公立相馬総合病院の研修医のブログ

被災地医療を支える公立相馬総合病院
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研修医最初の試練、それは採血

2016年04月21日 | 研修内容
こんばんは、最近眠たい名取です。

最近は研修医最初の仕事としては有名すぎる朝の採血をさせてもらっています。よく採血は簡単と思われがちなのですが、その採血ていどに研修医がもたもたと時間をかけて一体何をやっているのか?ということを全国の研修医を代弁して少しでも分かってもらえたらと思い、有名な朝の採血現場を再現してみようと思います。



朝6時、病棟に着くと10人くらいの採血を看護師さんに頼まれます。こんなにたくさんの仕事を任せてもらえたという嬉しい気持ちでやる気が溢れてきます。

1人目2人目あたりはサクッと採血をこなします。

3人目もサクッとこなしたあたりで、今日はいけるんじゃないか!という気持ちになってきます。といいつつ段取りが悪く、手順を確認しながら丁寧にやっているので実はかなり時間が経っています。

4人目、ついに高齢寝たきり患者さんの細くて脆くてぺたんこ高難度な血管に当たります。何度も腕に針を刺しては痛いだろうという思いで入念に良い血管を捜します。右も左も何度も駆血帯を巻きなおして一生懸命探します。刻々と時間が過ぎていきます。その焦りの中で腹を決め針を刺すのですが、案の定血管を外します。すみません、と思いながら今度は反対側の腕に針を刺すと、なんとまあ少し血がひけてくるではないですか。ゆっくりとだが血液が引けてくる。この血管を逃してはならない!と粘ります。ゆっくりゆっくりと血液を採取した、と思ったのも束の間、シリンジ内で血液が固まっているではありませんか。遅すぎたんだ。せっかく採取したのに……とがっくりと肩を落とし、すみませんまた後で来ますと諦めます。

5人目、なんと!ベテラン看護師さんでも血管確保が難しい患者さんではありませんか。もう時刻は7時です。時間がないので最初から諦めます。

6人目、段々と時間が無くなっていくなかで焦りながらも採血をなんとか終えることができた。と思ったら、今度はなんと採血管を混和し忘れ、管の中で血が固まっています。これは本当に私のミス!申し訳ないと思いながら次の患者さんに移ります。

7人目は浮腫の患者さん。血管がまったく見えない、と泣きそうになりながら失敗しつつ心眼でなんとか血管を探りあて採血します。そろそろ8時になりそうです。それなのにこの忙しい時に、多めに用意していた針がなくなってしまいました。急いでナースステーションに針を補充しに戻ります。

8人目は認知症の患者さんです。今から採血することを丁寧に伝えます。にもかかわらず、針を刺した瞬間腕を振り払い、ベッドと白衣が血まみれになります。ついにタイムアップです。見かねた看護師さんたちが現れ、残った採血管を手に各病室に散っていきます。何か背中が怖い気もしますが気のせいだと信じたいものです。



とまあこんな感じなのですが、さすがにこれは脚色です。こんなに失敗はしません。ですが、これらの各々のことはいま全国の研修医が経験しているわけで、当院だけの話ではありません。患者さんには本当に大変申し訳ないのですが、毎年連綿と行われている新人の教育の一環だと思ってご容赦いただければ幸いです。それからベテランの看護師さんの採血裁きは見ていて本当に惚れ惚れするのですが、そんなベテランの看護師さんも新人のころを思い出して、研修医が時間がかかっても生暖かく見守ってもらえたらこのブログを書いたかいがあるというものです。









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