで・・・

 

楽団にユダヤ系の若き音楽家を参加させ、

演奏旅行の折に折には、愛車・フィアットのトランクにひそませて、

自らハンドルを握り、国境まで送り届けたと言われています。

 

 

 

マエストロ・ヒデマロは、戦後も、その件を一切語りませんでしたが、

彼の遺した記録をもとに、番組では丹念な取材を続け、

ドイツ、ポーランド、フランス、ベルギー・・・その足跡をたどりました。

 

取材先は、現代の研究者や劇場関係者はもとより、

かつてのレジスタンスの闘士、亡命者の道案内人(パッサー)など多岐にわたります。

そのわずかな生存者に、玉木氏が話を聞きます。

 

ヨーロッパ戦線終結は1944年ですから

戦後73年・・・

 

マエストロの活動は推測の域を出ませんでしたが、

かつてユダヤ人救出に関わった、生存者の証言は、

とりわけ貴重で、興味深いものでした。

 

 

 

・・・と言いつつ、私の一番、印象的だったのが、

ポーランド編。

 

マエストロが、ナチスを拒否し、自らの楽団を率いて

演奏旅行をした国です。

 

1939年、第二次世界大戦のはじまりは、ナチスのポーランド侵攻。

ドイツの支配下に置かれると、ユダヤ人・ゲットーが造られ、

ポーランド人は「劣性民族」(!)とみなされ、音楽を聴くことを禁じられます。

 

このあたりは、ロマン・ポランスキー監督の

映画「戦場のピアニスト」でも、よく知られているところです。

 

映画のモデルとなった、ピアニストのシュピルマンとマエストロに、

交流があったのではというのが

番組の・・・いえ、玉木氏(?)の推論でした。

 

というのも、マエストロが師事し、その後も日本に亡命させ、

家族の面倒までみたという、ピアニストのクロイツァー。

シュピルマンも、彼の教え子だったのです。

 

玉木氏は、シュピルマン未亡人のハリーナ夫人を訪ねます。

 

シュピルマンの生前のままだと言う部屋は

ずっと弾き込んでいた、手垢の残るピアノもそのまま。

(グランドではなく、アップライトみたいで、びっくり!)

 

その部屋で、夫人は、マエストロの遺した、サイン帳をじっくり見つめます。

このサイン帳は、オケで演奏した音楽家が

それぞれにサインをしているのです。

 

すると・・・眼鏡をかけ、さらにルーペまで使い、

熱心に、サイン帳を見ていた夫人が言いました。

「これはヴロンスキさんね」と。

 

ヴァイオリニスト、タデウシュ・ヴロンスキ。

生涯を通じてシュピルマンと親交があり、戦後は、ワルシャワ五重奏団を立ち上げ、

日本でも公演を行い、マエストロとも会ったことのある人物だとか・・・

 

マエストロの元でのワルシャワ公演では

コンサートマスターを務め、サインも一番上にしていたのです!

 

夫人は続けます。

「映画では触れていませんでしたが、ヴロンスキさんたちは

秘密のコンサートを行い、シュピルマンの逃亡資金としてくれたり、

ユダヤ人をかくまってくれたりしていたんです」と。

 

おそらく、「コノエのコンサート」でも、

シュピルマンはじめ、ユダヤ人の資金集めは行われていたのでしょう。

思わぬところでの、思いがけない推論が成り立ちました!

 

 

ワルシャワでの、マエストロとワルシャワ・フィル・ハーモニーとの

共演は、シューベルトの「未完成」。

番組のBGMのひとつであり、エンディングでも流れていました。

 

マエストロは、戦後、『わが音楽三十年』のなかで、

この時のことに触れています。

 

「ワルシャワ・フィルハーモニーとの競演は、忘れがたい経験だった。

 

『未完成』は単なる感傷や悲愁ではない。

ひん死のうめき、羞恥、絶叫、あきらめ・・・

愛と祈りと成仏・・・それらの交錯であった。

 

多くの楽団員は目を泣き腫らしていた。

 

音楽からこんなに感銘を受ける民族を

僕は、心から羨ましく思わずにはいられなかった」と。

 

番組では、当時と同じ、ポーランド国立歌劇場で

玉木氏一人を徴収として、現代の音楽家による

「未完成」の演奏も放送してくれました。

 

ショパンの国・ポーランド・・・

大国のはざまで歴史に翻弄された国・・・

私も、もう一度、訪ねたいと思っている国です。

 

思いがけない展開に、胸が熱くなりました。

 

番組の最後の最後、

なんと、この日、このあと、この時の演奏が

全曲放送たことを知ったのですが・・・残念!

 

ここまで気づきませんでした。(T△T)

 

 

マエストロの活動は、あくまでも番組の推論ながら、

おそらく、ユダヤ人の音楽家としての才能だけではなく

彼が音楽に携わり続けることで、ユダヤ人以外の音楽家も助けたのでしょう。

 

音楽の力を信じられる、番組でした。

このあと、無性に、ピアノが弾きたくなっています。

 

 

それと・・・もう一つ。

胸に刺さった言葉があります。

 

亡命者は、多くの人々、レジスタンスのメンバー、

パッサーなどの手を経て、国境を目指しました。

 

フランス国境から、スイスへと150人ほどを送り届けたという

老いたパッサーの言葉です。

「家や財産を捨てて、ただ生きるためだけに、彼らは国境を目指すんだ」と。

 

現代でも中東からヨーロッパを目指す人々が

命がけで海を渡ります・・・

全財産をつぎ込んで・・・すべてを捨てて。

 

さまざまなツールが発達している現代、

単純な比較はできませんが・・・

それでも、命がかかっていることには変わりません。

 

遠い過去の、あるいは、遠くヨーロッパの問題ではなく、

現代も続く、大きな問題でありましょう。

 

8月、平和を噛みしめる、この季節・・・

何やら、今年は、平和が、いっそう尊く感じられてなりません。

 

 

番組は、オンデマンドでもご覧になれます。

ご興味のある方は、ぜひ!おすすめです。

 

玉木宏さんをお好きな方(私も♪)も、ぜひ・・・!

 

 

☆ダラダラ記事におつきあいいただき、どうもありがとうございました。

 それだけで感謝しておりますので

コメントは、ご無理をなさらないでくださいね・・・

 

 

 冒頭画像は、ミケランジェロ作「聖母子像」。

ベルギー、ブルージュの聖母教会にて、2014年12月に撮影。

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4 コメント

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Unknown (森須もりん)
2017-08-09 08:37:42
私も、この話題は以前から興味がありました。
玉木氏の番組の予告を知りつつ
みれなかったのが残念。
再放送を待ちたいと思います。

私があの時代に生きていて
もしもヨーロッパにいたら
私も何かしらのレジスタンスの支援を
してみたかった。
空想のそのまた妄想を思うわたし。

「家や財産を捨てて、ただ生きるためだけに、彼らは国境を目指すんだ」
その言葉、染み入りますね。
結局は「生きるため」「国境を目指す」
究極の本質なのでしょうね。

今回のぴあ野さんのブログのお話は
いっそう、心に染み入りました。
森須もりんさま (ぴあ野)
2017-08-09 21:31:37
玉木宏さんがヨーロッパを取材する、ぜいたくな番組でした。
ヨーロッパの旅番組としても通りそうな
美しい映像に、BGMはクラッシック音楽♫
うっとりでした。

レジスタンスの闘士。
私もまっすぐなところがあるので、たぶん・・・
自然とその世界に入ったかもしれません。
もりんさんとコンビを組んでいたりしてね!笑。

今、現実の難民問題は、
過酷な実態の報道を知るたびに、心痛むばかりです。

おつきあいいただきどうもありがとうございました。
Unknown (あっこちゃん)
2017-08-11 00:37:24
私もTVの宣伝ではわかっていたのに・・
残念!私も見逃してしまいました。
のだめは楽しく拝見しておりましたので
是非拝見したかった出す。
これも観逃してしまったのですが
のだめカンタービレののだめのモデルになったという女性。
発達障害の女性でピア二ストとして活動していらっしゃる方のお話だったようです。
最近、いろんなものを見逃してします私です。
あっこちゃんさま (ぴあ野)
2017-08-11 14:53:01
そうだったんですか!

「のだめ」の原作を新刊が出る度に買っていたほど
楽しみにしておりまして、
その中で、モデルのピアニストさんのことは紹介されていたんです。
そのときは発達障害については触れていませんでした。
時が流れ、発達障害について世間でも情報が共有されてきたから
公表ができたのかもしれませんね。

私はテレビをほとんど観ないので
NHKはまだしも、民法になると全くお手上げです。
残念ながら、そっちまで余裕がなくて・・・
あっこちゃんも、お忙しいですものねェ・・・

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