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シークレット・オブ・モンスター/THE CHILDHOOD OF A LEADER

2016-11-26 22:44:26 | 劇場&試写★6以上

 

 

 

大人になってとんでも無いことをしでかす人物は、かつてどのような子供時代を過ごしたのか。

それが例えばヒトラーのような独裁者だったら?

子供は天使というけれど、誰もがそうだとは限らない。

その時代背景、両親、生活環境などから人格形成されていく上で、

どのような経験が、環境が、未来の怪物とも呼ばれるに値する人間が誕生するのか。

 

そういう意味で、すごく期待していた本作。今月一番楽しみだった映画。

宣伝文句も「何が、少年を独裁者に変貌させたのか」だし、

そのパズルのような謎を解き明かせるかのミステリーとある。

 

いやいやミステリーではないし、謎解き映画でもないよ。

 

そもそも、原題は「THE CHILDHOOD OF A LEADER」

幼少期のリーダーの資質みたいな意味合い?

ミステリーでもなければ、シークレットでもモンスターでもない。

それはさて置き、

本作、ジャン=ポール・サルトルの小説「一指導者の幼年時代」をベースに、

1918年ベルサイユ条約作成ために米大統領の下で働く外交官の父を持つ仏在住になったアメリカの少年を軸にした物語。

 

厳格な父親にリアム・カニンガム。

 

身勝手な母親に「アーティスト」「ある過去の行方」のベレニス・ベジョ。

美しい


フランス語の家庭教師に「ニンフォマニアック」に出演したステイシー・マーティン。

 

 

重要な役に「トワイライト」シリーズのロブ様こと、ロバート・パティンソン。

 

そして、主演の美少年トム・スウィート。

本当に美少年

サッカーしてるところをスカウトされた新星。

 

監督/脚本に、ハネケの「ファニーゲームUSA」やランス・フォントリアーの「メランコリア」に出演のブラディ・コーベット!

(↓マイケル・ピットではなく左のほう)

2015年ヴェネチア国際映画祭オリゾンティ部門(変わった切り口の作品が多く選ばれる)では監督賞と初長編作品賞を受賞。

 序章、3チャプター、そして最終章という構成のこの脚本は10年かけ、途中挫折しそうになったところを

妻と残りの5年は書き上げたらしい。

 

 

 

6/10(60点)

 

 

ネタバレあり

何がいいって、全編に重厚に響くその音楽

 手がけたのは「ポーラX」以来、16年ぶりとなるスコット・ウォーカー。

次に起こる不安を煽るドキドキするような爆音が全編を高める。

映像も綺麗だけどこの音楽があったからこそのこの雰囲気が出せたのかと見ながらずっと思ってた。

音楽がすごいのに結構何も起こらない肩透かしみたいなところが多い。

 

少年、トム・スィートくんも素晴らしかった。

子供ながらにして常に不満を抱え、両親に逆らい、自分の考えを秘めている。

子供はやっぱり親の愛情たっぷりで育つべきで、そして同じ年頃の子供と交流しないと

こんなにも大人びた、冷めた子供になってしまうのか。

唯一、子供で入られたように見える召使いのお婆さんは優しかったけれど

自分に対して甘かったために母親にクビにされた。

父親は仕事ばかりで家族を、家庭を顧みない。子供のことを気にかけるよりも

躾や世間体ばかりを気にしている。

 

優しくしてくれていたフランス語の家庭教師のお姉ちゃんは、

ちょっと胸を触ったら怒って謝れといった。

その復讐で、自らちょっと勉強したら話せるフランス語を母親の前で披露し、

もう先生はいらないと発言。その息子の言葉にもすんなり、ああいう子だからということを聞いて母親は先生をクビに。

子供の頃から、将来の独裁者になる素質というか、

人の言うことを聞かない、我が道を行くわがままさは見えていた。

といっても冒頭の、教会にいる人に石を投げるだとかそういうエピソードや

幾つかの癇癪の蓄積などで、それが爆発してある日モンスターになった、

と締められても。

急に子供は大人になって映画は幕を閉じる。

ちょっとこれには呆気。

しかも、それまで母親の友人役だった、ロバート・パティンソンが

将来の独裁者になった少年の役に変わってたのにはびっくり。

(スキンヘッドになってた)

 

あえて政治に絡む前の、感情によってエゴが形成されてく姿を描きたかったとインタビューで監督は言ってるけれど

あまりにも幾つかのエピソードでその過程を見せるには特に驚くほどの内容ではなく

こんな子ならそこらじゅうにいるという感じで説得力がなさすぎたなー。

青年時代を描けとは言わないけど最後の5分弱で独裁者になったシーンをつけてるのが突飛すぎに思える。

 

美しい映像は、監督自身のこだわりによるもので、デジタル映画は本当に嫌いで

35ミリフィルムで撮ったという。

そのこだわりと、素晴らしい音楽と名優によってこの映画の完成度がかなり上がったんじゃないか。

また逆にこの題材で、他の監督だったらどうな風に撮っただろう?

それも観たいな、というところ。

監督したブラディ・コーベットは、役者から監督になった長編デビュー作であり、まだ28歳ということもあるし

今後はまたどんな作品を撮るのか、期待かな。

次回作は、ルーニー・マーラがポップシンガーになっていく過程を描く「Vox Lux」。

 

1918年。ヴェルサイユ条約締結を目的にフランスに送り込まれた米政府高官。
彼には、神への深い信仰心をもつ妻と、まるで少女のように美しい息子がいた。しかし、その少年は終始何かに不満を抱え、教会への投石や部屋での籠城など、その不可解な言動の数々に両親は頭を悩ます日々。その周囲の心配をよそに、彼の性格は次第に恐ろしいほど歪み始める―。
そして、ようやくヴェルサイユ条約の調印を終えたある夜、ついに彼の中の怪物がうめき声を上げる―


 ←どうしてもこのポスターの右から二番目、ティム・ロスに見えるんだけど

 公式サイト

THE CHILDHOOD OF A LEADER          2015年     イギリス=ハンガリー=フランス     116min

11月26日より公開中〜

 

ヴェネチア映画祭にて

本当、女の子みたいな可愛さ。

このままイケメンに育つかな?