ラース・フォン・トリアーの甥で、ノルウェー人である「オスロ、8月31日」のヨアキム・トリアー監督作。
(ラースフォントリアーはデンマーク人)
海外では去年公開のノルウェー/フランス/デンマーク/アメリカ合作。
(本作、撮影はニューヨークのノルウェー映画)
ノルウェーのアカデミー賞と呼ばれるアマンダ賞では監督賞、脚本賞、撮影賞、編集賞を受賞
原題は「LOUDER THAN BOMBS」(爆弾より大きな音で)という意味で
ザ・スミスのアルバムのタイトルと同じだからそこから取ったのかな?。
(「500日のサマー」とかザ・スミスの引用、キャラがファンとか曲起用は映画にはちょこちょこある)
本作はザ・スミスの曲にインスパイアされたという感じではないようだけど
戦争写真家の母イザベルの突然の死から3年、新たに開催されることになった写真展の準備をするため、ジョナが父ジーンと引きこもりがちな弟コンラッドが暮らす実家に戻ってくる。
写真展の準備の過程で、イザベルの秘密に触れつつ家族の絆を深めていく。
亡き母親含め、家族それぞれの視点から思いを静かに描いた良作
ノルウェーの映画であり、あのトリアーの甥が監督ということ、そしてジェシーが出演ということで観てきた。
戦争写真家の母親には、フランス女優のイザベル・ユペール。
大御所は回想シーンのみだけどやっぱりこの謎めいた感じ、普通の母親に収まらない感じ、
役にもぴったりで素敵。
長男、ジョナにはジェシー・アイゼンバーグ。
ジェシーはもうさすがの存在感。
優しく理解力ある頭の切れる兄を演じててまさにそのまんま。
今回、珍しく短めストレートヘアでスッキリ。美形に見える 笑
弟、コンラッドにデヴィン・ドルイド。
ダニエル・ラドクリフが丸刈りで主演し話題の「インペリウム(原題)/mperium」にも出演。
(日本はこれから)
この子も、ものすごくよかった。
父親、ジーンにはガブリエル・バーン。
久々にみたけどやっぱり「ユージュアル・サスペクツ」が印象的。(古っ)
息子となんとかうまくやろうとする孤独も感じさせる切ない父親が素晴らしい。
他に、デヴィッド・ストラザーン。
コンラッドだけは少し幼かったので母親の死の真相は知らない。
いつも母親の残像を追う。
このくらいの子供って感受性も強くなるし多感で大変な時期
片思いのあの子には近づきたい。
そんな息子をパパはこっそり尾行。
パパだよ今どこにいる?
パパは実は息子のストーカーだった (嘘)
妻が死んでからも恋だって楽しみたい。
冷静沈着な兄は母親の生き様を理解している。
弟にも恋のアドバイス。
そんな彼にさえ、自分の中での行き詰まり感を覚えている。
父と息子、母と息子、兄と弟の繋がり。
7/10(78点)
素晴らしいキャストのアンサンブルと、自然な演出と脚本。
にトリアー監督のセンスを感じる。
母親は家族のことを思いながらも、真っ先に帰国してもだんだんと必要とされていないと感じ
また仕事で飛び立ってしまう。内面的にも欝な部分があり、夫の知人でもある仕事仲間と外では不倫もしていた。
父親は、唯一共に暮らす母親っ子だった次男とうまくいかず
尾行をし、その息子の教師といい関係に、、、。
長男は赤ちゃんができるも、母親の回帰展のために実家に戻り
数日間いる間、昔の彼女とも寝てしまう。
子供ができたというのに、妻とはスカイプのみでさっさとようを済ませて帰ろうとはしない。
反抗的になって内側にこもる弟のそばにいることでそれまで頭が悪いと思っていた弟の心の内を知り
次第に心を通わせ理解していく。
その弟は、実は色々考えていて父親が尾行していることも知っていたし、
兄が何かに悩んでいることも察していた。
授業中には、クラスメイトの朗読を聞きながら母親のことを重ねている。
母親は事故か自殺かという謎解き系ミステリーではないし
何が起きるというわけではないので、つまんないと感じる人もいるだろうし、
だから何?と思えてしまう人もいそうな静かなドラマだけど
母親が亡くなってから、バラバラになりかけていた家族の話として、
ジェシー始めキャスト全員の素晴らしさが相まってわたしには響いた。
それぞれの視点から、しっかりと感情を描いてるところが惹きつけられた。
監督はインタビューで、
「キャラクターだけでなく、家族が抱く感情のモザイクを描きたかった。
家族それぞれの思惑を描くことで、1つのストーリーになるような。
親は子供の鏡となり、兄弟も相互に影響を与え、親密さが育っていく。その中で、世代間の違いを浮き彫りにしたかった」
と語っているけどまさにそこがしっかりと描かれた作品で
地味ながらも、それぞれの思い、考え方の相違、母親への愛などが浮き彫りになっていて
会話や家族のやり取りがリアルに感じるところがこの作品の魅力。
フォントリアー監督の作風とは全然違うけど、
その甥っ子の作品として、またジェシー・アイゼンバーグファンももちろん、気になる方は是非
ちなみに、劇中使用の写真については
フランスの戦場カメラマンのアレクサンドル・ブラーの写真を映画内でも数枚使用。
戦争で影響を受けた人々の写真を撮った彼女に感動した監督は、彼女の家族の許可を得て写真を使用させてもらったとのこと。
かつて戦場カメラマンとして世界を飛びまわっていた母イザベルが、突然の事故で他界して3年。彼女の業績を振り返る写真展の準備のため、長男のジョナが久々に帰郷する。大学教授になり、子どもも生まれたばかりで順調な人生を歩むジョナに対し、高校生の次男コンラッドは、父親ジーンとたびたび衝突し、引きこもりがちになるなど母の死のショックから立ち直ることができずにいた。彼には母の死は不慮の事故とだけ教えられていたが、実際には当初から自殺の可能性が疑われていた。そんな中、今回の回顧展に合わせてその死の真相に触れた記事が新聞に掲載されることになり、ジーンとジョナはコンラッドに真相を話すべきか思い悩むのだったが…。
Louder Than Bombs 2015年 ノルウェー=フランス=デンマーク=アメリカ 109min
11月26日より、公開中〜
NYプレミアにて
ジェシー、こう見るとかなり小柄
カンヌ国際映画祭にて
というか弟役の子と監督でかっ。