ブルヘッドというそうです。

帰り道に近所の花屋さんへ寄ったらものすごく忙しそうだったので、先に用事を済ませてから出直すことに。
まったく季節感のない生活だから気付かなかったけど、ただいま卒業・送別シーズン真っ最中なのですね！

夜、大好きなピンクのラナンキュラスを数本だけ買いに再度立ち寄り。
ここのお花屋さんのは色がきれいで、そしてなぜか長持ちするから好きなのです。
遅くまで大変ですねーと声掛けたら、まだまだこれからなんですと、目の下に真っ黒なクマ作りながら。
卒業式用に1本ずつのチューリップ束を200個作るのだとか。
思わず、手伝いましょうか？と言ってた。
ケーキ屋さんで働いてた時に、リボン結びとか包装とか厳しく仕込まれた。
ブライダルシーズンは引き出物焼き菓子をフラフラになりながら包装しまくったっけ。懐かし。

お花屋さんの店主さんは、プロレスラーみたいな恐そうな外見だけど、中身はすごく繊細な方。
いやいや、徹夜とかは体力的には大丈夫なんですけどね、こういう季節は疲れてても精神的に緊張して眠れないことがある。
と。
聞いたら、最近はチューリップでも品種指定でたくさんの束を注文されることがあって、
市場でちゃんと仕入れられなかったらどうしよう…と気持ちが追い込まれるのだそう。
ひぇ、私にはチューリップはチューリップにしか見えないけどいろいろあるのですね。

あとは、数百円の束を何十個という注文も多くって。
そういう時にたくさん注文するからまけてって言われてすごく困っちゃって。
出来上がってる商品ならありかもしれないけど、花束はアレンジして包装する手間がかかるからと説明して理解してもらうんですけれどね。
と。

他者の仕事を軽く扱うことや、簡単にまけてもらえるなんてと思うのは、
仕事をする人の魂を殺すに等しいことだなぁって、思います。
簡単そうにみえるのはその人の技術が高いからであって、そこまでになるのに人生をすべて注ぎ込んできていて、その人にはそれしかないのに。
そして私は師匠や先輩や仲間や共演者を見ているうちに知ってしまった。
穏やかに楽しそうに見える人ほど、命がけできていること。
オーダーは近所の有名大学の学生さんからなのだそうで、もちろん悪気はないの分かる。私も軽はずみなことを言って人を傷つけたことがあるので。
だからこそ、その学生さんには少しは想像せんかい！と渾身の往復ビンタしてあげたい。


見ているだけで幸せな気持ちになるピンクのラナンキュラス。
もう咲き切っているから差し上げますと1本くださったのは、初めて見る花の中から葉っぱが生えてた！！
ブルヘッドというそうです。バラの師匠T女史が教えてくれた。
あえてこういう風に咲かせる作り手さんがいるのですって。
なんともワイルドです。